ホテル・旅館が活用しやすい!CRMツール比較9選
CRMは、顧客との関係性がより重視される状況で、ここでは顧客関係をより緊密にするコニュニケーションを一元管理すること、およびツールを指します。ホテルや旅館、観光業も、こうしたCRMの活用で新しい営業手法が構築できます。
本記事ではCRMの概要や、ホテル・旅館が活用しやすいCRMツールについて解説します。
1.CRMツールとは(SFA・MA・CRMツールとの違い)
CRMとは”Customer Relationship Management”の略で、顧客との関係をマネージメントすること、を意味します。
企業が顧客との間に長期的な信頼関係を作り、宿泊客をリピーターやファンにするための働きかけを行うことで、顧客と企業双方にとっての利益を向上させるという経営手法です。
かつては接客担当が個々の顧客に対して行っていたきめ細やかな対応を、ITとデータベースを活用して大規模に行えます。
CRMとよく併用される用語がSFA、”Sales Force Automation”やMA、”Marketing Automation”です。CRMツールとSFAツールは機能、対象ともに非常に近く、CRM/SFAツールと併記されるケースもあります。
MAツールは新規宿泊客へのアプローチを支援するシステムであり、宿泊意欲のある利用客へのアクションを定め、通知や連絡の自動化を行います。
CRMツールには新規の宿泊客向けのものもありますが、厳密にはSFAやMAの意味合いが強く、混同しやすいことにご注意ください。
2.ホテルや旅館がCRMを導入するメリット
CRMは、観光業でも有効です。
ホテルや旅館の経営は、どれだけ顧客に喜ばれるサービスを提供できるかがカギです。
CRMツールを用いると、顧客情報を一元管理できます。
このため、誰が担当しても顧客の満足ポイントを把握してサービスに反映させられるのです。
ここでは、ホテルや旅館がCRMを導入するメリットについて紹介します。
・顧客属性にあわせて最適なマーケティング施策を実行できる
顧客属性とは、年齢や職業、家族構成などの情報から嗜好やアレルギー、そのほか宿泊の利用回数などの情報です。
ファミリー層で小中学生のお子さんがいる顧客なら、夏休みを利用したバカンスなどのキャンペーン情報が有効ですし、定年後の生活を満喫している熟年のご夫婦なら、繁忙期をさけた平日のゆったりプランを案内することが有効でしょう。
また、宿泊回数や新規顧客向けなど、顧客の成熟度合いに応じた施策を実行できます。
このように、データベース化した顧客情報ごとにアプローチ方法を選べる点がCRMシステムを利用する強みです。
・自動化で人手不足にも対応できる
CRMを利用することで、顧客属性をデータベース化し、情報をスタッフ間で共有可能です。
例えば、ベテランのスタッフが担っていた、顧客個人単位でのきめ細かい気づかいやサービスを、中堅や新人のスタッフでも提供できるようになります。
このようにCRMによって、新人育成の時間を削減しつつ、顧客サービス品質の属人化を防ぎ、高いレベルでサービスの均一化を可能にします。
・複数のシステムからデータを一元管理できる
CRMツールには、顧客情報管理だけでなく、予約・問い合わせに関して以下の機能があります。
・管理
・分析
・レポート機能
・外部サービスとの連携 など
また、収集した顧客情報をシステムで一元管理することで、複数のシステムで再活用されるという良い循環が生まれるでしょう。
3.ホテル・旅館で用いられるCRMツールの選び方
ホテルや旅館でCRMツールの導入を検討する際のポイントは、以下の3点です。
・目的に合った機能
・使いやすさ
・サポート、セキュリティ体制
同じ宿泊施設でも、リゾートホテルと老舗の旅館では、CRMに求める機能に差があります。目的にあった機能を持つことは最も重要なポイントです。
また、使いやすさは当然のこと、顧客情報は個人情報でもあるため、サポートやセキュリティの体制は重視しましょう。
4.ホテル・旅館の新規顧客向けCRMツール5選
CRMツールは既存顧客との関係性を深めることに加えて、新規顧客の獲得にも利用できます。
例えば、顧客の中で高齢の顧客がより高い満足度を示す傾向がある、という情報が得られれば、高齢層向けのマーケティングを行うなどの対応が可能です。
新規顧客向けのCRMツールについて解説します。
※金額表記はすべて税込、提供各社のオープン価格です。詳しくは公式または導入支援会社にご確認ください。
・Synergy!
