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イマドキの旅さがし|観光マーケティングプランナーのちょっと視点を変えた連載コラム009

ちょっと懐かしいオハナシ。団体・グループ旅行の最盛期には、ホテル旅館の営業部隊が、旅行エージェントをくまなく訪問して、関係づくりを行い、そこから大口のツアーを引き出すというのが正道という時代があった。

しかし団体・グループが激減し、さらにこの新型コロナ騒動にて「個人のお客様」が突然舞台の主役となり、セールスの矛先はOTAなどWEB系旅行代理店に切り替わっている。

しかしこうしたOTAには昔のようなセールスは通用しない、あくまでもBtoBスタイルが主軸。そうなってもう数年が経過しているかと思う。

しかし、「正道は進化するもの」である。OTAの予約パーセンテージが拡大しているのは、旅行者を受けるホテル旅館側が、これといった手立てを行わなかったからだと考えられないだろうか?OTAの進化(お客様の捕まえ方や囲い方)に対して、どれだけ対策を講じただろうか?

さらに、旅行者を取り巻く「情報収集の変化&進化」に対してどれだけ対策を重ねているだろうか?

ここで、「イマドキの旅行者の旅さがし」として、ごく一般的な方々の、日常の情報収集行動の一例をご紹介したいと思います。

●社会人・女性30代の場合
・国内旅行は年3〜4回・海外旅行は年2回ほど。
・予算は、国内旅行50,000円、海外旅行100,000円ほど(1回あたり)

①日常的にInstagramにて「映え投稿」をチェック。特に写真のいいアカウントをフォローして「美しい景色」や「ホテルの投稿」は常に保存している。

②保存した情報を忖度して旅行先の目安を付けたら「位置情報」からそのスポットの他投稿をチェックして「行って間違いのないトコロ」(例えば、映えが撮れる場所に行けるか?等)かどうかを再確認。

③ストックした位置情報から「よさそうなホテル旅館」を見つけたら、まずはオフィシャルHPで「景観や施設・料理の写真」をチェック。

④さらにホテル旅館名を、旅行系キュレーションサイト(フォートラベル等)やInstagramで検索して「想定と違った!」ということがないように「クチコミ投稿」や「ユーザー投稿」にて、「部屋からの景色」や「料理」などを入念にチェック。

⑤WEB上の「比較サイト」で、「チケット代」と「ホテル代」の相場を確認。さらに、ツアーと単体の価格を比較して値踏みを行う。

⑥旅行先で、「観たいスポット」・「食べたい料理やスィーツ」をInstagramにてハッシュタグ投稿から検索、「映えな景色」や「映えなお店」をチェックしてストック。

⑦旅行者自身が、SNSやキュレーションサイトの投稿者の場合は「DM」機能を使って「〇〇〇に行くには何時間ぐらいで、どのルートがベターか?」などのやりとりで、さらに細かな情報を収集。※これらの情報収集行為は、期待度が高いほどより入念になります。


以上が、一般的な個人の旅行者の「旅マエ情報収集」の流れです。セールスの極意は、「魚影の濃い処に網を仕掛ける」。ならば皆様のホテル旅館では、上の①〜⑦の行為の中に、どれだけ上手に当館の予約までの道筋を仕掛けていらっしゃるでしょうか?

さて、この情報収集行為の中で、OTAの出番は、思ったほどない。せいぜい「料金」に絡まる部分がそれで、あとは予約をOTAでするか?オフィシャルHPからか?という「選択」の部分でしょうか。

どちらかと言えば、オフィシャルHPの方が出番は多いと感じますね。そうした観点からも「HPの写真」の大切さは、要チェックです。

しかし、OTAやWEB系旅行代理店もこの流れに対して、SNSやキュレーションサイトと同じ使い勝手のある機能を付加しながら、なんとかユーザーの囲い込みを目論んでいるという綱引き状態にあり、さらにはOTAとキュレーションサイトが、ある部分接点を造り、協働の動きも出てきている。今後このスタイルは加速すると考えます。

そのときに、オフィシャルHPから「やっぱり宿のHPが一番オトク!」という風にダイレクト予約につなげる「ストーリー創り」も今後の戦略として重要なポイントでしょう。

考えてみれば、昔の旅行は、旅行業社がなんでも知っていて、お任せすれば、「程良い行程」「程良いスポット」「程良い宿」「程良い
味」「程良いお店」「程良いお土産」などをすべて仕切ってくれた訳です。

そのコンシュルジュが、旅マエの旅行業社の窓口や、旅ナカの添乗員から、 いまは、無限のネットワークに切り替えられた、と考えた場合、打ち出す手だてもまた無限にあるのでは?と思います。

それでは、無限のなかから、何処に注力すればいいのか?

●2年以上変えていない「自社HP」の見直し
●映える「宿の情景」や、映える「街の情景」のストックと活用
●「SNS」や「キュレーションサイト」の新たな戦略展開 

まずは、上の3点だけでも一度見直しをかけることで「個人のお客様」を獲得する第一歩になるのでは?

※2020/08/26公開の記事を転載しています


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