外国人が日本に来て不便・困ったこと8選!対策も紹介
国際的なイベントも数多く開催され、日本を訪れる外国人観光客は今後ますます増加することが期待されています。ホテルや旅館などの宿泊業界ではインバウンド対策が急務となっていますが、未だにどこから手をつけて良いのかわからず、未対応の施設も少なくありません。
心のこもったおもてなしによって外国人観光客に日本滞在を楽しんでもらうためには、どのような部分に力を入れてインバウンド対策に取り組めば良いのでしょうか。日本を訪れた外国人観光客が感じる不便や問題点に触れながら、ホテルや旅館が取り組むべき課題を見つけていきましょう。
1.無料Wi-fiが少ない
インターネットやスマホの普及によって、観光地の情報をインターネットで収集する外国人が増えました。外国でもインターネットを快適に利用するためには、無料Wi-Fiが使える環境が必要です。最近では無料Wi-Fiが使える環境が整えられていますが、地方ではまだまだ無料Wi-Fiを使える場所が少ないことが現実です。
自分でWi-Fiを準備して来日する外国人もいますが、気軽にインターネットを快適に使える無料Wi-Fiが少ないと、外国人は不便に感じます。
インターネットやスマホが普及したことによって、空港や駅の構内、飲食店、大型の商業施設など、無料Wi-fiが使える場所は大幅に増加してはいるものの、地方によっては無料Wi-fiが使える環境が整っていないところも少なくありません。
私たちが国内旅行をする際にスマホやタブレットを使ってネットから情報を得るのと同じように、日本を訪れている外国人観光客もSNSを利用して情報収集をしたり、スマホのマップ機能を使って目的地を目指したりしています。場所によってはWi-fi環境がないため、不便に感じることも多いようです。
▶対策
外国人観光客の満足度を上げるためには、Wi-fi環境を整えることが効果的というわけです。街中で使用できる無料Wi-fiが少ないのであれば、最低限ホテルや旅館の館内ではどこにいてもネットを利用することができるように、無料Wi-fiを設置するとよいでしょう。
また、SIMカードの販売機を設置する手もあります。現在、来日者向けにSIMカードの自動販売機を設置する企業や施設が増えており、ホテルでも設置が進められています。SIMカードの設置は、種類や宿泊日数を細かく分けて販売することで、外国人も無駄なく利用可能です。
無料Wi-Fiの設置が厳しい際や、さらに顧客満足度を向上させたい際は、SIMカードの販売機の設置も検討しましょう。
2.施設のスタッフとのコミュニケーションが取れない
多言語対策のなかでも英語に関しては、都市部だけでなく地方でも対応可能な地域が増加していますが、スタッフや旅行客の中には英語が理解できない方も多く、ホテルや旅館滞在中にスタッフとのコミュニケーションがとれず不便さを感じることがあるようです。
チェックイン、チェックアウト、食事の際などに、細かいニュアンスが伝わらず、双方が困ってしまうこともあるようです。また、大浴場や浴衣の着付けなどのマナーや作法が分からないこともあるようです。ホテルや旅館が用意した、折角のおもてなしが理解されなかったり、また訪日外国人のお客様のニーズを汲み取れずサービスに満足いただけないなど、言語の壁で気持ちが通じ合わないのは、お互いにとって残念なことです。
地方にも外国人観光客の流入が進んでいます。しかし、地方でのホテルでもスタッフが外国語に対応しておらず、コミュニケーションがとれないことが課題です。
インバウンド需要に対応できれば、より多くの売上が見込めます。しかし、インバウンド需要への対応には外国人への対応が必要不可欠であり、最低限英語を喋れる人材が求められます。
また、英語を喋れない場合でも翻訳機能を活用したり、頻繁に使う英語を一覧にしてコミュニケーションをとったりなど、スムーズなコミュニケーションの工夫が必要です。
▶対策
現在では、同時通訳を可能にするアプリやポケット翻訳機、多言語表示可能な客室タブレットなどもありますので、それらを導入するのもよいでしょう。
例えば、ポケット翻訳機や同時通訳ができるアプリを活用すれば、その場でスムーズなコミュニケーションがとれます。従業員に語学スキルがなくても、コミュニケーションがとれるためおすすめのツールです。
参照|ホテル内線、chatbot、案内メニューの多言語がAIで低コストに
参照|動画生成AIによる最先端案内動画が大幅低いコストで可能に
3.多言語表示が少ない・分かりづらい
日本を訪れる外国人観光客のための多言語対応は地域格差が非常に大きく、都市部や人気の観光名所などでは多言語表示が積極的に行われているのに対し、地方では地図や看板の多言語表示が少なかったり、分かりにくかったりするケースも少なくありません。
こうした「多言語表示の少なさ・わかりにくさ(観光案内板・地図等)」は、観光庁が行なったアンケート中の「訪日観光で最も困ったこと」で、無料Wi-fi不足の問題に次いで3位にランクインしています。
▶対策
この問題に対してホテルや旅館ができる対策としては、周辺の観光名所やおすすめショップなどをまとめた地図を作成するのがおすすめです。地元商店街や近隣の施設と協力しながら、多言語表示されたオリジナル地図の作成を実現してみましょう。
また、観光案内以外にもホテルの利用において多言語表示が分かりやすいと、外国人の顧客満足度が向上します。アフターコロナの時代において、インバウンド需要は増加しており、今後さらに地方への外国人観光客の流入も考えられます。
