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会津若松の東山温泉・芦ノ牧温泉の両温泉が、「温泉地域景観創造ビジョン」の2022年度事業をスタート

【今リポ!】今、伝えたい!最前線レポート Vol.013

東北の名湯として長い歴史と人気を誇る会津若松市の東山温泉、芦ノ牧温泉が、地域の景観を整備することで新たなにぎわい創生のために策定したのが、昨年度にもリゾLABでご紹介した「温泉地域景観創造ビジョン」。

このほど、当プロジェクトの2022年度事業を具体的に展開しました。



1.2022年度事業「温泉地域景観創造ビジョンアクションプラン策定業務」の遂行

東山温泉では2022年5月より、芦ノ牧温泉では同じく6月よりそれぞれ5回ずつ、のべ10ヶ月に渡って、幅広い関係者の参加による定例会を開催し、現況の課題整理から対策事業の選定、事業の進行ステップ、さらには具体的な実証事業の開催計画などを着実に固めていきました。

●東山温泉の事業実施経過

5月30日の第一回定例会で、2022年の運営スケジュールを策定。

湯川の景観、廃屋の処理、案内所の活用、宵町通りの賑わい創生、寺社の整美、温泉街入り口の修景計画と、大きく6つの課題を整理確認。第二回以降、それぞれのアクションプランの推進イメージを固めるとともに、具体的な対策案の考察や、新施設アイディアの検討、事業に関する財源の捻出などの詳細を順次煮詰めていきました。

11月には第一回の実証事業「湯川あかり」の実現に向けた精力的な活動を重ね、2023年度へと続く計画の基盤を固めていきました。

●芦ノ牧温泉の事業実施経過

芦ノ牧温泉では、6月29日に第一回定例会を設け、事業による「ブランド戦略」「インフラ整備」の方向性を固めるとともに、5度の定例会を通じて寺院整美、観光案内所の改装計画、足湯街道・あぎのまちのファサード整備、空き旅館・ホテルの撤去など、10項目に上る事業計画の詳細を決め込んでいきました。


2.東山温泉が掲げる景観創造のテーマは、「遊歩 YUHO」

東山温泉では地域振興の課題を、温泉街散策の機会創出と拡大とし、「遊歩 YUHO」というキーワードを掲げました。

これは東山温泉街に沿って流れる湯川と橋の風情ある趣を活かして、観光客に「会津の湯町を探訪したい」と感じさせる景観を再生することを主目的と位置づけたもので、この景観創造のためにまずは現況の課題を整理し、下記の2つの柱を策定しました。

<景観創造ビジョンアクションプラン・2つの柱>

【ブランド戦略】

現状の東山温泉は、来訪客の目から観ても、街としてのデザインや彩りが統一されておらず、「情緒や風景を愉しめる温泉街」とは言えない状況となっています。

今後は「會たい昔」をふまえつつ、デザイン・彩り・形にこだわって景観を創り変えることによって、湯川の渓流と川景色が持つ「山の緑」「川の瀬」「滝の音」など、東山温泉の資産を活かした魅力ある姿を再生し、地域が一体となってさらなるブランド力の向上を目指すこととしています。

【インフラの整備】

湯川の景色そのものを「おもてなしの風景」と捉え、東山温泉を象徴する景色として「湯川(詠観橋~芳袖橋)」を位置づけます。

具体的には、橋や欄干、街灯などのデザインや彩りを統一するとともに、より美しい景観を彩るために柳や枝垂桜、竹など植樹などを施すことで、宿泊客が自然に往来したいと感じる風情を醸成し、観光客で賑わう場所を創り出します。

また魅力ある景観を損なってしまう空き店舗や空き旅館の撤去や新たな利活用を可能とするため、所有者への理解・許可を求めるとともに、所有者不在となっている場所については権利関係の調査と整理を進めることで、「石本屋界隈のファサード整備」などを実現していきます。

<2022年度からの着手事項>

・湯泉神社・大山祇神社・羽黒山湯上神社などの寺院の整美
・温泉街入り口のオブジェ設置、照明プランなどによる修景計画
・「日帰り入浴めぐり」の促進
・子どもたちに向けた情報発信による、将来顧客の創出

