2024年2月にウォーターフロントに誕生した「豊洲 千客万来」、新スポットがめざす次世代観光と地域振興の両立とは
豊洲市場に隣接し、ゆりかもめ・市場前駅ともデッキで連結する新たな観光スポット「豊洲 千客万来」が、この2024年2月1日に大注目の中でグランドオープンしました。
施設は、約70店舗もの個性的なお店が集い和のにぎわい空間を演出する食楽棟「豊洲場外 江戸前市場」と、9階建ての温浴棟「東京豊洲 万葉倶楽部」の2棟から構成されています。
豊洲地域の観光振興と活性化を見据えて東京都が進めていた開発プロジェクトに2015年から参加し、9年の時を超えてめでたくお披露目を迎えた豊洲 千客万来。
今回の今リポでは、コロナ禍を乗り越えて今後の日本のインバウンドの本格的な回復・拡大にも大きく寄与するであろうこの施設の、オープンから2ヶ月を経ての手応えについて、プロジェクト開発を担当された万葉倶楽部株式会社取締役副社長の高橋眞己さんにお話をお聞きしました。
2月の開業からおよそ2ヶ月、お客様の入り込み状況はいかがですか
おかげさまでここまでの2ヶ月は、運営側の私たちとしても驚くほど多くの皆さまにご来場いただいています。
その一例として観光バスの台数を挙げますと、2月は合計で約330台、3月は同じく約640台にも達するなど、スタートダッシュとしては大変良い結果を得ることができました。
こうして多くの方にご来場いただけている大きな理由のひとつは、数多くのマスメディアの皆さまに注目いただいたことにあります。
私も本当に多くのメディア取材を受けさせていただきましたし、施設についても報道はもちろんバラエティなどでも盛んにご紹介していただきました。
当施設は海外観光客の皆さまに向けた目玉スポットと思われる方も多いと思いますが、こうした国内メディアの影響もあってオープンから現在までは非常に多くの国内のお客様に来場いただいている状況です。
その一方で、特に注目されるインバウンド客の動向はいかがでしょうか
ここまでのところ来場者全体に占める海外観光客の方の割合は、おおよそ2割ほどではないかと見ています。しかしもちろんこの割合は今後ますます高まっていく予定です。
2月のオープンを機に、旅行エージェントの皆さまが一斉に海外発のツアーを展開してくださっていますが、こうしたツアーによるお客様の動きが本格化するまでには3ヶ月から半年ほどはかかるだろうと見ていますので、おそらくこのゴールデンウィークあたりにはツアーでの訪日と施設への来場が本格化してくることでしょう。
豊洲 千客万来では飲食と温浴に加えて、欧米で人気の高いコンテンツとして「殺陣道場」という体験施設も併設するなど、幅広い海外のお客様をお迎えするために万端の準備を整えています。
ソフト面に関しても、おかげさまでSNSで映えるインバウンド向けの料理に対する注目が日に日に高まってきています。
現在はこうした豊洲 千客万来ならではの料理の数々を主に国内の方が召し上がり、国内での話題として発信してくださっていますが、今後は海外の方に味わっていただき海外に向けて広く発信してくださるケースがさらに加速することでしょう。
観光市場全体を見ても、中国の団体客を除く訪日観光客の数がすでに以前と同レベルにまで回復してきていますから、今後のインバウンドのますますの拡大には大きな期待を寄せています。
和の雰囲気たっぷりの「豊洲場外 江戸前市場」は、今日も多くのお客様でにぎわっていますね
飲食棟「豊洲場外 江戸前市場」へのテナント選定に関しては、計画当初から大きく3つのポイントを重視していました。
一つが豊洲市場の新設によって影響を受けた築地のお店を出店すること、そして豊洲仲卸が直接運営するテナントに出店いただくこと、そしてこの地域に根付いた地元商店街のお店の出店です。
