【SDGs事例研究】ゆのくに天祥・海栄RYOKANSの取り組みとは

【SDGs事例研究】ゆのくに天祥・海栄RYOKANSの取り組みとは

 

SDGsとはSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略で、地球上の「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のために、2030年までの達成をめざす国際目標のこと。

2015年9月の国連サミットにて全会一致で採択され、国連加盟193ヶ国が2030年までの達成を掲げている国際的な目標です。

SDGsは17項目の大きな目標と、具体的な169のターゲット、232の指標で構成され、貧困を終わらせ、地球を救い、持続可能な世界を実現するためのこの目標に対し、国やNGOだけでなく民間企業もが一丸となった取り組みが求められています。

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【CONTENTS(目次)】
1.採用の視点から見る「SDGs」の重要性
2.先進的な2つの宿の取り組み事例
①石川県山代温泉 ゆのくに天祥の取り組み事例
・すべてのスタッフが生涯現役で活躍できることを目標に
・環境保全や平等に関わる取り組みも積極的に推進
②愛知県を中心に19の宿を運営する海栄RYOKANSの取り組み事例
・働く人材と「ともに歩み、ともに成長する - GROW TOGETHER」
・食品ロス削減に向けて「3010運動」も展開

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1.採用の視点から見る「SDGs」の重要性

企業がSDGsに取り組む場合、17項目の大目標のうち自社の企業活動に関連する項目を選んで、これに積極的に注力する姿勢を取っているケースが大半です。

中でも企業が特に重視すべき課題のひとつが17の大目標の中の「8 働きがいも経済成長も」という課題です。

就活生が志望企業をノミネートする際、非常に大きな判断材料となるのがその企業の社会性や成長性です。

SDGsへの取り組み姿勢は、就活生に対してその企業の理念やアイデンティティを雄弁に語れる指標の一つだと言えるでしょう。

旅館・ホテル業界の大きな課題となっている人手不足を解消する意味からも、「これから先」を見据えた企業としての信頼感や社会貢献性の確立とアピールは、今や必要不可欠な要素です。

そこで今回は、企業としての信頼感を醸成するために先進的な取り組みを行っている旅館の事例を紹介します。

 

2.先進的な2つの宿の取り組み事例

①石川県山代温泉 ゆのくに天祥

石川県山代温泉を代表する宿のひとつ、ゆにくに天祥では人が相互に助け合いながら平和で幸せな生活を営める「持続可能な社会の実現」に向けてSDGsに取り組んでいます。

創業以来の理念である「大切な人を大切に思う心」に寄り添って、人と人とが思いやることのできる人間関係とうるおいのある社会づくりを進めています。

すべてのスタッフが生涯現役で活躍できる、働きやすさの実現

ゆにくに天祥ではSDGsの17の課題のうちの「8 働きがいも経済成長も」について、新規採用の人材はもとより自館で働くすべてのスタッフが生涯現役で活躍できることを目標に掲げています。

これを実現すべく館内全体の設備改善や柔軟な勤務体制の整備などを通してより働きやすい環境を整えるとともに、頻繁な改善提案や研修を活用した部門間の連携強化などによって会社全体の効率化を図ることで、人がより働きやすい職場づくりの促進に努めています。

こうした活動成果は国にも認められ、「平成30年度高齢者雇用開発コンテスト」にて厚生労働大臣表彰最優秀賞を受賞しています。

環境保全や平等に関わる取り組みも積極的に推進

旅館にとってもっとも大切な価値のひとつが、宿や地域の環境の素晴らしさ。

ゆにくに天祥は「7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、「13 気候変動に具体的な対策を」という環境保全に関する2つの項目についても数値目標を定めた具体的な取り組みを推進しています。

環境負荷をできる限り低減し、地球環境との調和や地域社会との融和を図るという課題の主旨に沿って、二酸化炭素の総排出量削減、一般廃棄物の排出量削減、水の使用量削減などまでその活動範囲は多岐にわたっています。

