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論語と算盤|観光マーケティングプランナーのちょっと視点を変えた連載コラム003

ひところ、論語に凝ったことがあった。書店で論語に関わる書籍を探していた時にふと目に留まったのが、「論語と算盤(ろんごとそろばん)」という本だった。

何!?論語に算盤?!?・・・ということで手に取ってみると、著者はなんとの渋沢栄一!ほうっ!と頁を紐解いてみて成程。

或日、漢学者の三島毅が渋沢宅に訪ねてきて、「私は論語読みだ、おまえは算盤を攻究する人なので、論語と算盤をなるべく密着するよう努めよう。」と言われたのがコトのはじまりとか。

いうまでもなく渋沢栄一は、小国日本の繁栄を任されていた身にて、実業家が力を張らなければ国の富は成さぬ、その富をなす根源は何かと言えば「仁義道徳」、正しい道理の富でなければ永続する事は出来ない。そこで、論語と算盤という懸け離れたものを、ひとつにしてみようか・・・というのが、この本の次第だ。

私がその本を丁度読み始めたときに、またタイミングよく、食品や建築、車業界などで企業の嘘八百が暴かれる大きな事件が次々と起き、国民からおおいに弾劾されつづけた。「なるほどなあ。やっぱり商売の志というのは清く正しくなければいかんのか。」と、そのときに強く感じたものだった。

だから「論語と算盤」を読む必要は別にないので、あしからず。ただ、商売をすること、儲けることを考える前に、まず必要なことは、自分がこれからやろうとしている事の根源は何か?と見返してみるということがとても大切ではないか?というお話である。

例えば自分の会社の一年間の戦略を講じるとする。その最終目的が、自社の希望売上や利益をマストにするとすれば、そのための戦術はお金を生み出すための後付けの施策が並ぶ。これはユーザーにすぐに見破られる。逆に、「お客様にこんな満足を!」という発想から生まれた策はピュアに映り、実直に伝わりやすい。

はやい話は、「虚は必ずバレる。」ということだ。儲けようと思って相手に近づけば、相手は遠ざかる。逆に本当に相手を思いやって近付けば、心を開いてくれる。というのは、私などより、永く商いをされてきた皆様なら、なおさら実感されるだのだろうと思う。

ところが、現在はWEBがアプローチの基軸時代。世は「インスタ映え!」「興味をソソルこの一行!」とか「マチガイだらけのホームページ!」とか、表側の装い方に特化した戦術が右往左往しているのが現況に見えるのは私だけだろうか?

いくら興味を持たせ&ワクワクさせて、自社サイトに引き込んだとしても、最終的に「いい買い物をした!」と思っていただくためにどのくらい注力しているだろうか?

WEBの世界はまだ数十年しかたっていない。いわば生まれたての下剋上のようなもので、正解などなく次々と新しい切り口が毎日のように生まれては消えている。

そんな状況の中で、ちょっと行き詰まり、基軸の必要性を感じたら、「論語と算盤」・・・というワードを片隅にでも浮かべて頂けたら。

※2020/02/26公開の記事を転載しています


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