
或プランナーの独り言
できないコト と できるコト。|観光マーケティングプランナーのちょっと視点を変えた連載コラム046
◯旅館ホテル・観光にかかわる、老若男女様々なプランナーによるリレーコラムです。
情報ラインを眺めてみる。
よく耳にするセールストーク、「WEB情報を駆使して、複合的に当館の予約に到達する道筋を・・・云々」・・・要約するならば、SNS(instagram・X・Facebook・Pinterest など)や投稿系の旅行系ポータルサイト(トリップアドバイザー・4トラベルなど)や各旅行業者系ポータル予約サイト・旅行費用比較サイト・地域情報発信サイト(観協や旅組のHP)・貴社のHPやブログ・・・等を使って、貴社の魅力や特典を訴える。・・・ということです。
これらすべてに、良質なニュースを創って、網をかけるとなると、相当な人員やブレーンを使って対処しなければならない。スタッフの多い大型の宿泊施設であれば、それに従事する人員を配置する事も可能かもしれませんが、オールラウンドに何役もこなす社員がギリギリの人員でお客さまに対応している施設では、限りなく不可能なコトになり、さらにWEBの世界を不得手とする方々にとっては素人がオリンピックに出ていきなりメダルを取るかのような夢物語に感じるのではないでしょうか?
さらに、「良質な情報」を創って発信する行為自体も結構大変。 貴社の商品がどんなに優れた商品であっても、「伝える力」が弱ければなんの意味もない。それには、写真技術やコピー構成力など、「センス」にも長けていないと、伝わるものも伝わらず御蔵入り。
ワタシが過去に記した「イマドキの旅さがし」でご紹介した、旅情報の収集を日常行っているごく一般的な方々の旅行サーチネットワークにもおそらくはまったくひっかからない。
もちろん、それらをプロに任せる方法もあることはあるのですが、いかんせんランニングコストがけっこうかかるし、WEBに詳しいという知り合いに頼むにしても、こうした業務に知見が長けているかどうかは判断しにくい。(経験上、頼まれて「出来ない」という人は滅多にいない)どうにも八方塞がりになり、ついには「保留籠」に入れてほうっておく。
・・・そうこうしているうちに売上帳が薄くなりはじめ、しずかに悪循環に陥る可能性も。
ならば、あきらめるのか?いえいえ、あきらめずに、コツコツと進むやり方など、ひとつだけご紹介したいと思います。
「ネタモトを強くする。」
レディスプラン?いやいやファミリープラン?一人旅?・・・など聞き音の良いいろんな施策を考える前に、やらなければならないことはまず、「自館の最も強い部分は何なのか?」を考えるコトでしょう。
お料理?ロケーション?お風呂?女将のおもてなし?又は、古さ? 足元の経営陣方々や社員の方々でこれらを話し合う前に、まずはお客さまの視線からのご意見をお聞きする。お迎えやお見送りのちょっと瞬間に何気なくサラリと。
さらには各OTAのクチコミ(過去1~2年分ほど)からGood!なワード(例えば露天風呂がスバラシイetc)と、Bad!なワード(朝食の量が足りないetc)を拾い出して一覧化し、順列をつけて並べてみる。
それらをまとめて、はじめて社員全員で話し合いの場をつくります。 「いったい、何が良くて、当館をお選びいただいているのか?」シンプルに、これをまず明確にしてNo1~10まで並べてみる事です。施設の規模に応じて「最初は一番目のひとつ」に集中してもよいし、「上から三つ目まで」なんとかなると判断すれば役割を分散してもいいかもしれない。
自分自身の強みを知った次に行うコトは、「では、どうすればもっとよくなれるのか?」を話し合うことです。これが「戦略」になる。 「露天風呂がスバラシイ!」のであれば、もっとスバラシイと言って頂くために、夜の照明を工夫しては?湯舟酒のサービスはどうか?植栽をもっと増やして季節の花を湯船から愛でる雰囲気を?・・・など、どんどんアイディアを実現してゆきます。
それが、「自館のネタモトを強くする。」という意味&行為です。 一番の宣伝は、「従来から来ていただいているお客さまに、太鼓判を押していただく事。」ネタモトを強くした姿をお客さまに体験して頂き、そのお褒めの声を記録に残して、「当館の情報」として、自館ができる範囲でそれを発信します。
例えば・・・「露天風呂のツツジがもうすぐ満開!お母さんに感謝の旅など如何ですか?>母子旅ご利用には特別室を〇〇%OFF(平日限定)」などというストーリーを商品化した場合、
①予約サイトに商品埋め込み(しない場合はPDF頁を作成しリンク)
②自社サイト「新着情報」・「ブログ」に連続掲載
③自社メールフォームに15字以内のコピーでPDF頁リンクを設定
④協会・組合の自社リンクサイトのURLをPDF頁アドレスに切替
⑤その他、自社SNSにて発信
・・・・などやってみる
最初は、当館のブログひとつでも良いし、おそるおそるinstagramにあげてみても良いでしょう。たとえ、セッションが小さくとも、そのやりとりから、いろんなことが学べると思います。
最初は小さなスキルでも、それが積み重なれば短い期間で自社オンリーのストラテジーになってゆきます。(それがWEBの良さ)
八方塞がりだからといって、あれもこれもと、八方美人になる必要はまったくありません。 それに、どんなにレトリックな手業で予約まで招待されても、実際体験した宿泊の内容が「ごくフツー」か「ザンネン」であれば情報発信の努力は、水泡に帰すと同じ事。
まずは、「自分のイチバンのネタモト」をしっかり見据えることから始めれば、それを伝える方法はちゃんとあとからついて来ます。
もし、いろいろやってみて、さらにもうワンステップ伸ばしたい時には、どうぞいつでも当社にご相談くださいませ。
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