さらに「10 人や国の不平等をなくそう」に挙げられている課題に沿って、施設・設備・備品のバリアフリー化などへの取り組みも積極的に展開しています。

▶ゆのくに天祥の公式サイトはこちら

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②愛知県を中心に19の宿を運営する海栄RYOKANS

愛知、三重、富山、愛媛、山梨を舞台に19の旅館を経営する海栄RYOKANSは、各館ごとに地域の歴史や文化、お客様の傾向などを踏まえながらSDGsに取り組んでいます。

おもてなしの質を損ねることなく、より環境に配慮したサービスの提供をめざしていくために外務省の「JAPAN SDGs ACTION PLATFORM」にも参画し、持続可能な未来づくりを目指しています。

働く人材と「ともに歩み、ともに成長する-GROW TOGETHER」

海栄RYOKANSでは「8 働きがいも経済成長も」「10 人や国の不平等をなくそう」に関わる大きな2つの取り組みを展開しています。

その一つめが「休館日の設定」です。2017年からグループの各旅館・ホテルで休館日制度を導入し人事面での待遇を向上。各館ごとに毎月2日間の休館日を設け、働く方のライフワークバランスのさらなる充実を図っています。二つめが「外国人人材の雇用・登用」促進です。

海栄RYOKANSではこれまで毎年、中国、ブラジル、台湾、ベトナム、フィリピン、イタリア、モンゴルなどから、インターンシップや技能実習生、在留資格保持者、留学生アルバイトのほか、特定技能(宿泊業)試験合格者、資格取得者などの外国人人材を積極的に採用しています。

これはインバウンド客などへの多言語対応に加え、今後の海外出店をも視野に入れて自ら育てた人材を各地の施設の幹部社員として登用することを目指すもの。

海栄RYOKANSでは多面的な人材交流とその活用を通じて、積極的にSDGsの目標達成を図っています。

食品ロス削減に向けて「3010運動」も展開

SDGsの大目標の一つに「12 つくる責任 つかう責任」があります。

旅館では廃棄食品の削減がこれに当たることから、海栄RYOKANSでは食品ロスを減らすべく環境省が全国的に展開する「3010(さんまるいちまる)運動」に全面的に賛同しています。

「3010運動」とは、<乾杯後30分間>は自席で料理を楽しむ、<お開き10分前>には自席に戻って料理をもう一度楽しむことをお客様に呼びかけ、旅館・ホテルの食品ロスを削減していこうとするものです。

この運動を推進した結果、グループのある旅館では宴会の残飯率が平均40%から10~30%へと大きく改善。宴会によっては残飯率0%というケースもあるなどめざましい結果を残しています。

またこのキャンペーンは今般の新型コロナ感染症を受けて、お客様の「3密回避」の取り組みとしても役立ち、お客様に安心・安全に楽しんでいただく上でも大きく貢献しています。

海栄RYOKANSの公式サイトはこちら

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今回、紹介した両館に共通するのは、単に目標を言葉で掲げるのではなく目指すべきゴールを明確な数値として定め、その達成に向けて具体的な活動や施策に取り組んでいることです。

社会の一員としての旅館・ホテルにとっても、持続可能で多用的な社会の実現は自らに課すべき大きな課題です。

つねに「私たちにできることは?」という問いかけを持ち、具体的な課題に対して謙虚で真摯な姿勢を貫きながら、企業活動を通じてSDGsの実現を目指していくことが大切です。

旅館・ホテルにとってSDGsに取り組むことは、採用面でのアドバンテージはもちろん自館スタッフの働きがいの向上と離職率の低下などの好循環が生まれるのはもちろん、地域社会からの信頼感の醸成やお客様満足度の向上にも結びついていくことでしょう。

まずは身近なこと、小さなことから、皆様の宿でもぜひ「私たちにできること」を考えて具体的なアクションに結びつけてみてはいかがでしょうか。


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