【観光革新プロジェクト】次世代のサクセスに向けて、 エイエイピーが事業を再整理
株式会社エイエイピー 専務取締役 須田紀哉
個人客化やデジタル化、コロナなどによって時代が大きく動いている今こそ、「これまで」ではなく「これから」に目を向けたイノベーションのチャンスです。
次世代の観光のあるべき姿を指針として打ち出し、旅館ホテルビジネスの活性化をめざすために、「観光革新」プロジェクトを立ち上げたエイエイピー。このプロジェクトのシリーズ記事第一弾として、プロジェクト推進リーダーである株式会社エイエイピー須田紀哉専務取締役がその目的と取り組みについて語ります。
-旅のあり方が大きく変化する中で、旅館やホテルに求められるものも従来から大きく変わって来ていますが。
1953年(昭和28年)に熱海で産声をあげた私ども株式会社エイエイピーは、その当時、日本初の旅館用カラーパンフレットを制作し、以降今日まで70年もの間、観光業界の繁栄のお手伝いをさせていただく中で、観光に関するノウハウを着々と積み重ねてきました。
旅行業は今、個人化の波と、新感染症への警戒、さらに紛争による経済不安のあおりを受けて、激変の時を迎えています。私どもではそんな今こそ、当社最大の財産である観光への広い知見とスキルを活かす時が来ているものと考えています。
この激変の時を迎え撃ち、また次の時代を導く新たな道を開拓する使命を持つ集団として、旅館ホテルへの伴走型支援のさらなる強化を図っていきたいと考えています。
―個々の旅館やホテルでも、激しい時代の動きにどう対応していくべきかについては苦慮していますね。
そうですね。団体客から個人客へのシフト、デジタル化やインバウンドなど、旅行業界はもとより消費者そのものの動向が大きく様変わりする中で、私どもが長くお取引いただいている旅館様からも、2017年頃を潮目としてお客様の動向が大きく変わってきたというお声をよく聞きます。
これまで団体客を主体として運営していた施設においても集団での予約が大きく減り、小グループやご家族、カップルなどの個人客が主流となったことが全国的に鮮明になった頃と思います。
エイエイピーではこれまで旅行会社向けの販売促進ツールの制作を承ってきましたが、団体客の減少に伴ってこうしたツールの必要性は少なくなり、その代わりに個人客を集客するために個々のお客様をより深く知ることが重要になっています。
従来のように旅館ホテル側が一律に施設や商品情報の発信を行うのではなく、それ以前にまず「どこからお客様が来ているのか」「どういう趣向をお持ちのお客様なのか」「どういうサービスが求められているのか」などについて確かなエビデンスを用いてきめ細かく分析し、同時にそれらに対する具体的な方策を立てる必要性が顕在化してきたことが、今回エイエイピーが「観光革新」というプロジェクトを立ち上げた最大の理由です。
-このプロジェクトを通して、エイエイピーがめざしているのは?