<2022年度からの計画事項>

・廃屋、空き旅館の処理
・「宵街道」のにぎわい創出
・店舗型施設への改修や販売商品計画の充実による、案内所の強化

●事業計画の推進にあたって、それぞれの展開事業の担当と進捗を明確化

アクションプランとして掲げた全事業を、まずは長期事業と短期事業に大別するとともに、それぞれの事業ごとに、東山温泉・民間・行政のうちの「誰が」「何を」「いつ」「どのように」進めていくのかを具体化したアクションプランの一覧を策定しました。

これによってそれぞれの責任分担が明らかになるとともに、事業全体の進捗が可視化され、多くの関係者の意識統一を容易にしています。


3.芦ノ牧温泉では、「楽歩 RAKUHO」を景観創造テーマに

一方、芦ノ牧温泉では地域が持つあらゆる魅力を結集して、温泉街の散策を活性化させることをコンセプトとし、「楽歩 RAKUHO」というテーマワードを掲げました。

芦ノ牧温泉ならではの四季折々の素晴らしい景色の中を、楽しみながら散策することで、旅情あふれる多彩なシーンを満喫できる温泉地という到達イメージを設定しています。

<景観創造ビジョンアクションプラン 2つの柱>

【ブランド戦略】

芦ノ牧温泉の地域内には老朽化した空旅館や店舗が点在しており、せっかくの美しい渓谷・自然景観に囲まれた温泉地にも関わらず、こうした廃施設の数々が温泉地としての魅力を低下させてしまっているのが実情です。

「大川羽鳥県立自然公園内の渓谷の温泉街」という立地特性を最大限に活用し、四季折々の山と渓谷の自然美を愉しんでいただくためにも、地域が持っている本来の優れた景観を取り戻すことで、魅力にあふれた温泉郷づくりの再生を進めます。

【インフラの整備】

芦ノ牧温泉を象徴する阿賀川の湾曲したスクェアは温泉街で随一の景観スポットですが、そこに位置する「旧ホテルいづみやとその下の空地」がその景観の魅力を著しく阻害し、このマイナスの影響によるイメージダウンが否めません。

現所有者の許可や権利関係の整理などを進めることで、温泉地内の空き店舗や旅館の撤去や利活用を可能にし、本来の素晴らしいロケーションを取り戻すとともに、「足湯街道(メイン通り)のファサード整備」など芦ノ牧温泉のシンボルを創造することで、「歩いて楽しい、芦ノ牧温泉」という街のイメージの確立と、将来に向けた集客力の拡大を目指します。

<2022年度からの着手事項> 

・芦ノ牧三十三観音・金精神社・温泉神社・御霊神社などの寺院の整美
・「いちいの小路」「桜坂」などの散策路の整美
・「日帰り入浴めぐり」の促進
・子どもたちに向けた情報発信による、将来顧客の創出

<2022年度からの計画事項>

・「旧いずみや」などの廃屋の処理
・「足湯街道」ファザードデザインなど新たな風景の創出
・店舗型施設への改修や販売商品計画の充実による、案内所の強化

●多彩な展開事業の実施主体を可視化し、共通認識に

東山温泉と同様に、一連の事業を長期事業と短期事業に大別するとともに、各事業の担当と計画の進捗をアクションプラン一覧によって可視化しています。

<景観創造をひろげるポイントアイテム「椛(もみじ)街道」>

古くは参勤交代にも使われた「あぎの路」は、四季織々の美しい彩りで、お殿様やお付きの武士たちの目を愉しませてきた道。

その季節の彩りの中でも、特に際立つのが「椛(もみじ)」です。

芦ノ牧温泉では、この椛の四季の色合をご堪能いただけるように、温泉街を貫く「椛街道」づくりをスタート。

メインストリートに歴史の風情を感じさせる「石畳」を敷き、道沿いには、腰かけてお休みすることもできる「丸木灯篭」を設置するなど、美しい景色の中を散策する楽しみを、芦ノ牧温泉ならではの魅力として昇華。

ゆくゆくは「椛街道」沿いに、旅人の心を潤すお店やお休み処などの賑わいも創出しながら、温泉街歩きを旅の目玉の一つとして位置づけていきます。


両温泉とも2022年度から着実にプロジェクトを進行させており、2023年度は観光案内所の改装などを手始めとして、いよいよ具体的な景観修景がスタートします。

近い将来にお目見えするであろう東山温泉と芦ノ牧温泉の新たな魅力に大きな期待を寄せるとともに、事業の進捗にもぜひご注目ください。

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※2023/05/11公開の記事を転載しています


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