リピート率95%!日本で最も予約が取れないといわれる野外研修「森と湖の楽園」
【今リポ!】今、伝えたい!最前線リポート Vol.006
新型コロナに伴ってテレワークが広く普及するにつれ、社員同士のコミュニケーションに関するさまざまな課題が生まれてきています。またせっかく入社した社員の早期離職や社員の問題解決能力の低下など、人材経営にはつねにさまざまな悩みがついて回ります。
「人」に関わるそんな悩みを解決してくれる研修として今大きな注目を集めているのが、一般社団法人 日本野外研修ワークショップ協会が主催する「森と湖の楽園」を舞台とした体験型野外研修です。日本で最も予約が取れない研修とも呼ばれるこの研修。
コロナ禍以降も問い合わせ・予約がますます増大する中、国内数カ所の認定施設で講師を育成し、現在では数多くの予約を受け入れられる環境が整備されているそうです。
「たった2日で仲間が好きになり、社員が辞めないチームを創る」その魅力と真価について、同協会代表理事の田中孝治さんにお話を伺いました。
1.人が本来持っている「人間力」を蘇らせることが基本テーマ
-この研修では仕事というものを、人間力や、人と人の関係性という側面から捉えていらっしゃるようですが。
社会のデジタル環境が大きく進化して、スマホやパソコンがあれば大半のことが済ませられる時代になってきています。人は昔からつねに便利さを追い求めてきたわけですが、その便利な社会が実現していくにつれて、本来人が持つべき力が失われてきているように感じられます。
「スーツを脱いで森へ行こう!」を合い言葉としている私たちの研修は、今の社会の中で崩れかけているバランスを取り戻すことで、人が本来持つ力を呼び起こすことをテーマとしているんです。
-プログラムにはご自身のお芝居でのチームビルディング経験が生かされているのでしょうか。
はい。私はこの森と湖の楽園に携わる以前からずっと芝居の世界で生きてきまして、「暴れん坊将軍」や「水戸黄門」、「遠山の金さん」などの著名な作品にも舞台・テレビ番組と数多く出演させていただきました。
そんな経験の中で、演者やスタッフを含めた集団がひとつの芝居を作り上げる過程というのは、まさに同じ体験を通してのチームビルディングそのものではないかと気がついたんですね。そこでこの地に来てから、その実体験を生かした研修を展開してみようと考えてこの研修を立ち上げたんです。
私たちの研修には企業の内定者や新入社員、幹部社員などいろんな立場の方がご参加されますが、体験するのは基本的に同じプログラムで、人によってコースが分かれているわけではありません。チーム単位でのさまざまな体験を通して、人と人が本音でコミュニケーションを図ることで、その集団ごとの潜在的な課題が自然と浮き彫りになり、参加者どうしの交流によってそれが解決されていくんです。
-参加者の声を聞きながらつねにブラッシュアップを重ねてきたそうですが。
アンカーリングやラーニングピラミッドなど、様々な専門用語、学術用語がありますが、私たちはこうした理論に沿って研修プログラムを作ったわけではなく、まず自分達が良いと感じられる体験研修を作り、そして実際に参加した方の生の声を聞きながらブラッシュアップを重ねてきました。
その結果、現在のプログラムが確立されたわけですが、そのプログラムを学術的な視点から検証してみると、「良い」と言われている要素のほとんどを満たすものになっていたんです。
2.多くの人材研修やセミナーとの最大の違いは
-研修の主役は、あくまでも参加者だということですね。
一般的なセミナーは、講師の持つ専門的なノウハウを参加者にレクチャーするというスタイルを取っています。いわば講師が主役であり、そこから参加者へと一方通行に情報が伝達されるわけです。
しかしこの研修はあくまでも参加者一人ひとりが主役。私たちは、その主役たちがより楽しくより密度の高い体験と交流を図ることを手助けするような司会者や演出家の立場に徹しています。
研修の参加者は会社に言われたから来ました、という方がほとんど。当然、研修のスタート時点では興味もなく、ごく消極的なんですが、私たちの研修はこうした参加者を「自発的にその気にさせる」ところからスタートするわけです。
そのためにも専門的な用語は一切使うことなく、誰にもわかる平易な言葉で伝えるように心がけています。
また時間の使い方も工夫しています。人間の集中力は、15分しか続かないと言われます。私が長く暮らしてきたテレビ・舞台の世界や学校の授業でも30分、45分、90分などの区切りで成り立っています。
私たちのプログラムもこれに準じた長さのコンテンツを組み合わせていますし、司会者としてできるだけ短い時間で簡潔に伝えるためにテレビCMの時間を意識しています。
そして、私たちの考えを押し付けることは決してありません。それはあくまでも参加者が主役であり、プログラムを通して「自ら何かを感じ、気づく」ことを何よりも重要だと考えているからです。
-人本来の姿を取り戻す上で、「体験」を特に重視されているように感じられますが?