その昔は「デザインの良いパンフレットを作るならエイエイピーだよ」「こんな悩みがあるからエイエイピーを呼んで話を聞いてみよう」といったリクエストをいただくことが多かったのですが、集客手法が紙からデジタルに変わってきた頃から、観光業界から求められる提案も従来のジャンルを超えて多岐にわたるようになってきました。
私どもは旅館ホテルの皆さまによって育てていただいた企業ですし、また70年ものお取引、お付き合いの中で学ばせていただいたことも多々あります。だからこそ旅館ホテルが置かれた現状をしっかりと見据えて、一つ一つの課題をお客様の傍にいて寄り添いながら、ともに解決していくパートナーになっていきたいと考えています。
旅館ホテルにとっての永遠かつ最大のミッションは言うまでもなく集客ですが、そのゴールに辿り着くためには、例えば事業化に際して様々な補助金を活用できないか、なるべくローコストで施設改修ができないか、また重要なコミュニケーションツールであるSNSをわかりやすく運用できないかなど、その筋道は無限にあり、またそれぞれに対する課題も多々存在します。
こうした数限りない課題をすべて旅館ホテル自身で解決するのは、実際のところ至難の技でしょう。
そんな時代であるからこそ、私たちエイエイピーは旅館ホテル様とともに歩む「ファーストコールカンパニー」となるべく、これからも邁進していきたいと考えています。
時代の大きな潮流に合わせて、旅館ホテルが大きく運営の舵を切ろうとしている只中に、突如として巻き起こったのがコロナという大きな三角波でした。旅館ホテルは今、時代のうねりに対する舵取りとコロナへの対策という2つの課題に直面してしまったことで、まさに翻弄されてしまっているというのが実情だと思います。
-「観光革新」プロジェクトの狙いと、その内容について教えていただけますか。
施設の改装から販促計画の見直し、運用改善、さらには経営のイノベーションまで、それぞれの旅館ホテルによって焦点となる課題は様々です。
「観光革新」では、こうした多岐にわたる課題に応えるために以下の9つの事業分野を主な柱として、エイエイピーのノウハウと専門家の知見を最大限に活かした伴走型サポートによって、多様な課題の解決や新たな市場の開拓を強力に推進していきます。
【観光革新の9つの柱】
①リノベーションプロデュース
客室や食事会場の個人客対応、遊休スペース有効活用を主体に、業界に精通したノウハウを活かして、旅館ホテルのリノベーションを広告クリエイターがプロデュース。コンテナハウス「リゾ箱」や「選書ディレクション&ライブラリ導入」など、新たなマーケットを見据えた「攻めのリノベーション」へと転化します。
②月額固定のWEB強化プログラム
エリア・マーケット分析、予約データ分析、クチコミ分析、競合分析などにより、宿のコンセプトやターゲットを明確化。目標設定から運用計画、宿泊体験レポートまでをカバーしたHP&SNS&OTAの三位一体ブランディング&プロモーション支援を行います。
③月額固定のインスタグラム運用支援サービス
宿のコンセプトやターゲットに合わせた戦略立案と目標を設定し、投稿施策・プロフィール整備・ストーリーズハイライト整備・リポスト(UGC)・リール動画活用など、SNSのより強力かつ効果的な運用をサポートします。
④観光業特化の補助金採択支援
宿ごとの現状とニーズに合わせて、各種補助金事業の設計から申請書の作成と申請手続を支援。事業実施に伴走するプロデューサーとして、確かな事業成果へと結びつけます。エイエイピーではこれまでに、事業再構築、既存観光拠点再生、地域一体高付加価値化、看板商品創出など、観光庁・経産省・各県庁の補助金事業で様々な採択実績を上げています。
⑤すべて一元化のサインプロデュース
施主と設計事務所、建築会社の間に立ち、サイン計画(コンセプト&プロット)のトータルプロデュースを行います。新築・改装を問わず、ユニバーサルデザインに基づく設計、コスト管理、製作・取付、メンテナンスまで、専門スタッフの一貫したフォローによって、安心をおとどけします。
⑥インバウンド団体・FITプロデュース
中国に団体を持つ専門旅行会社との連携により、中国MICEの実誘客が現実に。また、事業者やDMO向けインバウンド事業の構築・見直しに向けた戦略策定、マーケティング、満足度向上のためのコンサルティング、インバウンド富裕層向け商品・コンテンツづくり支援などの具体的な課題にお応えします。国別では台湾の誘客プロモーション手段を多岐に連携対応できる体制を整えています。
⑦「強い」地域商品プロデュース
