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【連載】旅館の経営に対する10の問い-第7回

昨今、多くの旅館で人手不足が深刻な問題になっていますが、そればかりではなく、旅館によっては業績の低迷や施設の劣化による慢性的な苦情、資金繰りなど、さまざまな問題を「同時多発的」に抱えているところも少なくありません。

それらの問題の解決策は一つ一つに向き合うことが基本ですが、旅館経営においては問題の根っこが相互に絡み合っている場合が多く、一筋縄ではいきません。しかし、根っこが絡み合っているということは一つの問題に取り組むことで、他の問題にも良い効果を及ぼすことがあります。

ここでは、旅館経営それぞれの問題を解決するヒントを紹介します。思い当たる問題に対して、それを手掛かりに問題の打開を図りましょう。


【その7】

社員の定着対策-①

近年、「募集しても応募がない」、「採用しても次々に辞めてしまう」といった人材不足が深刻です。度々伝えられるように、今はすでに「労働力人口減少の時代」に突入しており、日本の産業規模を考えると労働力は絶対的に不足しつつあるのです。そのような動向において、今後の人材確保は「人も獲得競争の時代」という認識をもって臨む必要があります。
ここでは、人材の確保に対する考えが「世間並み」では難しくなっていることを念頭において、社員の定着対策を3つの問題に分けて、考えていきます。

職場の魅力をアピールしましょう

社員が向上心をもって元気に働き、明るく風通しの良い職場は、「良い会社」「良い職場」といったイメージがあり、それだけで多くの人の心を惹きつけます。貴館はそのような職場としての魅力を備え、また上手くアピールできているか、点検してみてください。
また、「経営の向上」と「社員満足度の向上」の両方を導く活動を積極的に取り入れ、対外的にもアピールしていくことがとても重要です。

キーワードは「社風」「モチベーション」「自己成長」

現在就業中の社員はもちろん、貴館への就職を考えている方に対して、このキーワードは会社に対する満足度を向上させます。さらに、社員の満足度が経営の向上につながることは言うまでもありません。

1.行事や制度面についての一例
運動会、家族招待会、職場上司との面談制度、自己申告制度、能力給制度、社外研修・視察体験派遣制度、表彰制度、格付け(職場マイスターなど)制度、提案・改善奨励制度、資格取得奨励制度など。

2.具体的な活動の一例
新規採用向けの情報として、就職した先輩の活躍や成長ぶりを紹介。彼ら、彼女らの職場や仕事に対する思いや意気込みを「生の声」として伝えます。

経営者(トップ)と社員が経営向上の在り方などの意見交換の場をつくります。これにより、社員一人一人が経営に対して意見を述べ考えることで、仕事に対しての意欲が上がり、自己の成長を感じることができます。


まとめ

人が職場を辞めてしまう原因の多くは人間関係にあります。このような問題は、現場の管理・監督者にそれぞれ指示をするのが基本ですが、解決能力に問題があるようなら必要に応じて、経営者がそれにあたるぐらいの構えも必要です。こういった問題を解決する能力もある意味、職場の魅力のひとつになるのかもしれません。

(株式会社リョケン 代表取締役社長 佐野洋一)

※2019/11/25公開の記事を転載しています


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