ホテル旅館の閑散期にできる集客対策とは
旅行業界の売り上げが低迷しやすい時期は、ホテルや旅館にとっても集客数がどうしても伸び悩んでしまう時期です。
多くの施設がいわゆる「閑散期」と呼ばれるこの時期に、何とかして集客を伸ばそうとするわけですが、繁忙期と同じような切り口でプロモーションをしていても期待通りの効果は得にくいと言えるでしょう。
今回は、ホテルや旅館の閑散期にできる集客対策について、そのポイントを詳しく解説していきます。
閑散期の集客は効果が出にくい
ホテルや旅館などの宿泊業界では、一般的にゴールデンウィークが終わった後の5月中旬から7月の夏休み前とお正月の終わった1月中旬から2月にかけてが「閑散期」だと言われています。
当然、マーケティングの担当者はこの事実を踏まえた上で、集客のためにさまざまな取り組みをするわけですが、残念ながら閑散期というのは集客効果が出にくいという特徴があります。
■閑散期に広告を出しても効果は低い
閑散期に折込広告や雑誌などの紙媒体へ広告掲載をすると、その広告がお客さまの目にとまっても止まらなくても変わらずに製作費や掲載費用が発生します。
ニーズが高い繁忙期であれば費用対効果は高くなりますが、「旅行をしよう」と思っている人自体が少ない閑散期に同じコストをかけて宣伝をすることは非効率的です。
広告や宣伝の目的は、認知の拡大やブランディングです。
繁忙期よりも少ないコストで効率よく認知拡大するため、閑散期の間は、広告のメインをクリック数に応じて費用が発生する「クリック課金型広告」に切り替えたり、情報発信の手段としてInstagram(インスタグラム)やFacebookなどのSNSなどを活用するのも良いかもしれません。
■安易な値下げやキャンペーンは避ける
いくら集客が確保できたとしても、利益がでなければ意味がありません。閑散期の集客を目指す一心で安易な値下げをしてしまったり、キャンペーンを打ち出してしまったりすることはできるだけ避けましょう。
安易な値下げや、値引きキャンペーンといった手法は、ホテル・旅館のブランディングに悪影響を与えます。閑散期だからこそ、独自に持っている強みや、この時期だけの付加価値をアピールすることで、お客様にメリットを感じていただく方法を考案していきましょう。
閑散期に行える仕込みとは
閑散期に行える施策は、広告やキャンペーンだけではありません。
閑散期でお客様が少なく、仕事の負担が軽減されているからこそ、次の繁忙期に向けての対策を行うのも、閑散期を有効に活用する方法の一つです。
ここでは、閑散期に行える、繁忙期にむけての準備についてポイントをご紹介します。
■掲示物やメニューの刷新
ロビーや廊下、客室などに貼られている案内などの掲示物や、売店のPOPなどを全て新しいものに変えるだけで、館内の雰囲気は変わるはずです。
地味な作業ですが、全てを新しくしようとするとかなりの時間を要しますので、業務量の少ない閑散期にこそ取り組んでみましょう。
また、調理部門では閑散期を利用してメニューの刷新を行うという方法もあります。SNSなどでその過程や結果を積極的に発信するのもおすすめです。
■スタッフの教育を行う
業務の負担が軽減する閑散期は、スタッフ教育に力を入れるのにピッタリの時期です。
接客のマナーを再度見直しスタッフ全員で共有することで、繁忙期にむけたサービス向上を目指すことができます。
■丁寧な接客を心がける
閑散期と言っても宿泊客がゼロになるわけではありません。この時期に宿泊しているお客様に対して、いつもよりも丁寧な接客を心がけることで、お客さまの満足度は大きく変わってくるはず。
それが結果的にリピート率のアップや良い口コミの拡散につながり、繁忙期の集客にも影響していくと言えるでしょう。
■普段と違う客層を狙う
閑散期に客室の割引をすることはおすすめできませんが、この時期だからこそプランのバリエーションを増やすことは可能です。
例えば、旅館の場合は通常2名以上の利用が一般的ですが、閑散期に限り1名で利用できるプランを作ってみたり、宿泊はせずにデイユースで料理やスパなどの館内施設を利用してもらったり、フレキシブルなプランを作ること
によって普段とは違う客層を狙ってみてはいかがでしょうか。
時期にかかわらず行えるプロモーションを活用する
繁忙期と閑散期はそれぞれ異なる切り口で宣伝をすることが効果的ですが、その一方で年間を通して使えるプロモーションを準備しておくことも大切です。
具体的にはイベントや展示会に積極的に参加して、その施設の魅力をアピールしたり、繁忙期に宿泊したお客さまに対して、閑散期に使える割引クーポンを配布し閑散期のリピートを目指すなどの工夫が必要です。
繁忙期の集客を高めるためには、閑散期に時間をかけて準備をしていくことが大切です。閑散期の準備によって繁忙期の売り上げが上がることで、施設やサービスへの投資が行えるため、長期的なスパンで見れば、閑散期の集客にもつながっていきます。
※2019/11/05公開の記事を転載しています
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