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インバウンドでは和食が人気? 外国人観光客に喜ばれる料理とは

日本を訪れる外国人観光客の数は2013年に初めて1000万人を突破し、2018年にはその3倍の3119万人が日本を訪れました。寺院や仏閣、城などの歴史的建造物や古都の街並み、伝統工芸や四季折々に美しい自然など日本にはたくさんの魅力がありますが、その中でもインバウンド観光客が日本旅行で楽しみにしていることの一つが「食事」です。
今回は、日本を訪れる外国人観光客に人気の料理について詳しく解説していきます。


インバウンド観光客は日本での食事を楽しみにしている

2013年に「和食」がユネスコ無形文化遺産として登録されたこともあり、日本の食文化や料理は世界の注目を集める存在となりました。日本を訪れる外国人観光客のなかにも、日本での食事を楽しみに旅のプランを立てている方は多く、観光庁が発表した「訪日外国人消費動向調査」によると、実に70%以上が「日本食を食べること」を訪日前に期待していたことがわかります。

日本旅行の目的が「買い物」だったひと昔前とは異なり、外国人観光客の旅のニーズは「モノ消費」から「コト消費」へシフトしている現代。商品やサービスから得られる「体験」を重視する外国人が増えた今、飲食業界やホテル、旅館などの宿泊業界では、日本の食文化を楽しんでもらうことが満足いくサービスを提供するためのポイントとなっているのです。


インバウンド観光客に人気の日本の食事

世界でも高い人気を誇る日本料理。その美味しさはもちろん、繊細で美しい盛り付けや素材の豊かさなど多くの魅力に溢れた日本食は、今や外国人観光客の旅の目的のひとつになっていて、旅行中にかける食費はひとりあたり3万円以上だと言われています。

では、具体的に日本の食事のどのようなメニューがインバウンド観光客に人気があるのでしょうか。ここでは観光庁が発表した「訪日外国人消費動向調査」の結果をもとに、インバウンド観光客が満足したポイントと、人気のメニューをそれぞれ詳しく見ていきましょう。

日本の食事を体験して満足したポイント

実際に日本の食事を体験したインバウンド観光客はどのような点に満足しているのでしょうか。最も多かった解答が「日本食の美味しさ(92.1%)」で、次が「食材の新鮮さ(41.9%)」、そして「伝統的・日本独特(21.8%)」、「自国で味わうことができない(16.0%)」となっています。この結果からも、インバウンド観光客の多くは日本食を食べて楽しむだけでなく、日本の文化として体験することに期待感を持っているようです。


インバウンド観光客に人気の料理:肉料理(23%)

自由解答で最も多かったのが「肉料理」でした。「すき焼き(SUKIYAKI)」「てりやき(TERIYAKI)」「和牛(WAGYU)」など、日本語のまま英語圏で通用するほどメジャーな料理も多く、本場日本で肉料理を楽しみにしているインバウンド観光客も多いようです。国別の統計を見ると、韓国からのインバウンド観光客が、最も満足した料理に「肉料理」を多く挙げており、特に「トンカツ」が人気のようです。トンカツは韓国にもありますが、日本独自の味付けや、素材の良さ、目の前でカツを挙げてくれるなどの接客やサービスが人気の理由のようです。

インバウンド観光客に人気の料理:ラーメン(19.6%)

次に人気が高かったのがラーメン。日本から世界へ進出したラーメン店の影響もあって、海外では日本人が考えている以上に「ラーメン=日本食」のイメージが定着しています。インバウンド観光客の中には、事前にグルメサイトなどで情報収集をした上で、ラーメン店の食べ歩きを楽しみにしている方も多いようです。
ラーメンは台湾からの観光客に人気で、台湾とは違う日本ならではの味付けが、人気の理由です。

インバウンド観光客に人気の料理:寿司(16.9%)

日本食の代表格でもある寿司。海外でも多数の寿司レストランがあり、多くの外国人に親しまれている日本食ですが、本場で食べる寿司を楽しみにしているインバウンド観光客も多いようです。また、回転寿司などで食べるだけでなく、寿司を実際に握る「体験」も人気です。
寿司を満足した料理として挙げた割合が多かったのは、アメリカからの観光客。人気の理由は、ネタが新鮮で種類が多いこと、ヘルシーなこと、日本ならではの料理であることに加え、自国でも食べ慣れていることなどが挙げられています。

インバウンド観光客に人気の料理:魚料理(12.6%)

寿司と同様に鮮度の良さや品質の良さから人気が高いのが「魚料理」です。日本食ならではの繊細な調理法や、美しい盛り付けなどがインバウンド観光客からの人気を集めています。
中国人観光客の多くが、満足した料理として魚料理を挙げており、特に「刺し身」を挙げる人が多いです。人気の理由は、新鮮で衛生的なので安心して食べられること、中国とは異なる日本独自の味付け、店内の清潔さやサービスの良さなどです。


インバウンド観光客が食事で困ること

インバウンド観光客の多くが日本での食事に高い期待感を持っていた一方で、実際に食事をしてみて不便さを感じたケースもあったようです。インバウンド観光客が日本で食事をするうえで困ったことを具体的に見ていきましょう。

メニューが多言語対応されていない

インバウンド対策の遅れている飲食店では多言語対応されたメニューを準備していないケースも多く、インバウンド観光客が日本語表記だけのメニューに困惑するケースも多いようです。多言語での対応に加え写真を添えるなどして、どのような料理なのかがイメージできるようにするとよいでしょう。

例えば肉じゃがの場合、「NIKUJYAGA」と日本名をそのまま英語表記しただけでは、それがどんな料理なのか外国人にはわかりません。「Meat and potato stew with sweetened soy sauce」というように、外国人観光客に「伝わりやすい」表記で伝える工夫も大切です。

他文化や異宗教への配慮が足りない

インバウンド観光客は、日本での食事を楽しみにしていますが、異なる文化での食事は慣れないことが多く、配慮が必要です。

インバウンド観光客が多い飲食店などでは、イスラム教の食文化に配慮した「ハラール」対応メニューをはじめ、ベジタリアン(菜食主義者)に対応したメニューなどを準備しておくことが大切でしょう。

食事プランを自由に決められる旅館が人気

インバウンド観光客に日本食が人気とはいえ、旧来の1泊2食付きの日本食を提供する旅館は苦戦を強いられているようです。宿泊数が長くなれば長くなるほど色々な料理が食べたくなりますし、時には本国の料理を食べたいときもあるのです。そのようなニーズに答えるため、朝食・夕食の時間帯を自由に決められるようなプランや、食事を用意しない日が含まれたプランを用意するのもよいでしょう。また、外で食事をするインバウンド観光客のために、近隣の飲食店を紹介したり、地域の飲食店と協力して宿泊客限定のサービスを取り入れるなどの工夫をしてみてはいかがでしょう。
ただし、それでも旅館ならではの料理を楽しみにしているお客様がいることは確かです。食事付きのプランを選んでくれたお客様に喜んでもらえるよう、地域の特産や日本文化を楽しめる料理の工夫をしていくと良いでしょう。

インバウンド観光客に喜んでもらえる食事を提供するためには、外国人の好みを正しく理解するだけでなく、困りごとにもきちんと配慮をすることが大切です。上記でご紹介した内容を参考にして、日本ならではの食体験を提供していきましょう。

※2019/11/03公開の記事を転載しています


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