「自然環境での研修は非日常で良い」などとよく言われるのですが、便利が溢れ「人間力」が失われている現代社会が「非日常」で、不便だが知恵を使う自然の生活が本来人にとって「日常」ではないのでしょうか。
自分の五感を使わない生活、仕事の不自然さが、人間力やコミュニケーション能力を抑圧している。これを開放し、人が持つ本来の力を取り戻すことが重要だと考えています。それが特に顕著なのが焚き火です。
日中にさまざまなプログラムをチームで一緒に体験する中で、人と人、心と心の交流ができる。その夜に揺れる火を眺めながら語り合うと、そこには上司や部下、同僚という立場を離れた人どうしの親密な交流が生まれ、ふだんは秘めている気持ちも素直に口に出せるようになるんです。
-効果がずっと持続する研修のために、具体的にどんなプログラム創出を意識されていますか?
多くの研修やセミナーでは、研修の直後はモチベーションが高まったもののすぐに元の状態に戻ってしまった、という声をよくお聞きしますが、実体験をメインとする私たちの研修では受講後の効果が長く続くことも大きな特徴です。
肌感覚や音、匂いなど、自分の五感で経験したことは強い印象を残します。受動的な座学で「聞いただけ」のレクチャーではなく、実際に自分の体を通して深く心に印象づけること。つまり「体験」がこの効果の持続のための大きなカギになっていることは間違いありません。
私たちの研修では1つのプログラムを行ったらその後で必ず振り返りを行って、体験したことをもう一度おさらいしています。これは研修の効果をさらに高めるための工夫です。
ある専門家の方の分析によると、この研修は1泊2日のプログラムを通して、合計で9回も体験と思考の紐づけを繰り返し行っているのだそうです。体験を通して自ら気づく。そこが定着度の圧倒的な違いを生み出しているのだと思います。
3.コロナ禍の中で、研修を取りまく環境の変化
-テレワークなどが浸透する中、改めて「人と人のリアルな関係づくり」が注目されているという実感はありますか
このコロナによってリモート会議やオンライン研修などが一気に普及してきました。
ただ画面を通した一方通行のレクチャーだとどうしても参加者どうしの交流を図ることができなかったり、受講者の理解・浸透度が測れなかったりなどの課題も存在します。
そんな中で興味深いのが、一度私たちの野外研修を受けた方々の間では、その後のオンライン研修でもこうしたデメリットが表れにくく、以後のセミナーの効果が高まったという声が出ています。
こういうお話を聞くと、人にとっての「リアル」な体験というものがどれほど大切なのかを改めて感じさせられます。
-今後はこの研修を活用して新たな展開を考えているとのことですが。
私たちは現在「森と湖の楽園」のキャンプ場や、全国のキャンプ場で講師を育成し、この研修プログラムを実施していますが、その舞台は何もキャンプ場に限ったものではありません。
例えば全国の旅館やホテルを会場にして同様の効果を持つ研修を実施することも可能です。多くの旅館・ホテルの周辺環境や既存施設を上手に活用して、私たちの持つノウハウを生かしたオリジナルの研修プログラムを実施すれば、大きな費用をかけることなく平日のグループ客の獲得にもつながるのではないかと考えています。
今後はこうした他業種との協働的な展開も積極的に行って、リアルな体験研修の素晴らしさとその効果をより多くの方々に伝えていきたいと考えていますので、もし私たちがお手伝いできることがあればぜひお声をかけていただけたら、と思っています。
■プロフィール
田中孝治(たなか こうじ)
一般社団法人 日本野外研修ワークショップ協会 代表理事
大阪芸術大学舞台芸術学科演劇コースを卒業後、大劇場を中心に活躍し「水戸黄門」「遠山の金さん」「暴れん坊将軍」等、数多く出演。現在は「倒産寸前のキャンプ場が従業員数10分の1で来場者がなんと2倍に!奇跡のV字回復」を元にした社員研修を開発し、リピート率95%、1年前に予約が埋まる予約が取れない人気カリスマ研修講師として活躍している。
世界的ベストセラー「7つの習慣®」とコラボレーションした「7つの習慣®Outdoor」の世界初の講師としても認定を受け、近年は現代人に失われつつある“人間力”を取り戻す“野外”を使った研修の魅力を多くの人に伝えるため、大学での講義やセミナーの開催、講師育成にも力を注いでいる。
■一般社団法人 日本野外研修ワークショップ協会
〒401-0302 山梨県南都留郡富士河口湖町小立5660-1
設立:2012年4月26日
事業内容:
1.各種教育講師の育成
2.各種教育研修サービス業
3.各種イベントの企画、制作、運営
4.各種施設等の企画、デザイン、設計、構築、運営、コンサルティング業
5.前各号に付帯関連する一切の事業
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※2021/10/21公開の記事を転載しています
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