Synergy!は、データベースやフォームを基本機能として、メール一斉配信ツールやline配信、広告連携などの機能をオプションで追加可能です。
導入により、宿泊客個々の状況に合わせ、マーケティング課題の抽出、戦略の立案、実行支援の3要素について相互に連携したサポートが受けられます。
※データベース/フォームとメール配信ツールを選択した場合。
・eセールスマネージャー
eセールスマネージャーは純国産のCRM/SFAツールです。
使いやすさに定評があり、また導入、稼働、定着に徹底サポート、フォローアップを行うため高い定着率を誇っています。
導入により案件管理工数の削減や営業現場の負荷軽減が実現し、情報の共有効果と併せて生産性の向上に威力を発揮します。
ホテルや旅館の場合、新規顧客を対象としたマーケティング活動、PR活動の工程削減と業務支援に威力を発揮するでしょう。
・Zoho CRM
Zoho CRMはCRM・SFA機能に加えMA機能を備えたCRMツールです。
導入費用0円、スタンダードプラン月額1,680円というリーズナブルさが強みです。
MA機能はスタンダードプランにも含まれており、総合的な機能を持つCRMツールとして活用できます。
既存の顧客関係向上より新規顧客獲得の方向性に強い印象であり、ホテル、旅館では宿泊キャンペーンや観光PRに威力を発揮するでしょう。
・BALES CLOUD
BALES CLOUDは顧客データを一元管理できるだけでなく、電話発信管理、メール一括配信機能やAIメール自動生成機能などを搭載するCRMツールです。
機能を上手く組み合わせることで、興味があるものの行動に移していない顧客に対するアプローチが最適化され、インサイドセールスの効率を上げる効果に期待できます。
ホテル、旅館業の場合、問い合わせを頂いた際の対応記録やその後のアプローチ(ご案内の折り返しなど)といった対応も期待できます。
・tripla Connect
tripla Connectは、宿泊業界特化型のCRM/MAツールです。
顧客情報をセグメント化し、各セグメントに対してのマーケティングを実行できます。
予約システムと連携するだけでなく、予約サイトのデータをファーストパーティデータとして取り込めることも特徴です。
いうまでもなくホテル、旅館にとってファーストパーティデータは有用な資産であり、収集データを用いたマーケティングは高い効果を得られるでしょう。
5.ホテル・旅館の既存顧客向けCRMツール4選
既存顧客向けのCRMツールに求められる機能は、顧客のファン化へ向けて満足度向上のためのデータを保存、管理することと、顧客の各セグメントに対して適切なマーケティングを行える機能です。
ポイントシステムなども既存顧客向けCRMの機能だと考えられます。
※金額表記はすべて税込、提供各社のオープン価格です。詳しくは公式または導入支援会社にご確認ください。
・ミニラボ
ミニラボとは、Androidのスマホやタブレットを使って安価かつ簡単にポイントサービスの運用ができるアプリです。
ポイント制に特化したクラウド型のCRMともいえます。
比較的安価で、店舗側の自由度が高いポイントサービスが実施可能です。
導入の敷居が低いため、これまでポイント制度に消極的だったホテル、旅館でもイメージに合致したポイントサービスを提供できるようになります。
・アプリメンバーズ
アプリメンバーズは、アプリ制作プラットフォームとして自社アプリをデザインでき、ポイントシステムや通知などの機能を導入するか否かを自由に決められるCRMシステムです。
ポイント付与の方法や倍率などを自在に変更でき、クーポンの発行やセール情報の通知などMA機能も充実しています。
顧客情報の管理、分析ツールとしても使用可能です。
ホテルや旅館の個性にあったオリジナルアプリが自社デザインで導入でき、かつポイント制や通知などの販促やMA機能も備えているため、有効なCRMシステムとなるでしょう。
・QQURU
QQURUは、LINE公式アカウントと連携した会員サービスを、最短即日で構築できるサブスク型のCRMツールです。顧客との接客、コミュニケーションをサポートし、さまざまなインセンティブを提供できます。
顧客情報管理や分析、MA機能も備えた上でLINEの利点を最大限活用できるCRMシステムです。
LINEの距離感と旅館、ホテルの顧客サービスの距離感がマッチし、ブランディング戦略にも有効に働くでしょう。
・matomaru(マトマル)
matomaruは、メール・アプリ・lineをまとめるDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)の機能を備えたCRMツールです。
販促アプリや公式LINEアカウント、メールマガジンなどの販促業務を一括で管理運営でき、顧客情報を一元管理できます。
アプリやライン、メールを用いた販促業務を統一することで業務負担を軽減し、分析や評価をしやすくします。
既にLINEや公式アプリを導入し、宿泊客との関係性を構築しているホテル、旅館にとってはCRMを導入しつつ既存の顧客関係を維持できるというメリットがあります。
6.まとめ
本記事では、ホテルや旅館業が活用しやすいCRMツールについて解説しました。
ITとSNSの発達で、観光業もよいものを提供するだけでなくお客様との関係性を重視し効率的な営業活動が必要とされる時代となっています。
ぜひCRMツールを活用して品質向上とお客様の満足できるサービスの実現につなげてください。
※2023/08/23公開の記事を転載しています
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