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「それは、ホントに新しいのか?」広告会社が考えるリノベーションの成功思考

これまでの常識から脱却し、次の時代に向けて旅館ホテルの新たな姿を確立するために、株式会社エイエイピーが立ち上げた「観光革新」プロジェクト。

旅館を熟知したエイエイピーだからこそできる、この革新への伴走型支援についてのシリーズ記事第6弾として、今回はリノベーションプロデュースについてご紹介します。
※当記事は、エイエイピーのリノベーションディレクター第一人者に寄稿いただきました。



■暗中模索中に「気配がおきない」施策

街おこしに正解はない。
リノベーションというと施設の改装を思い浮かべるが、街おこしに例えて考えた。

以前、街おこしをされたいという、とある街の委員会の方からこんな質問を受けた、「街おこし成功で最も大切なのは何か?また、失敗する一番の要因はなにか?亅と。私は即座に、「成功の要因は、ヒトです。そして失敗の要因もヒトです。亅とお応えした。

街おこしのやり方に正解はない。だから考えたことを実行している段階「暗中模索」の期間が長い。もし、短期的に成功したとしても、それは偶然が何個か重なったラッキーな出来事だと考えるのが常套だと私は思う。

大河ドラマで、その街が脚光を浴びて来訪者が増えた。などというのはその典型だろう。他力本願で肝心の「誘引するための努力」が欠けているから、必ず来るであろう引潮の状況が始まってもそれを停めることなどまず不可能な訳である。ひどいものになると「次の大河ドラマはいつだろう?」と、来ぬ日を願い待つなんてことにも。

話を「暗中模索の段階」に戻そう。暗中模索状況下で、幾分かの手応えが出てくれば、先が見通せる。その手応えの事例をさらに脚色して膨らませる事ができれば50%は成功に近づく。

問題は、暗中模索段階で、一向に何の「気配」も起きない場合だ。実はこのケースはとても多い。この期間が長ければ長いほど、街おこしのメンバーは、そのうち一人抜け、二人抜け、いつのまにか、みんな抜けになる共同事業を体験された方々は多いのではないだろうか。


■「以前の延長線上かどうか亅の1点

それでは、そうなる前にどうすればいいのか?

最初に見返すのは、やはり自分達が立てた施策そのものである。ただし、そのアイデアが良かった悪かったではなく、見返すポイントは「施策の構造が、以前の延長線上のモノではなかったか?亅という点に限る。

これまでと同じようなスタイルで施策を創れば、受け入れのオペレーションは容易い。ましてや参加する地域の複数の同意も「これまでどおり」だから得やすいので話し合いもスムーズに進む。起案から実行まで楽に最短距離を取ることができるわけだ。それが悪いことと言うわけではないが、安易な道は結果も安い。

しからば、先に記した「施策の構造亅とはどういう意味か?それは、新しい施策そのものにどれだけ「自身のチャレンジ度合が高いのか」と言うことである。

①新たな市場を考えているか?
②受け入れ体制に拡がりがあるか?
③継続&拡販の余震を盛り込んでいるか?

・・・等、これまでの殻を破る構造の変革を目論んでいるのか否かが重要なポイントになる。


■施策の構造変革

西日本で人気が高まっている某シティ系・Kホテルグループの例をだそう。

★チェックインするフロントロビーラウンジは眺望が良い高層階。
★最上階展望大浴場に露天風呂。
★広々としたお洒落なツインルーム。
★夕食提供は無く、70品目あまりの朝食ビュッフェ。(夕食は地元の飲食店をおすすめする)それで、★宿泊単価は地域によって異なるが、おおよそ1泊1朝食付で5000円代から・・・。これまでのシティホテルとビジネスホテルのニーズの隙間にマーケットを見出し、新たな戦略を立てた一例だと思う。

Kホテルグループの場合は、ホテルの構造を見直しそれを戦略に変えた一例だが、これを「街」に置き換えてみると新たな気づきが生まれる。


■「今までは、こうだったから・・・」を言わない。

それでは、温泉街の地域資産はなんだろう?

① 宿の数だけ様々なお風呂がある
② 宿の数だけ様々な部屋がある。
③ 宿の数だけ様々な食事処と料理がある
④ 地域内には様々なお店がある
⑤ 地域内を護る寺社仏閣がある

これらの「既存資産」を魅力的につなげなおすことで新たな構造が生まれる。そのための小さなハードルをひとつひとつ倒すのが街おこしにおけるリノベーションの第一歩ではないだろうか?もちろんここまでは無駄な投資もまったく必要はない。

さらに魅力は拡がりを続ける。①〜⑤のブラッシュアップと協働のインターフェイスに合わせて、各パーツのエントランスの魅力も創り出すことを繰り返すことで、いつの間にか理想の街の姿ができあがってくる。これがリノベーションの完成イメージパースになるという訳だ。

これらを自力で行うよりも、国や地方行政の補助金を活用することもお薦めだ。実際に、当社も事業再構築補助金や高付加価値化事業などにて協働のお手伝いもしているので、当社の経験を参考にされることも格段の早道になる。


革新的な投資ならば、国や地域行政の補助金の審査も通過する確率も高くなる。ちなみに補助事業のチェックハードルはこれから増々高くなるという予測もある。お国としても変哲のない、しかも薄い効果しか見えない事業には投資を控えたいというのが本音なのだろう。

昭和2年、日本のトーキー映画が産声を上げた時、楽士・弁士たちが浅草六区に集り反対運動を決行した。「トーキーなど、ひと時の流行りだ!我々の仕事を奪うな!」と、異口同音に発した。

現状にすがるあまり、映画の未来を見通せない人たちの悲しい叫びが町中にコダマした。

でも、このハナシ、笑えないのだ。映画の進化を、今の旅行業界の進化にあてはめてみれば、トーキーからVRに発展した映画界よりも、旅行業界の進化は長大である。その進化に対して、「今までは、こうだったから・・・」と、スタンスをとることは、時代の進化を見失った楽士・弁士と同じなのではないだろうか。

「革新」に、悪いことは一切ない。街おこしに限らず、自社でリノベーション施策をたてる時に、一言アタマの中でリフレインしてほしい・・・「それはホントに新しいのか?」と。


広告会社のマーケター兼クリエイティブディレクターならでは、リノベーション事業の一風変わった考え方表現を紹介しました。

是非ともエイエイピーをパートナーとして、貴施設や街のリノベーションを「挑戦度高く」取組んでみませんか。お待ちしております。

参考サイト▶旅館・ホテル業界で60年以上の取引実績を持つ広告商社によるリノベーション事業

※2023/03/02公開の記事を転載しています


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