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コロナ禍の旅館・ホテルに朗報!「事業再構築補助金(中小企業等事業再構築促進事業)」が中小企業庁より発表されました。
ほぼ一年にわたるコロナ禍の中、Go To トラベルなど数々の施策があったとは言え、全国の多くの旅館・ホテルが困難な経営を強いられ続けています。そんな中この2月15日に、中小企業庁より「事業再構築補助金(中小企業など事業再構築促進事業)」の発表がありました。
この補助金は、中小企業などがダイナミックな事業再構築を行うことを支援し、ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応し、日本経済の構造転換を促していくことを目的としたものです。
補助の対象となるのはコロナの影響で厳しい状況にある中小企業、中堅企業、個人事業主、企業組合などとなっており、これに含まれる大半の旅館ホテルにとっては、決して見逃すことのできない大きなチャンスだと言えるでしょう。
【CONTENTS(目次)】
1.事業再構築補助金の概要
2.予算額と補助額、補助率について
「通常枠」「卒業枠」「グローバルV字回復枠」の3種の枠組み
3.さらに、緊急事態宣言で深刻な影響を受けた企業には優遇措置も
「通常枠の加点」と「緊急事態宣言特別枠」の2つの措置
4.例えばこんな活用のしかたも
5.公募開始の3月に向けて、今のうちに準備しておけることは
1.事業再構築補助金の概要
新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取り組み、事業再編による規模の拡大などを目指す企業や団体等の新たな挑戦を支援するこの補助金は、下記条件に該当する中小企業等が事業計画などを整えた上で申請を行い、審査委員の審査を経て、予算の範囲内で採択することとなっています。
予算は令和2年度第3次補正予算で、1兆1485億円が計上されています。 また補助金の公募は今回のみではなく、令和3年度にも複数回実施される予定です。
またこの補助金は提出した事業計画を基に審査が行われるため、採択されるためには合理的で説得力のある事業計画を策定することが求められます。自社の強みと弱みと現在の状況、掲げる目標の設定、具体的な事業内容などについて、認定経営革新等支援機関とよく相談しあって計画を作成しましょう。
<主要申請要件>
①売上が減っている
申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高がコロナ以前と比較して10%以上減少していること。
②事業再構築に取り組む
事業再構築指針に沿った新分野展開、業態転換、事業・業種転換等を行うこと。
③認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する
認定経営革新等支援機関とともに、事業再構築に係る事業計画を策定すること。また事業計画は、補助事業終了後の3~5年で付加価値額の一定の増加が達成できる見込みであること。
※補助金額が3,000万円を超える案件は金融機関(銀行、信金、ファンド等)も参加して策定する。
2.予算額と補助額、補助率について
「通常枠」「卒業枠」「グローバルV字回復枠」の3種の枠組み
今回の補助金では中小企業・中堅企業を対象に、「通常枠」「卒業枠」「グローバルV字回復枠」という3種類の枠組みが設定されています。
<中小企業を対象とした補助>
「通常枠」: 補助額 100万円~6,000万円 (補助率 2/3)
「卒業枠」: 補助額 6,000万円超~1億円 (補助率2/3)
※卒業枠とは:事業計画期間内に、①組織再編、②新規設備投資、③グローバル展開のいずれかによって資本金や従業員を増やし、中小企業から中堅企業へと成長する事業者向けに用意された400社限定の特別枠。
<中堅企業を対象とした補助>
「通常枠」: 補助額 100万円~8,000万円 (補助率1/2・4,000万円超の場合は1/3)
「グローバルV字回復枠」: 補助額 8,000万円超~1億円 (補助率 1/2)
※グローバルV字回復枠とは:以下の要件を全て満たす中堅企業に向けた100社限定の特別枠。
① 直前6か月間のうち任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高から15% 以上減少している中堅企業。
② 補助事業終了後3~5年で付加価値額又は従業員一人当たり付加価値額の年率5.0%以上増加を 達成を見込む事業計画を策定すること。
③ グローバル展開を果たす事業であること。
3.さらに、緊急事態宣言で深刻な影響を受けた企業には優遇措置も
「通常枠の加点」と「緊急事態宣言特別枠」の2つの措置
緊急事態宣言によって深刻な影響を受け、早期の事業再構築を必要とする中小企業等については、通常枠の審査において加点措置が行われます。さらにこれらの事業者に向けて補助率を引き上げた「緊急事態宣言特別枠」も設定されています。
優遇の対象となるのは、通常枠の申請要件を満たす企業のうち、緊急事態宣言に伴う時短営業や外出・移動の自粛等による影響で、令和3年1~3月のいずれかの月の売上高が対前年または前々年の同月比で30%以上減少している事業者です。
<緊急事態宣言特別枠の優遇措置 >
●事業規模に応じて、下記の補助上限額の設定
従業員数 5人以下 :100万円~上限500万円
従業員数6~20人 :100万円~上限1,000万円
従業員数21人以上 :100万円~上限1,500万円
●補助率のアップ
中小企業:3/4補助・中堅企業:2/3補助
●迅速な審査・採択
通常枠より迅速な審査・採択を実施し、さらに特別枠の審査に落ちた場合でも、加点措置が行われた上で通常枠での再審査が可能となるため、採択率が高くなる可能性が見込めます。
※「緊急事態宣言特別枠」には、採択件数に限りがあります。
4.例えばこんな活用のしかたも
旅館ホテルでのこの補助金の活用法としては、例えばECサイトやネットを活用した新事業展開などが考えられます。自館でお出ししている名物料理やお土産品などを販売するECサイトを新たに構築し、同時にサイト広告などを活用したwebでのプロモーションを実施する。
併せてお食事を通販するために料理の真空パック化の設備機械を購入する費用などに充当することで、宿泊以外の新たな売上げの柱を作り上げることに貢献できるのではないでしょうか。
<経済産業省・関連ページ>
5.公募開始の3月に向けて、今のうちに準備しておけることは
この補助金の公募開始は本年3月となる見込みです。申請は全て電子申請となるため、今のうちに「GビズIDプライムアカウント」を準備しておきましょう。現段階ですでに申請を考えているのであれば、具体的に事業計画の策定などの準備を始めましょう。
<電子申請について>
申請はjGrants(電子申請システム)での受付となる予定です。GビズIDプライムアカウントの発行には2~3週間かかるケースもあるため、早めにIDを取得しておくと安心です。GビズIDプライムアカウントは、ホームページで必要事項を記載し、必要書類を郵送して作成することができます。
<事業計画の策定準備>
事業計画を策定するためにはどうしても時間がかかります。現在の自社の強み・弱み分析、新しい事業の市場分析、優位性の確保に向けた課題設定とその解決方法、実施体制、資金計画などを、できるだけ早めに検討しておいた方がいいでしょう。
また認定経営革新等支援機関との相談も、ぜひお早めに。認定経営革新等支援機関については、下記の中小企業庁のホームページで確認することができます。
コロナによって大きな影響を受けている旅館ホテルにとって、この補助金は事業のもうひとつの柱となる新ビジネスをスタートするのにうってつけです。
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