また訪れたくなる、かけ流し露天風呂を愛でる静かな宿が福島に。人気宿が仕掛ける次の一手とは?【福島県高湯温泉 安達屋】
福島県高湯温泉は、泉質の良さと福島駅から車で30分の距離ながら山あいの静かな温泉地。安達屋はその中でもNo.1の人気がある宿です。
この安達屋では現在、観光庁の「地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化事業」を活用して改装リニューアルを着々と進めています。
1.四百年の歴史を今に活かす、おもてなしの宿
古くから効能の高さで知られた高湯温泉。エメラルドグリーンの乳白色をした硫黄泉は肌触りも良く、美肌維持皮膚病・成人病にも効果が期待できると、東北新幹線の開通以降は首都圏からの来客も増え、豊かな自然に包まれた名湯として多くの観光客を集めてきました。
そんな高湯温泉を代表する宿、安達屋旅館は慶長十二年の開業以来400年に渡る歴史を重ね、日本でも屈指の大露天風呂など贅沢な温泉環境を有しています。
また古き良き日本の伝統を堪能できる囲炉裏端での食事に、ソムリエによる料理と酒のマッチングの妙を添えるなど、「温泉で諸人のために尽くせ」という開業の理念を映し出すきめ細やかなおもてなしによって、今も多くの旅人の支持を集めています。
2.老朽化への対処だけでなく、新たなマーケット獲得も視野に
バブル崩壊や新型コロナ禍など、高湯温泉にも少なくない打撃を与えた時代の大きな波を乗り越えて、今も地域一番店として堅調な稼働率を推移し続けている安達屋ですが、建物そのものの老朽化は避けることができず、これまでにも都度都度の改装・リニューアルを重ね、つねに時代に合ったサービスの提供を継続してきました。
特に最大の売りである温泉のリニューアルと、「今」の市場傾向に応えられる施設へのリフレッシュは喫緊の課題であり、今回の改装計画もこれを重視したプロジェクトとなっています。
温泉のリニューアルテーマは「誰もが安心していつでも入浴できる大露天風呂と大浴場」の実現。
特に女性客からのオールタイム入浴できる浴場に対するニーズの高さに応えて、滞在中は昼・夜・朝と時間にとらわれることなくいつでも自慢の温泉を満喫することができる施設・環境を整備します。
また男子大浴場については大露天風呂へのアクセスの向上を図るため、現在地から移設するなど、大幅な改修が計画されています。
このリニューアルによってインバウンド客に対する魅力度の向上や、日帰り入浴客のさらなる増大などの大きな効果が期待されています。
また団体客から個人客へのシフトに答えて、モダン性や使いやすさなどをより充実させた新客室を作り出すことによって「温泉で暮らすような、新しい生活の場」を提供。
観光目的での宿泊客はもちろん、今後の「湯治」目的での長期滞在のお客様も視野に入れた新たな客室環境の創造にも力を入れました。
3.安達屋のめざす、高付加価値化の目的とは
安達家が高付加価値化事業によってめざすのは、インバウンドを含めた新たな客層を獲得することによって地域全体に観光の新たな流れを創り出すこと。
今回のリニューアルも、高湯温泉を含む福島市地域が「観光庁の地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化事業」に採択されたことから、これを活用して進められたものです。
この目的は単に施設の改装だけにとどまらず、「地域の魅力」を発信する宿としての立ち位置やおもてなしのあり方そのものにまで波及する取り組みとなります。
特にインバウンドの拡大に関しては、地域の「食」をアピールすることが重要な要素のひとつ。
安達屋ならではの「囲炉裏料理」の他にも、地域産の多彩な日本酒やワイン、各種地産フードの提供なども積極的に行いながら、高湯温泉と福島県の魅力を世界に発信できる宿としてのスタンスを強化させていく考えです。
4.リニューアルした新施設をご紹介
●ラウンジ
今年3月、お客様により高付加価値なサービスを提供し、さらなる満足度の向上をめざして改装したラウンジ『THE LOUNGE -Hêtre- " エートゥル “』は安達屋の裏に広がるブナ林から名付けられた居心地の良い空間。
新しいラウンジは宿泊者専用となっており、15時〜18時はアペリティフタイム、19時〜22時はバータイムとして、アルコール、ソフトドリンクなどが無料で提供されます。
異なる趣を持つもう一つのラウンジ『THE LOUNGE -TOMOSHIBI- “灯”』とともに、やさしい時の流れを慈しむような上質なくつろぎを愉しめます。
●客室
ラウンジに続いて今年9月には客室の一部を改装オープン。
安達屋の個性豊かな全18室の客室は、これまでにもより上質な居心地を追求して度々のリニューアルが施されてきました。
今回の改装にあわせて、4室を全面リニューアル。それぞれの景観や、利用スタイルにあわせてしつらいを整え、「今」の観光客のニーズに応えて至上のくつろぎをご提供できる空間に生まれ変わりました。
●大浴場棟の改装も進行中
さらに現在、大露天風呂および男女大浴場棟の改装工事が進んでいます。
これまでは時間制限のあった大露天風呂を2つに分割し、男女ともオールタイムの利用が可能になりました。
大浴場も、そのまま露天風呂につながるようにリニューアルし、景観&利便性が大きく改善されました。
自然の中に溶け込むような癒やしを体験できる国内有数の温泉がより清潔に、よりモダンに生まれ変わることで、インバウンド客にとって日本文化の醍醐味をより深く味わえるという大きな魅力を生み出します。
完成の暁には、ふと気が向いたときにいつでも入れる大露天風呂を筆頭に、安達屋としてのさらなるアピールポイントが誕生する予定です。
安達屋では「高湯に来るなら安達屋へ」という現状の立ち位置から、「東北の温泉の旅は、安達屋へ」という認知へとさらに広げていくことを目標としています。
東北の中で最も首都圏に近い福島県の立地メリットと、最高級の泉質をもつ大露天風呂を持つ宿という利点を最大限に活かして首都圏へのイメージ浸透を深めつつ、インバウンド客に対する強いメッセージの発信も並行して進めることで、近い将来には「日本の温泉なら高湯の安達屋」というブランドイメージを構築させたいと考えています。
インバウンド客の声を公式サイトで積極的に紹介したり、日帰り客に対するサービスの強化など、全方面への施策を拡充させることによって、「日本の温泉の力」を最大限に活かした地域広域観光振興に向けた歩みを続けています。
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