また江戸前市場内のゾーニングにもそれぞれテーマを設け、基本的にゆりかもめ直結のデッキから入場できる2階の「豊洲目抜き大通り」「目利き横丁」はワクワク感があふれる演出を施すことで多くの観光客が集う豊洲の一大観光スポットをめざしています。
また道路を歩く方が立ち寄りやすい1階フロアは地域のサラリーマンなどが気軽に食事に立ち寄れるゾーンとして、地元客に日常的にご利用いただけるエリアとして想定。観光振興と地域貢献という2つの目的を明確に体現した施設となっているのが大きな特徴です。
また出店されているテナントについても、全国に知られている大規模チェーンのお店ではなく、小規模でも個性的な商品や演出を行うお店を集めることによって、日本の下町の風情が感じられたり、思わず心が浮き立つようなお祭り感を楽しんでいただけるよう心がけています。
万葉倶楽部には、ウォーターフロントの絶景に加えて入浴や足湯、宴会や宿泊などの多彩な魅力が揃っています
温浴棟「東京豊洲 万葉倶楽部」についても、ここまでの入り込みはまずまず満足のいく結果となっています。
万葉倶楽部は、基本的には湯河原温泉を使用しているのですが、都内のお客様に対しては「湯河原」以上に「箱根」の高い知名度とブランド力が影響力を持つことから、豊洲では湯河原に加えて一部に箱根の温泉も導入して「箱根・湯河原温泉」を掲げたこともその一因と言えるでしょう。
全国の他店舗も同様ですが、万葉倶楽部という施設は出店している各地域のお客様やリピーターの方を大切にするという運営方針を持っています。
当施設も同様に、豊洲近隣の企業務めの方や地元のお客様を大切にしながら、入浴にとどまらず宿泊や団体での宴会利用なども含めてもっともっと気軽にご愛用いただけるように、今後は地域への働きかけを本格化させていく予定です。
現在、温浴棟屋上の足湯庭園を夜10時まで無料開放してご好評を頂いていますが、豊洲の高層からこの足湯につかりながら眺めるウォーターフロントの夜景はまさに圧倒的です。
万葉倶楽部の露天風呂も含め、多くのお客様からも「これだけ雄大なスケールの眺望を持つ温泉は初めて利用した」という声をしばしばお聞きしています。
レインボーブリッジや東京湾を一望できるウォーターフロントの絶景は、まさに豊洲ならではの最大の財産の一つ。今後はこれをさらに大きな武器として活かせるよう、イベント企画なども含めて総括的に取り組んでいきたいと考えています。
豊洲エリアのさらなる発展と、今後の豊洲 千客万来についての展望をお聞かせください
先にもふれましたが、オープンからの2ヶ月は運営側としても想定以上の成功となりましたが、その反面で、日々多くのお客様に対応するのが精一杯だったという反省もありますので、今後は季節や時期に応じた各種イベントの積極的な実施など、お客様それぞれの志向に合わせたきめ細かな展開を充実させていきたいと考えています。
豊洲には今後地下鉄の延伸や、、屋形船の発着所の開設などにぎわい作りを目的とした数々の環境整備策も予定されています。
豊洲市場の一部でもある豊洲 千客万来としても、こうした活発な動きを背景として、観光による集客と、地元を大切にした広域連携による振興、その2点を主眼とした活動に力を入れていきたいと思います。
これまでの豊洲は、市場を中心としたいわば「プロの街」でしたが、もっともっと幅広い人々に親しまれる街にしたいというのが、地域の方々のかねてからの要望でした。
私たちの施設の存在、そして豊洲エリアの活性化が、未来に向けた継続性・成長性のある事業として機能することが、東京都や江東区、そして地元の皆さんの意向です。
このオープンによる新たなにぎわいの創出を機に、ぜひ豊洲が多種多様な機能を持った「交流と発見の街」へと発展していくために、私たちも今さらなる使命感を感じているところです。
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