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補助金を活用した露天風呂付き客室の新設で高付加価値化と売上拡大を両立、「伊豆稲取温泉 石花海 別邸 海うさぎ」の改装事例

若者やファミリー層を中心とした稲取温泉の人気の宿「石花海 別邸 海うさぎ」。
当施設の他に「稲取温泉 石花海」を始めとする施設の数々を運営する喜久多グループでは、これまでも順次、補助金を活用した改装計画を施設ごとに展開してきました。

昨年2023年12月にお披露目となったばかりの石花海 別邸 海うさぎ休眠客室の改装オープンは、令和5年度高付加価値化補助金を活用した事例となります。
今回のリゾLABでは自館の高付加価値化を実現するとともに、地域全体の活性化にも寄与しているこのプロジェクトをご紹介します。
 
 



1.「地域一体となった観光地の再生・観光サービスの高付加価値化事業」の活用の狙い


今回の改装の目的は、インバウンド需要のさらなる取り込みをも視野に入れ「和のテイスト」をさらに高めた客室の創出にありました。
 
子供といっしょに少し贅沢な旅行をしたい、周りを気にせず貸切のお風呂でゆっくり入りたいといったニーズに応え、お客様のお好みの滞在スタイルやライフスタイルに合わせた最適な宿泊シーンを提供する宿としての高付加価値化。それが海うさぎの目指したものです。
 
また和モダンのテイストを表現した外観の改修やデッキテラスの新設などによって、自館のみならず温泉街全体の景観向上にも寄与するとともに、宿泊客の地域周遊志向を高めることで地元の観光産業の振興に貢献したいという意向も含んでいます。
 
エイエイピーもお手伝いした補助金申請から採択までの業務について、「申請に際しての事前資料の収集などが年々大変になってきているという印象が感じられた」と海うさぎの定居社長。

今回の補助金申請にあたっても、補助金の目的や狙いなどについて観光庁の意図や指示を理解するのに時間を要したり、また相互確認のためのやり取りに手間がかかったりと主に手続き面での苦労などもあったそうですが、その一方で事業完了報告については、これまでの補助金活用の経験を活かしてスムーズに終えることができたと言います。


2.お披露目された3室の新設客室、そのテーマとしつらいをご紹介


 今回お披露目された新たな客室は、上層階に位置する7階の706・707・708号室の3室。諸事情からこれまでは実稼働していなかったこれらの部屋を改装し、新たな露天風呂付きの客室として2023年12月にオープンしました。 

設計施工に際しては、和モダンをテーマとする海うさぎの基調トーンを踏襲したしつらいとデザインを重視。什器類も他の部屋と同様にシモンズ社のベッドを使用するなど、今どきのくつろぎのスタイルを満喫できる上質な癒やしの空間を実現。 

また改装に伴って新設した広いデッキには陶器製の露天風呂とともにイスとテーブルを配したリラクゼーションスペースも設けられ、稲取の大海原を望みながら開放的な気分とともにゆったりと露天風呂を楽しむ、至高の時間を堪能することができます。

 メインターゲットとして若い方の利用を意識したこのお部屋。今日まで数ヶ月間の稼働状況を見ると、当初の想定通り2人客を中心としたファミリー層や若者客の利用が多いという実績が出ています。  


3.オープン後約4ヶ月を経て、「選ばれる宿」としての評価がさらに強固に


新たなこの露天風呂客室を利用されたお客様からの反応は、いずれも「キレイ」「居心地が快適」と非常に好評で、リピーターはもちろん新規利用の方々からの口コミでも全般的に高い評価が得られています。
 
その大きな理由のひとつが、戦略的な価格設定にあります。旅行客の露天風呂付き客室への人気を反映して、稲取周辺の宿でも露天風呂付き客室の価格はいずれも高めの設定となっています。

さらにその客室が新規に誕生した部屋となれば、その価格もさらに高まるのが必然です。
 
ところが海うさぎでは、今回誕生した新客室は29,850円~という価格設定。スタンダード客室の20,250円~という価格に対して若干の料金差こそあるものの、他の旅館ホテルほどの大きな価格差は持たせておらず、新規の露天風呂付き客室の価格設定としては周囲にでもあまり類を見ない値付けとなっています。
 
この値付けこそが、若い方を中心としたお客様に対しての高いアドバンテージを実現している戦略的な狙いの一つ。

さらに新規客室ではスタンダードなプランとは異なる上質な特別料理プランが用意されており、リーズナブルな価格に加えて、さらに満足度がプラスされるよう配慮が施され、オープン後から今日までの稼働率の高さにも結びついています。
 

4.個性が息づく高付加価値化で、売上にも大きな効果が


 
稲取エリアではハイスペック・ハイコストの宿が近年増加してきていますが、海うさぎの戦略はこれとは一線を画し、若者やファミリーを取り込「家族で楽しめる宿」をコンセプトとして、ターゲットの満足度を高めていこうというもの。

品質は充実させながらも、気取ることなく気軽に泊まれる宿としてのポジションを打ち出すことで、地域に必要とされるオリジナリティを輝かせています。
 
これはグループ内でのポジショニングにおいても同じで、稲取エリアにあるグループ施設「石花海」との価格差を明確にすることで、それぞれの施設ごとに独自のマーケット戦略を構築するという意図によるもの。

こうした背景に裏付けられて、海うさぎは高い競争力とクオリティ、価格以上の満足度を有した「選ばれる宿」としての地歩を確かなものとしています。
 
今回の誕生した3部屋は、以前は稼働していなかったため売上がそもそも存在していませんでしたが、改装後はおおよそ30-40%の実稼働を維持しており、単純に部屋が売れた分が海うさぎの新規売上分となっている状況。
露天風呂付き客室としての利用単価のアップと、施設全体の売上増の双方に貢献しています。
 
今後も海うさぎおよび喜久多グループでは、十分に活用できていない施設や古い箇所を改修し、より快適な施設環境を実現するという基本方針を維持しながら、宿が掲げる「和モダン」のテーマを表現する改装計画を順次展開していく予定とのこと。

石花海 別邸 海うさぎの今後の展開に、これからもぜひご注目ください。

 

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■実施主体/株式会社 喜久多
■施工場所/石花海別邸 海うさぎ
■委託先/㈱エイエイピー三島支店:
補助金申請支援伴走、企画・設計・施工
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石花海 別邸 海うさぎ


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