チェックインやチェックアウトの手続きや、レストランのメニュー表など、外国人観光客が目にする機会の多いものは分かりやすく多言語表示しましょう。
参照|スマホの持ち主の言語を自動表示、QR読み込み多言語表示サインに
4.交通網が発達していない
特に地方は、交通網が発達しておらず利便性の悪さを不便に感じる外国人が多い傾向にあります。
都市部で電車やタクシー、バス、空港など、空港からの移動手段が充実しています。しかし地方では、空港からの移動手段が少なかったり、運行間隔が開いていたりなど、アクセスしにくいことが現実です。
▶対策
シャトルバスの運行には維持費がかかります。シャトルバスと聞くと、無料で利用できるため利益が少ないどころか赤字と感じることもあるでしょう。
しかし、外国人が地方にも流入すれば消費量も増えます。消費額によっては、シャトルバスの維持費を支払っても黒字になり得ます。
また、欧州をはじめ、世界各国で人気のアイテムとなっている電動アシストスポーツバイク「E-BIKE」。地方の観光地では、2次交通に代わる来訪者の足として導入が進んでいます。
5.ゴミ箱が少ない
ゴミ箱が少なく、ゴミを捨てられるタイミングがなかなかないことも不便に感じる理由の一つです。訪日客の増加に伴い、ごみ問題が取り上げられています。しかし、訪日客は単にゴミを捨てているのではなく、ゴミ箱がないことで仕方なく捨てている可能性もあります。つまり、ゴミ箱を増やせばゴミ問題解決も可能です。
飲食店や観光スポット、公共交通機関の発着場所など、訪日客が多く利用する場所のゴミ箱を増やしましょう。
▶対策
ゴミ箱を設置しても、ゴミ問題が完全になくなるわけではありません。ゴミ箱が近くにあるにも関わらず、ポイ捨てをする可能性があります。
ホテルでもゴミ箱を多く設置することで、ポイ捨ての予防ができます。ゴミが減れば、従業員の負担も軽減されるため、ゴミ箱の数や設置場所を見直して改善しましょう。
6.喫煙場所が少ない・分かりにくい
日本では、喫煙をする場所が明確に定められていて、禁煙者が生活しやすい環境になりつつあります。しかし、外国人は喫煙する人が多く、喫煙場所が少なかったり、分かりにくいことに不満を感じることがあります。
▶対策
ホテルでもほとんどの施設で喫煙場所を定めていたり、喫煙部屋と禁煙部屋を分けていたりと、喫煙できる環境はあります。しかし、1箇所しか喫煙場所がないと、わざわざその場所に吸いに行く手間が増えて、面倒や不満を感じます。
設置場所を見直して、数箇所プラスで設置できないかどうかを考えましょう。
7.決済手段が少ない
最近では、キャッシュレス化が進んでいます。これによって、多くの企業でキャッシュレスに対応するレジを導入しています。
しかし、地方のホテルは決済手段が少なく、キャッシュレス決済画面を提示しても受け入れてもらえません。
▶対策
決済手段を増やすことで、外国人観光客の満足度が向上します。必要な決済手段はそれぞれ異なるため、どの決済手段の需要が高いかを調査しましょう。ホテルを訪れた外国人にアンケートを書いてもらうのもよいでしょう。
8.両替場所が不足している
観光庁が発表した「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート」によると、日本を訪れた外国人旅行客の実に6人に1人が旅行中に「両替場所が不足している」と感じていたことが明らかになりました。
韓国や中国をはじめ世界の多くの国ではキャッシュレス決済が主流となっているのに対し、日本ではまだまだ現金での支払いを求められるケースも多いため、外貨から日本円への両替というのは外国人観光客からの要望が多いサービスのひとつです。
▶対策
解決する方法としては2つの方法があります。ひとつめは、ホテルや旅館に為替両替機を導入する方法。ただし、両替機の導入には、盗難など犯罪に対するリスクも理解しておくことが大切です。
2つ目の方法としては、両替機ではなくキャッシュレス決済に対応する端末を導入することです。中国ではキャッシュレス決済の比率が6割を超え、日本国内に旅行する中国人観光客も、キャッシュレス決済の利用頻度が多い傾向にあります。キャッシュレス決済の導入により、両替を行わずに決済ができるため喜んでもらえるでしょう。
また、会計時間の短縮や業務効率化の面からもメリットが大きいと言えるでしょう。 クレジットカード決済、電子マネー型決済、QRコード決済など様々な種類の決済方法がありますが、自分達のホテル・旅館に宿泊する客層や、導入コストや手数料について検討しながら、どのサービスを導入するかを決めるとよいでしょう。
参照|キャッシュレス決済なら自動精算機の導入まで検討する施設が増加
対策|補助金の活用で環境を整備
新設備や機能の導入には、費用がかかります。費用負担は大きなものですが、補助金を活用できれば負担が減少します。
例えば、毎年公募があるインバウンド受入環境整備高度化事業は、インバウンド需要対応を目的とした新設備の導入に活用できます。費用の負担を一部でも軽減してもらえば、費用負担がかなり楽になるでしょう。観光庁7年度概算要求、6年度補正予算も固まる時期ですので、動向をチェックして活用しましょう。
参照|補助金の活用事例などの関連情報をまとめたマガジン
まとめ
インバウンド対策を進める上で、日本を訪れている外国人観光客がどのような部分に不満を感じているのかを知ることはとても大切なことです。そうした問題に対して真摯に向き合い、ホテルや旅館側で丁寧に対策をすることで、クチコミなどで評判が広がり集客につながる可能性もあるのです。
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