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「アルゴリズム」に思うこと|観光マーケティングプランナーのちょっと視点を変えた連載コラム031

仕事柄、「アルゴリズム」という言葉にちょくちょく出会う場面がある。とはいえ、私自身は、基礎的な因数分解さえも怪しいという、ロースペック人間であり、この「アルゴリズム」という言葉に出会うことはあっても、その性質やら本質やら、ましてや基本的な仕組みを理解もせずに、「なんとなく苦手なモノ」として頭の中で分類をしてきた。

そんなわけなので、本稿はその方面に詳しい方にとっては何の役にも立たない、文字通り‘独り言’なので、ご容赦いただきたい。

そんな私が、なぜ急に「アルゴリズム」かというと、最近ニュースになった、大手グルメサイトと登録飲食店の係争がきっかけだった。要は、この店舗は、チェーン店であるということを主な理由にして、当該グルメサイト上の評価点が下がってしまった。これは、グルメサイト側が不当にアルゴリズムを変更したからではないか、ということであった。

最初にこのニュースを見た時の個人的な印象は、「それはグルメサイト側が独自に定めた基準なんだもの、仕方ないじゃないの」というものだったが、東京地裁の判断は然にあらず。グルメサイト側が、一方的にアルゴリズムを変更したのは、優位的地位の乱用を禁じた独占禁止法に違反するものである、という判決を下したのだ。

この判決を見て、法令のような公的な基準じゃなくても公平性が求められるのだな、ということを知った。

独禁法といえば、大手のOTAに独禁法の疑いで調査が入ったことは記憶に新しいが、OTAへの依存度が総じて高い宿泊業でも、今回のグルメサイトと同種の事案が表面化しないとも限らない。この辺りは引き続きウォッチを続けていきたい。

「アルゴリズム」の歴史を遡ると、遥か古代まで行ってしまうようで、その名称の由来もなんだかよくわからないので割愛させていただくが、JISによると、「問題を解くためのものであって、明確に定義され、順序付けられた有限個の規則からなる集合」と定義されているらしい。

言うまでもなく、私たちの行動は、巨大IT企業によって、知らず知らずのうちにデータ化され規則性を与えられている。それは恐ろしいくらいに細部にわたっている。

インターネット上でいつ誰とつながったのか、どのような検索と閲覧をしているのか、位置情報までもが詳細に記録が残っており、それらのデータが、広告効果を高めるための「商品」として流通しているということが、先日の朝日新聞でも記事化されていた。

昨年のデジタル広告市場は約66兆円に達し、前年比3割増という大きく伸長している。そして、その中の3割という最大のシェアを持っているのがグーグル、フェイスブック(メタ)、アマゾンと合わせた3社で6割を占めているという。

言うまでも無く、彼らは、独自の複雑なアルゴリズムを駆使して、世界中のユーザーにそのプラットフォームを使い続けもらうための努力を続けているわけだ。

グーグルも、10年程前に「コピペの記事は評価下げます」や、スマホが急激に普及したことを受けて「スマホファーストじゃないものは上位表示しませんよ」といったアルゴリズムの変更を発表したことはあるが、基本的には各社のアルゴリズムは公開されていない。

我々プランナーやマーケッターは、そのような見えざる相手の傾向を読み、トライ&エラーを繰り返しながら、広告効果の最大化に取り組んでいるわけだ。最近では、人工知能(AI)にその手助けをしてもらったりしながら、このインビジブルな相手とのせめぎ合いを続けている。(特にAIは、スピードアップと確率の向上に欠くことができないツールとなっている)

さて、個人的には友人や業務上の連絡以外で、ほとんどSNSで自身のことを発信することはなく、閲覧専門なのだが、そのSNSに、私がまったく関心のない記事が頻出しており閉口している。

特にアルファベットのIから始まる超メジャーなアレ。どこぞの国のつまらないいたずらドッキリ動画とか、ヘタなサッカーの珍プレイとか、犬や猫のオモシロ動画とか、スタイルの良い女性がクネクネ踊ってるだけとか、改造したスーパーカーで砂漠を能天気に爆走してるやつとか、そんなものばっかりが表示される。

いやがらせか?と思う。なぜ、このようなことになってしまったのか?心当たりはある。ある時から、そういう興味の無い記事には徹底的に「興味なし」を押し続けてきたのだ。フォローは趣味に関する数人だけだし、もともとSNSに「いいね」を押すタイプではないくせに「興味なし」だけはしつこく押す。

業務上あらゆるジャンルの事柄を検索したり閲覧したりする。Iとしてはきっと、そんな反抗的なヒューマンに対して、アルゴリズムで対抗策を打っているに違いない。

ちなみに、今、本当にいま、Iのアプリを開いたら、オランウータンの耳をアップにした動画が真っ先に出てきた。やれやれ。WEBサイトやSNSは適切な運用を継続してくことで、その価値が高まっていくようにできているのだという当たり前のことに改めて気づかされた今日この頃である。

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※2022/06/29公開の記事を転載しています


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