ホテル・旅館の業務効率化の方法とは? 改善ステップと具体例を紹介


ホテルや旅館といった宿泊業界にとって、新規顧客を獲得することと既存顧客を維持してリピーターを獲得することは大きな課題のひとつです。そのためには、お客さまが満足するより良いサービスや、ワンランク上のおもてなしをする必要があるわけですが、実際には日々の業務をこなすことが精一杯でサービス向上のための時間や人員が見出せないというケースも少なくありません。こうした問題を解決するために欠かせないのが「業務効率化」というわけです。
では、実際に業務効率化を実施するためにはどうしたら良いのでしょうか。改善ステップと具体的なポイントについて詳しく解説していきます。

ホテルや旅館でも業務効率化が求められている

少子高齢化による労働人口の減少や、働き方改革による時間外労働の上限規制などによって、多くの企業が人材不足の中でどのようにして利益を出すのかという課題に直面しています。特に、慢性的な人手不足に悩むホテルや旅館などの宿泊業界では、日々の業務をこなすことに精一杯でサービスの質が低下してしまったり、顧客満足度を向上させるための戦略にかける余力が残されていなかったりというケースも少なくありません。

限られたマンパワーと労働時間の中で、ホテルや旅館がサービスの質を落とすことなく生産性を上げるためには、日々の業務内容を見直して無駄を省く「業務の効率化」が必要というわけです。

可視化と分解で業務の改善点をみつける

働き方改革の重要課題でもある「業務効率化」というのは、ホテルや旅館の業務を遂行する上で生じている「無駄」や、マンパワーに見合わない作業量や実践不可能なスケジュールによって生じる「無理」を取り除くことによって効率性を改善させることです。

業務効率化を行うことで、人件費をはじめとするさまざまなコストの抑制や、従業員の働きやすさといったメリットがあるだけでなく、時間に余裕が生まれることによってより質の高いサービスの提供を行うことができるなど、結果的に収益性の向上にもつながっています。

では、実際にホテルや旅館が業務効率化を行う場合、どのような部分から着手すれば良いのでしょうか。業務効率化を成功させるための鍵となるのが、業務の「可視化」と「分解」です。ホテルや旅館では部門によって業務が大きくことなるため、業務の無駄や無理を正しく把握するためには、まず日常行なっている全ての業務をドキュメントにし、作業内容を可視化することが大切です。

その際、書き出した業務内容は細かいタスクに分割して業務の分解を行いましょう。こうすることによって、重複している作業や効率の悪い作業、実際の目的と作業のズレといった具体的な問題点を発見することができるからです。


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業務効率化のステップ

業務効率化というのは一朝一夕で実現し得るものではありません。成功させるためには、手順を踏んで丁寧に物事を進めていくことが大切です。具体的なステップとしては、まず現状を正しく理解することから始めましょう。ホテルや旅館の業務を全て可視化することによって、どのような部分が業務の課題になっているのかを見つけます。

次に、見つかった課題や問題点について、その原因を特定していきましょう。そのうえで改善のためのアイデアを出し合い、実際にできそうなことから始めていきます。業務効率化のための新たな取り組みを行った場合には、必ず効果があったかどうかを検証することも大切です。このようにして出されたアイデアを順番に試していきます。

改善例1:フロントのマニュアルを作成し業務の属人化を回避

ホテルや旅館が業務効率化に取り組む上で欠かせないのが、マニュアルの作成です。特に複雑で多種多様な仕事が発生するフロント業務では、マニュアルの作成は最優先されるべき項目のひとつと言えるでしょう。

フロント業務の課題

フロント業務というのはチェックイン・チェックアウトの手続きや入金処理などの事務作業など、実に多種多様で煩雑な業務が集中しています。お客さま対応など臨機応変な対応が求められる機会いも多く、スタッフの質がそのままサービスの質につながるといっても過言ではありません。

このように、ある特定の人が業務を担当し、その人にしかやり方がわからない状態を「属人的」と言います。こうしたフロント業務の課題を解決するために欠かせないのがマニュアルの作成です。マニュアルを作ることによって、特定の人に業務が集中する属人化を防ぎ、誰にでも仕事内容がわかるように「標準化」する必要があるのです。

改善事例

接客におけるさまざまな場面や事務作業についてマニュアルを作成していきましょう。その際には、前述した改善ステップに基づいて細かくタスクを洗い出して、それぞれに明確な行動指針や基準を設けることが大切です。

また、教育方針を定めることでスキルのばらつきを極力なくすことも必要でしょう。作成したマニュアルは3ヶ月や半年に一度のタイミングで更新していくことも忘れずに。

改善例2:客室清掃スキルアップによる清掃時間の短縮

客室業務のなかでも、清掃は質を維持したまま時間短縮が求められる業務のひとつです。特に次のお客様が控えている場合には、チェックインまでに急いで清掃を済ませなくてはいけません。スタッフのスキルを向上させることによって、清掃時間の短縮を目指しましょう。

スキルアップへの取り組み事例

前述した改善ステップに基づいて業務を可視化・分割し、スキルチェックシートを作成しましょう。また、動画マニュアルの作成や、スキルにばらつきのないシフト作成も効果的です。ベテランスタッフと新人とを同じシフトにすることで、教育効果もあります。また、課題などはミーティングでしっかり共有することも大切です。

デジタルツールを使用した業務効率化も有効

既存の作業の見直しだけでも、十分な効果が得られることがありますが、予算に余裕があるのであればデジタルツールの導入を検討してみるのもよいでしょう。具体的には、宿泊部門で扱う様々な情報を一元管理できるPMSや、客室へのタブレット端末導入などを導入することで、いままでスタッフが行っていた作業をデジタル化し、業務改善に繋がります。


一見改善点がないと思われるような業務であっても、細かく分割して課題を探すことにより、改善アイデアが見つかる可能性もあります。上記の内容を参考にした上で、業務改善に取り組んでいきましょう。

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