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特別寄稿「エビデンスに基づく観光まちづくり」支援|データストラテジー社の取組みご紹介

観光地経営や観光まちづくりに取り組まれている自治体やDMOは数多くありますが、充分なデータ活用をはじめとした観光DXに取組んでいると答えた自治体は11%というデータがあります。

出典|2024年度観光事業に関する自治体実態調査|一般財団法人デジタルスマートシティ推進財団

今回は、来年度事業計画が固まりつつある段階の観光行政やDMO、各種観光団体のみなさまで、「令和7年度観光庁概算要求:全国の観光地・観光産業における観光DX推進事業」に手を上げたいが、専門家不在で、チームビルドからお困りといった状況の地域の皆さまや、またはこれから発表される補正予算の中で「観光地のデータ経営に資する事業に取り組みたい」や「過去の観光庁補助事業:地域一体高付加価値化の面的DXにおいて検討した地域や事業実施したが見直しが必要な地域の方々にリゾLABがお薦めする観光DXの伴走支援事業者のご紹介です。

以下、データストラテジー株式会社 社長 武田元彦さまに御寄稿いただきました。観光地経営におけるデータ活用を進めるべき理由およびデータ人材不足の地域こそ、課題の優先順位付けと戦略設計、そして事業推進のチームビルドが重要であるとご教授いただています。


1.観光庁が推進する観光DX

観光庁では、観光業の消費拡大・再訪獲得・生産性向上などを図る手段として観光DXを推進しています。直近ではデータ収集・蓄積を進めている自治体やDMOも増えています。

その一方で、観光DXやデータ収集を進めているが、成果を感じるまで時間がかかっている、分析人材の不足やチーム体制の構築などでの課題もよく聞かれます。

データを収集するのはあくまでスタート地点であり、データに対する戦略を持つことが重要です。

こうした戦略の見直しや策定は、遅すぎる・早すぎるということはなく、実際にプロジェクトが走り出してからでも都度見直すことで、より成果に繋げることができます。

2.戦略なき観光DXやデータ活用は地域を疲弊させる

 観光DXやデータ活用は、それ自体はあくまで手段ですが、時としてそれ自体が目的化しがちです。よくあるケースとして、次のようなことが起きたりします。

例えば、あるDMOでは、地域をPRするためのキャンペーンを企画。コンペを落札した広告代理店は、その地域出身の漫画家とのコラボレーションを提案。観光DXをテーマにVRやARを活用したイベント開催や、スタンプラリーアプリの開発を行いました。

イベントの期間中は盛り上がりを見せましたが、その次年度は予算が確保できずイベントは単年度で終了。スタンプラリーアプリも新規登録者は停滞し、地域からは「予算の切れ目が縁の切れ目」「イベント運営に疲弊しただけで、何も残らなかった」との声も・・。

こうしたことが起きてしまう課題の背景として、「戦略を持ってデータ分析やDXを進められる人材の不足」があり、実際に観光庁の調査でも示されています。

出典)|観光庁 R5年「登録DMO現状調査」

 民間企業でもデータ分析やDX人材の不足は度々課題にあがり、こうした人材はそもそも世の中に不足しています。こうした課題に加えて、DMOには「観光まちづくり」特有の難しさもあります。

3.観光まちづくりの難しさ

一般企業で進めるデータ活用やマーケティングと、観光まちづくりで進めるデータ活用やマーケティングは全く異なります。これは、観光地がさまざまな事業者から構成される複数の事業者の「集合体」であるからです。

複数の事業者から構成される観光地では、何が起きるのでしょうか。私たちは、次のような構造的な問題があると考えています。

①合意形成が難しい
マーケティングには意思決定が重要です。より売れる商品を作るための「選択」は必ず必要になります。ところが、意思決定者は1人ではなかったり、明確に決まっていないケースがほとんどです。

②売上の把握が難しい
一般企業では、自社商品がどれぐらい売れたかを把握しています。当たり前のように聞こえるかもしれません。ところが、観光地での売上、つまり地域全体での観光消費は、正確に把握することが困難な上に、把握すること自体に調査コストが必要です。
そのため、マーケティングにいくら掛けたら売上がどれぐらい伸びたのか?を把握することに、調査コストや労力をかける必要があります。

③明確な指示系統がない
一般企業では、組織の中に上下関係があります。そのため、指示が通りやすいですが、観光地では、行政や観光協会が号令をかけたからと言っても必ずしもその通りにはなりません。
そのため、戦略を決めても思い通りに関係者が動かないこともよくあります。

観光地経営と言う概念が日本に取り入れられたのが最近のため、観光地におけるデータ活用やマーケティングを実践している人は、国内にはほとんどいないのが実情です。

4.データで「わかり合う」経営

 私たちは、こうした観光まちづくり独特の難しさに対して、「データ」が武器になると考えています。観光まちづくりを考える上で、「観光客」「観光事業者」「地域住民」が相互に理解を深めることが大事ですが、そのための武器としてデータが活用できると考えています。

三者の相互理解がポイント

データによって、観光客・事業者・地域住民の考えや行動が可視化されることにより、議論が生まれ、困ったときや迷った時の道標として活用することで、少しずつ合意形成を作りながら、観光まちづくりを進めていくことが有効です。

