「整う」ブームに思う|観光マーケティングプランナーのちょっと視点を変えた連載コラム032

「整う」ブームに思う|観光マーケティングプランナーのちょっと視点を変えた連載コラム032

 

思えば2021年の新語・流行語大賞にもノミネートされていた「整う(ととのう)」。

サ道というワードと共に流行のサウナ・ムーブメントの代名詞のように使われているが、元々旅行に行き、旅館に宿泊し、広々とした大浴場で遠慮なく四肢を広げ、とびきりの滋味に舌鼓を打ち、いつもより時間を贅沢に使う「旅館ライフ」こそ、自分を「整える」儀式のように感じていた自分には、せっかくならサウナだけでなく「宿そのもの」を整える手段とした方が数倍楽しいのに、と感じてしまう。

より個人客化が進み、宿においても個性を生かした商品づくりが進む中で少し広めのサウナを設けた客室や、ロケーションも愉しめる展望サウナ、本格的なログハウス仕立ての離れ家サウナなど、そうした「整える場」をコンセプトにした設備投資も人気と聞く。
 
さて「整う」とはどういう意味なのか。

広辞苑には「欠けるところなくきちんと揃う」「調子が合う」「具合よくまとまる」「用意が出来上がる」「揃える。まとめる」と記されている。サウナファンによると、血行が良くなり、汗と共に知らずにカラダに溜まった疲れが抜け、精神的にもリフレッシュして生まれ変わったような爽快な心地が得られることだ、と言う。

熱さが苦手な自分にはそこまでサウナだけで「整った」記憶は無いが、時間があり余っていた学生時代に、表示されていた手順通りにきっちりと時間も守ってサウナに入り、水風呂に浸かり、クールダウンする、というアクションを2回繰り返したところ、翌朝起きようと思っても身体に力が入らず、関節という関節全てが痛み、声もガラガラになった事があった。しばらくして動けるようになると全ての関節のサビが落ちたようにスルスルと気持ちよく動くようになった。今思えばそれが「整った」ことだったのかもしれない。

VUCAの時代と言われる現代。本当に先が見えず、気づかない内に心が傷みがちだ。やっとひと段落したかに見えた新型コロナも再び急速に感染が拡大し、雨予報の曇り空のように何となく晴れない気分を抱く旅館経営者の方々も少なくないだろう。

そうした中で社会を取り巻くスピードはどんどん早くなり、日々決断を迫られることも多い。心を平静に保っておかないと、つい感情に左右され、舵を切り誤ることがあるかもしれない。心も同時に「整えておく」ことが大切だ。

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内閣府では「人間力」の要素の一つとして「自己制御的要素」を掲げている。その内容は全部で3つある。1つ目は「意欲」。社会参加意識や目標達成など、目的意欲を持つこととしている。2つ目は「忍耐力」。自分の欲求や衝動を適切にセルフコントロールし、ゆるぎない信念のもと、粘り強く続けていくことが大切と定義している。そして3つ目は「自己受容・自己実現力」。ありのままの自分を受け入れた上で成功モデルや将来像を思い描き、そこに向けて自分の可能性を広げ努力できる力が大事、としている。

文章にすればそうなるのだろう。しかしながらすべての人間がいつでも強くいられる訳ではない。そういう時こそ、自分自身で自らを解き放ってあげることも大事である。今まで何人もの優れた旅館経営者の方々とお会いしてきたが、押しなべて優秀な経営者の方々はその「抜き方」「解き放ち方」も上手な方々が多かった。
 
今や旅の愉しみ方は千差万別。何かの目的を達成するために宿に泊まる人がいれば、宿に泊まることそのものが目的の人もいる。必ずしも上質なサウナやリラクゼーション空間を用意しなくても、心や身体を整えたい目的で宿に宿泊する人々に対して緩やかに解放感あふれる時間を提供できる施設は、たくさんあるものと思う。

ぜひそんな視点でWeb広告を展開し、ランディングページを用意して自社サイトへの吸引に繋げてみては如何だろう。現代のお客さまは思っている以上に受動的。そうしたメッセージを形にしてみると、今まで振り向いて頂けなかったお客様を獲得できるチャンスに結び付けられるかもしれない。

“整う”をプロモーションに。

そのままでも十分自分を整えられる優れた場だと感じる旅館をいくつも知る身として、そんなことを思った。

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