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地域おこし協力隊員が、島の観光活性化と情報発信で活躍!-志摩市渡鹿野島-

三重県志摩市にある小さな島「ハートアイランド」渡鹿野島は、伊勢志摩のほぼ中心に位置することから主要観光施設へのアクセスも良好で、例年6万人~8万人もの家族連れやご夫婦、若者たちが、豊かな大自然の中で癒やしの時間を過ごすために訪れています。

そんな渡鹿野島にこの4月から島の地域振興を担当する「志摩市地域おこし協力隊」の新メンバーが着任。島の魅力を全国に発信するとともに島の賑わい醸成に活躍しています。



1.志摩市地域おこし協力隊とは

地域おこし協力隊とは総務省が推進している取り組みで、地方自治体が都市地域からの移住者を『地域おこし協力隊員』として任命し、農業・漁業への従事、地域の魅力PR、お祭りやイベントの運営など、様々な地域協力活動を行いながらその地域への定住・定着を図る制度です。

志摩市では以前からこの制度によって登用した「志摩市地域おこし協力隊」が、地域活性化活動をはじめ、農業や漁業などの技術継承や情報発信など幅広い活動を展開しています。

志摩市では現在、いちご農家として1名、きんこ芋農家として1名の協力隊員が活動していますが、これに加えて今年4月1日に渡鹿野島の地域振興を担当する新たな地域おこし協力隊のメンバーが着任。渡鹿野島の地域コミュニティに溶けこみながら、多彩なイベント企画や動画制作、SNSなどでの情報発信を通じて島の地域振興を積極的に推し進めています。

その新たな協力隊員が、峠広之(とうげ ひろゆき)さん30歳。

峠さんは学生時代から田舎での暮らしや地域おこしに強い興味を持っていたそうで、大学在学中には京都府での地域おこし活動も体験しています。

来島以前は大阪府の小学校で講師をしており、当時の職場旅行で三重県を訪れた際に地域の素晴らしさに魅了されたことから、「この地域のために何かできることを!」と志摩市地域おこし協力隊に応募。採用選考を経て、この渡鹿野島地域活性の担当者として着任することとなりました。


2.渡鹿野島地域おこし隊員、峠さんの1日

渡鹿野島は人口170名弱の小さな島で、働く方の約8割が観光関係に、その他の方が漁業関係に従事しています。

この島で峠さんが行っている志摩市地域おこし協力隊の主な業務は、島民の一人として地域の自治会活動を支えることと、島の活性化のための地域おこしを行うこと。そして、全国に向けて観光・移住についての島の魅力を発信することの3点です。

地域おこし協力隊として業務にあたるときに最も配慮が必要なことは、今島に住んでいる方の暮らしや文化、そのコミュニティを第一に考えること。

「良好な島民との関係性なくして地域おこしはありえません」と峠さんは言います。

現在、島の空き家に入居している峠さんの1日は、午前中は自治体活動への参加が主体。高齢者が多い島にとって貴重な若い人材として、地域のお祭りの準備やお寺の掃除、共同施設のペンキ塗り、ビーチの監視員など、地域の方々と一緒にさまざまな自治会業務で汗を流します。

午後は市との間での様々な連絡業務や観光ガイドとしての来島者への応対、さらには島のホームページ制作や動画編集、SNSを中心とした情報発信なども峠さんの役割です。

そんな島に暮らす最大のメリットは時間が有効に使えることだと言う峠さん。

「都会生活に比べるとムダな通勤がないのが大きいですね。また家事をしながら仕事もできるし、島内はどこにでも歩いて行けるので移動時間も少ない。一日のほぼすべての時間を、自分のしたいこと、すべきことに当てられることが島の生活の一番の魅力です。」


3.島の流入人口拡大と地域振興のために、様々な施策やイベントを企画運営

峠さんの考える島の地域振興のテーマは、若者に渡鹿野島に来てもらうための環境・土壌を形づくること。そのための方策として、来島モチベーションを刺激するイベントの実施や、テレワークによるお試し移住の促進を掲げています。

NPO法人地域支援センターから「恋人の聖地」として認定を受けた渡鹿野島では、「ハートアイランド」をキーワードに新たな島のイメージづくりを推進しています。

このイメージに沿って峠さんがこれまでに企画運営した催しは、ご自身がインストラクターとしての資格を持っている「SUP(スタンドアップパドル)無料体験」や、志摩市の天文館のスタッフとコラボして島内の宿泊者や島外からの参加者を募り定期的に開催している「星空観察」、そしてご自身とともに島の景観維持に協力してくれる草刈りボランティアの募集など多岐にわたります。

これらの企画はすべて峠さんの発案によるもので、島の活性化委員会に具申した上で市からも認可を受けて活動を展開しています。今では、月に1-3回開催している星空観察には毎回20名以上の来島者が参加、ボランティアにも10名ほどの応募が集まるようになるなど、峠さんが地域おこし協力隊に着任して以来継続してきた地道な活動が、島を訪れる人数の増加となって表れてきています。

また移住者の獲得については、コロナの影響によってテレワークが定着していることを背景に、峠さんご自身をモデルケースとして、インスタグラムなどのSNSを中心に渡鹿野島でのテレワークの魅力を積極的に発信。

テレワーク体験をお試し移住へと結びつけるためのPRと環境整備とを併行して推進しています。


4.いつか渡鹿野島に小学校を

島に暮らす方々とのコミュニケーションを何よりも大切にする峠さんは、自分の体を使って地域の方々の役に立つことで島の暮らしに溶けこむことを重視していると言います。

先にもふれた自治体活動への参加や、島の美観維持活動はその基本スタイルの一例。時には島の皆さんにパソコンの使い方を教えたり、スマホで困った時のサポートをしたりすることもあるそうです。

渡鹿野島にもっと人を呼び込むために、ゲストハウスやコワーキングスペースの整備などさらに多彩な活動を展開していきたいという峠さん。講師時代の経験を活かして、志摩に観光に来た子どもたちや地元の子どもたちを対象としたワークショップやイベントなどのアイディアも練っているそうです。

「渡鹿野島の魅力を知った若者に、島に住んでもらい、やがて子どもが増えていく。それが私が期待している島の未来像です。いつかこの島に小学校ができ、たくさんの子供でにぎわう島になってほしいんです。もちろんそれには長い時間がかかると思いますが、私の力がその一歩になったら最高に嬉しいですね。」

自由な発想とアクティブな行動力で渡鹿野島の魅力を日々全国に発信しつづける地域おこし協力隊。峠さんの活動によって吹き込まれた新たな風は、きっと渡鹿野島の未来に新たな可能性をもたらすことでしょう。

※2021/12/22公開の記事を転載しています


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