「和モダン+グランピング」老舗旅館が提案する新たな旅の価値とは-下部ホテル-
武田信玄公隠し湯の里として、名湯100選にも選出されている山梨県の下部温泉。
その下部温泉郷を代表する下部ホテルは里山の風情や松林の佇まい、清流の瀬音など四季美しい豊かな自然に包まれています。
そんな下部ホテルが新たな取り組みとして、1日1組限定で『和』と『グランピング』を組み合わせた特別な宿泊体験企画の提供を2019年からスタートさせました。
1.老舗旅館の枠にとらわれない商品開発とマーケット開拓
創業92年の歴史を誇る下部温泉郷の老舗旅館・下部ホテル。しかし老舗旅館であるがゆえに、時代の変革や旅のスタイルの移り変わりの中でこれまでとは異なる若い客層や新たな客層を取り込むための商品開発やマーケット戦略の必要性を強く感じていました。
そんな取り組みを模索している中で下部ホテルの矢崎社長が注目したのが、今から3年前の当時、巷で少しずつ話題になり始めていたグランピングでした。
美しい川がせせらぎ、豊かな緑に包まれた広い敷地を持つ下部ホテル。グランピングというと一般的にはリゾートホテルやアウトドア施設による体験企画が主流でした。
しかし、その固定観念をいったん取り外して客観的に見直してみると、下部ホテルの恵まれたロケーションはまさにグランピングの環境として最適なものではないかと気づきました。
そして社長自らグランピングのセミナーに積極的に参加。下部ホテルを舞台としたグランピング体験の実現への確かな手応えを得て、本格的に企画を始動させることとなりました。
「他のどこにもない、下部ホテルならではのグランピング体験」をテーマに掲げてスタートしたまったく新たなこの取り組み。
全体企画の立案からテント設営場所を始めとする環境整備、付随商品の構成や価格設定に至るまで、細部にわたっての検討や企画内容などの検証とツメを繰り返して、2019年春に下部ホテルの画期的な新商品としてリリースしました。
老舗旅館が発表した「和モダン+グランピング」というそれまでにない新たなコンセプトのこの商品は、観光業界の大きなトピックとして話題を提供することとなったのです。
2.「和モダン+グランピング」という新たな価値の創造
下部ホテルが提案する「和モダン+グランピング」とは、山梨の「自然」「料理」「温泉」を詰め込んだ快適なグランピング体験。
地元ならではの旬素材を贅沢に使った和会席や、1万坪にも及ぶ自然林の中に2種類の泉質を持つ自慢の源泉の効能を7つの露天風呂と12の湯舟で楽しめるなど、通常のキャンプでは味わえない新たな宿泊体験を1日1組の限定プランとして発売しました。
さらにグランピング体験者限定のイベントも充実しており、夜空が美しい下部ならではの「星空観賞体験」やイワナ・ヤマメ・ニジマスなどを釣って夕食時に炭火焼きを楽しめる「釣り体験」、「川魚のつかみ取り体験(夏休み期間限定)」といった豊かな自然を舞台とした四季の催し。
さらに、縁日体験や太鼓ショーなどの多彩な館内イベントも楽しめるなど、他のグランピングにはない老舗旅館ならではの新たな旅の魅力をご提供しています。
また宿泊もご希望によって通常のテント泊の他に別邸「歌舞伎の間」の利用も選ぶことができ、自然志向派のお客様から下部ホテルのリピーターまで、幅広いお客様が気軽に贅沢なグランピング体験を味わえるようきめ細やかに配慮されています。
予想を超える手応え、そして新たな客層の発見
まさに一泊ではすべてを体験しきれないほど盛りだくさんの内容が詰め込まれた下部ホテルのグランピング。お子様やファミリーの大切な思い出作りにぴったりの体験企画なのはもちろんです。
そして清流のせせらぎを聞き、満天の星空を満喫し、鳥たちの囀りで目覚めるという自然の中でのこの贅沢な宿泊体験は、ファミリー以外にもご夫婦連れやカップル、さらにはリピーターのお客様にまで、予想を超える好評を持って受け止められることとなりました。
またユニークなところでは、IT企業の社員グループがアウトドアを舞台としたオープンエア・ミーティングに活用するケースも。
下部ホテルにとっては社員研修やワーケーションなどこれまでに意識していなかった新たな旅のニーズの発見を通して、マーケット開拓の展望を示唆する貴重なきっかけにもなっていると言います。
3.3年目の今年はさらに企画を拡充し、通年企画へとグレードアップ
始動1年目から評価が高まりつづけるグランピングの3年目となる今シーズンは、さらに快適なグランピングを楽しめるよう新たにエアコン完備のドームテントを導入。
これに伴って、昨シーズンまでは春から秋までの期間限定だった企画を、通年企画へとグレードアップしました。
キャンプ気分を盛り上げるランタンや装飾品、スウェーデントーチなどのオシャレな演出に、寒い時期でも快適に過ごせる屋外用暖房設備なども用意。
春・夏はもちろん秋や冬まで四季それぞれの下部の良さをこれまで以上にハイクオリティな環境で楽しめるようになり、お客様のご予約状況も上々に推移しているといいます。
また下部ホテルはでこれに満足することなく、新たにサウナテントの導入も決定。緑と川に囲まれた開放的なロケーションの中で自然に溶けこむような「ととのい」を提供できるなど、多彩で快適な旅時間の実現に向けて今後もますます期待が高まる一方です。
4.つねに「今」に満足せず、新たな旅の魅力を提供しつづけるために
「企画をスタートさせようと考えた時点では、正直なところ『なぜ老舗の下部ホテルがグランピングを始めるのか』というような声もありました」と矢崎社長は振り返ります。
しかし何かを変える時には全員の賛同がないのが当然、と前向きに捉え、一歩ずつ周囲の理解と協力を得ながら実現への歩を進めてきたこのグランピング企画。
3年目の今では下部ホテルの数あるプランの中でも1.2を争う人気企画となり、宿としての経営にも大きく貢献していると言います。
下部ホテルではこの企画の他にも、自館の魅力をさらにブラッシュアップするために「下部ホテル アンバサダー」と名付けたモニター宿泊企も展開しています。
2020年11月から12月にかけて下部ホテル公式アンバサダーを募集し、選定した5名のアンバサダーに下部ホテルに体験宿泊していただき座談会を開催。
そこで揚がった指摘や忌憚のない声にすぐに対処・改善を行い、宿としてのさらなるクオリティアップを図っています。
また座談会ではお客様視点からの新たな切り口による貴重な提言も生まれており、こうしたアイディアを宿の付加価値向上のために積極的に取り込むなど、自館の魅力向上に向けた真摯な取り組みをつねに継続しつづけています。
和風旅館によるグランピング、そしてアンバサダーの視点からしか得られない気づきと提言…。老舗旅館のスタイルに固執するのではなく、つねに今の時代に求められる旅のあり方を見出し、さらなるクオリティアップに向けて積極的に取り組みつづける下部ホテル。
その姿は、変化する時代を越えて力強く生き抜くこれからの日本の宿のあり方をサジェストする好事例のひとつとして、多くの旅館ホテルの今後の指針になるのではないでしょうか。
下部ホテル(山梨県・下部温泉)
〒409-2947 山梨県南巨摩郡身延町上之平1900(Googleマップ)
公式サイトはこちら
※2021/06/16公開の記事を転載しています
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