商品の魅力を最大化するデザイン戦略と販路開拓支援によって、地域商品をオリジナルブランドとして確立。また強いプロデュースパワーを付加することで、個々の宿のECサイトの活性化はもちろん、地域産業の振興にも貢献します。
⑧「修景・着地・絵創」まちおこしプロデュース
まちおこし活動には「何から着手すれば良いのかわからない」という悩みがつきものです。エイエイピーでは地域ごとの課題に寄り添いながら、「修景」による人心変化、「着地」商品の整備と発信、「絵創」から始める誘客という3つのアプローチを通じて、そのエリアならではのストロングポイントを最大限に活かしたまちづくりをプロデュースします。
⑨SDGs:地域の「JSTS-D取組」伴走型支援
人口の減少によって地域の存続が困難になってしまう前に「JSTS-D日本版持続可能な観光ガイドライン」の導入を検討しましょう。国際基準に即した取り組みを通じて地域の観光収入を確保するとともに、専門家アサインのもとで、観光客、地域住民・担い手、地域環境の3者がいずれも満たされるよう、地域伴走型の支援を行います。
-旅館ホテルが直面している課題は多々ありますが、
実際に寄せられているご相談にはどんなものがありますか。
エイエイピーでは印刷物はもとより、webサイトやSNSを始めとする様々な販促計画やデジタル化、さらに人材運営や経営改革に至るまでの幅広いご相談を承っていますが、中でも特に多くのご相談をいただいているのが施設リニューアルに対するご提案です。
先ほどもお伝えしたようにお客様の動向が変わったことで、個人のお客様に対するお食事の提供場所が不足するケースが増え、この解消は多くの施設において喫緊の課題となっています。既存の宴会場を常設型の会食場へと改装するのがもっとも手軽ではあるのですが、いざ宴会場をなくしてしまうと、今度は団体のお客様が戻ってきたときに対応ができなくなってしまうというジレンマが生まれます。
こうした現況を受けて、個人客にも団体客にも対応できるリバーシブルな施設が実現できないか、というお声をいただくことが多いですね。
またお部屋に関しても同様です。団体客向けの旅館ホテルでは、10畳、12.5畳中心の和室をお持ちのお客様が多いのですが、ここにベッドを置いて個人客向けの和モダンタイプの客室にするにはどうしたらよいだろうか、というご相談もよく承ります。
既存客室の現状や狙うターゲットなどによって対策も様々ではありますが、例えば部屋内のユニットバスをなくしてシャワーブースに変え、また洗面室を広くとって女性のお客様に喜んでいただけるように刷新するなどの手法も考えられます。
またファミリーのお客様を取り込みたい施設からは、お子さんに人気のキャラクターを使用したコンセプトルームのご相談などもあります。ただ著名キャラクターとのコラボの場合は、著作権使用にあたって少なくないギャランティを要しますので、このコストをかけたくない場合には、それ以外の新たなアイディアを創出することが求められます。
例えば部屋の中にテントを設置したグランピングルーム企画であったり、アニメ専門学校の学生さんとのコラボで旅館のオリジナルキャラを開発してお部屋に展開するなど、エイエイピーではこれまで様々ななご提案をさせていただいております。
これまで培ってきた伝統のある考え方や手法は、もちろん大切な資産ではあります。しかし旅のスタイル、旅行社のニーズが大きく変わっている今、旅館ホテル側も柔軟な発想で、貴館独自のおもてなしをカタチにしていくことが重要です。
分野を問わず、これからの旅館ホテル業は固定観念に囚われることなく、刻々と変化するユーザーのニーズに対して、つねにフレキシブルに対応していく姿勢を確立することが何よりも大切であり、同時にそこにこそ、次の時代へと続く無限の可能性が眠っているのだと思っています。
創業以来つねに「お客様とともに成長していきたい」というテーマを掲げる株式会社エイエイピーは、新時代に先がけた多彩な事業のご提案を行う「観光革新」プロジェクトによって、旅館ホテルの「これから」の繁栄をお手伝いします。
施設構想、販売促進計画、観光DXから経営面でのサポートなどまで、ご相談やお困り事などがありましたら、まずはお気軽にお声がけ下さい。
また、今回ご紹介した「観光革新」プロジェクトの9つの柱については、細かな部分では準備中の仕様もありますため、来月よりそれぞれの事業の具体的な内容と進捗について月1連載としてご案内してまいります。ぜひご注目ください。
※2022/08/04公開の記事を転載しています
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