「私はこう思う」ではなく、「顧客はこう思っている」を示すことにより、客観的な議論が生まれ議論を前に進めることが可能になります。

兵庫県豊岡市のケーススタディ「観光客のことを、観光事業者が理解する」

地域のマーケティングを考える上で、こういうシーンに直面することがあります。

「これからは若い世代にもっとアピールしなきゃだめだ。20-30代の女性を中心に戦略を考えよう」「いやいや、そうは言っても50-60代以上のシニア層の方が実際に来ているし、時間とお金に余裕があるんだから、そっちを注力すべきだ」

この時、適切にデータを収集・分析し、「実際に顧客はこう考えている」と言う示唆を出すことは、議論を進める上での有効なきっかけになります。
こうした「データに基づく観光客の理解」を進めているのが、兵庫県豊岡市です。

兵庫県豊岡市では、2016年に一般社団法人豊岡観光イノベーション(豊岡版DMO)を設立。その中心となる事業の1つにインバウンド向けのWEBサイト「Visit Kinosaki」 があり、弊社は立ち上げ当初よりマーケティングやデータ活用を支援しています。

Visit Kinosaki では、豊岡市に位置する城崎温泉などの市内の主要な観光情報の発信に加えて、宿泊予約まで一貫して可能なWEBサイト(地域版OTAサイト)として運営され、好調に売り上げを伸ばしています。

売上が成長している背景の一つに、「顧客インタビュー」があります。 Visit Kinosaki の立ち上げ当初より、定期的に顧客の声を職員自らが街に出てヒアリングしたり、1時間のデプスインタビューを行ったり、来訪者向けの定量アンケート調査を継続的に行ったりすることで、包括的に顧客を理解する取り組みを続けています。

そうして集められたデータに基づき、顧客の心理やインサイトを抽出し、戦略の立案や修正を継続的に行っています。また、Visit Kinosaki でのアクセスや売上に加えて、最終的な地域全体の「売上」に相当する経済効果の把握も行っており、その取り組みは、事例集やメディアにも度々取り上げられています。  

2024年3月24日 日経新聞(電子版)より - DMO職員とデータストラテジー代表武田で実際にインタビューを行う様子

私たちは、こうした「実践」を調査会社に丸投げするのではなく、DMO・自治体担当者と一緒に行うことを重視しており、共に働くことでチーム全体の人材育成が期待できます。実際に、豊岡DMOでは職員自らが広告運用やアンケート設計・実行を行ったり、クリエイティブ制作会社へのディレクションも行ったりできるようになり、組織としてマーケティングを推進する力が高まっています。

直近では、さらに進化した取り組みとして、顧客データに基づく海外インバウンド向けのメール等を活用したCRMマーケティングや、生成AIを活用した業務支援・顧客対応にも取り組んでおり、こうした顧客接点からもより顧客を理解するためのデータの収集と分析を進めています。  

出典|Visit Kinosaki での 生成AIによる多言語自動接客

さらに、データで「分かりあう」経験を通じ、マーケティング人材を育成することが可能です。弊社が支援するプロジェクトでは、自治体職員やDMO/観光協会職員が自ら顧客データを収集し、それに基づき広告を運用したりSNSを運用したりすることで、マーケティングに必要なデータの収集方法や分析方法を身につけ、結果として人材育成に繋がっている事例も複数あります。

 5.データストラテジー流の観光まちづくり支援

 観光まちづくりは、地域によって異なる状況や歴史を重視すべきであり、画一的に「このソリューションを導入すれば良い」と言うものではないと考えています。

我々は、観光まちづくり分野での経験があるデータ人材として、各地域の課題に応じた戦略を一緒に考えることを大事にしています。
併せて、私たちと一緒に考え、プロジェクトを実行することで、自治体・DMOでの人材育成の効果も期待できます。

私たちのチームは画一されたソリューションを提供するのではなく、クライアントチームに不足しがちな「観光まちづくり分野の経験があるデータ人材」を補うという視点でプロジェクトに入ります。

そのため、自社のソリューションを提供するのではなく、課題に対して最適なチームを社内外を超えて作ることを意識しており、これまでに全国の自治体・DMOや観光事業者とのプロジェクト実績があります。  

6.データストラテジーに相談してみませんか

データ活用やDXは、戦略を持って行うことで、より効果に繋がるプロジェクトにすることが可能です。

特定のソリューションを持たない弊社だからこそ、具体的な事業内容が決まっていない段階でも、柔軟に方向性を示すことができます。
予算がすでに決まっている段階であれば、ある程度決められた予算金額の中で、出来ること・出来ないこと、短期的・中長期的にすべきことの整理を通じ、事業の方針をより具体的にすることも可能です。

 初回相談は無料で行っております。少しでもご興味をもたれたら、是非お気軽にお声がけください。


いかがでしたでしょうか?
武田社長の丁寧な解説で、同社の理念を感じ、先進事例含めて姿勢への理解が深まったことと思います。

もう少し詳しい資料が欲しい方は、事業紹介資料をこちらからダウンロードいただけます。

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また、ぜひすぐにでもデータストラテジー社に相談してみたいという方は、下記までご連絡ください。

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参考サイト|データストラテジー社コーポレートサイト、武田社長note


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