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ワインと食を楽しむ新レストランをオープン!「信州」ローカルガストロノミーによる新たな顧客層の開拓に挑戦

約1200年も前から栄えてきた信州の名湯、鹿教湯温泉。

東京や名古屋から約2時間30分、大阪からも約4時間というアクセスを有し、長野県のちょうど真ん中に位置するこの温泉郷は、豊穣の大自然の醍醐味とともに、高血圧や動脈硬化、リューマチ、神経痛、疲労回復など身体能力の回復や向上に高い効能を持つ天然温泉を楽しむことができる「湯治場」として、数多くの旅人を癒やし続けてきました。

そんな歴史を持つ鹿教湯温泉の老舗宿として高い人気を持つ斎藤ホテルでは、昨年11月に「信州」のローカルガストロノミーをテーマとした新たなレストラン棟「Restraunt 渓(ケイ)」をオープンさせました。



1.連泊客・リピート客に加えて、新たな客層の開拓をめざしたプロジェクト

斎藤ホテルは今から420年前の1602年に開業した、由緒ある歴史と伝統を誇る老舗です。

信州の大自然に囲まれた静かな里山に佇むその素晴らしい環境を背景に、館内のフィットネス施設やプールを利用した健康づくりプログラムなどを通じて、古くからの湯治の伝統を引き継いだ「現代湯治」による長期滞在スタイルを提案。そのコンセプトに基づいて連泊客とリピーターの獲得に早くから力を入れ、現在もこうしたお得意様の比率の高さを誇っていることで知られています。

またお食事に関しても「ウェルネス」に対する高い意識を反映し、身体に良い食事と自然の中でのリラクゼーションの相乗効果により、旅を通じた総合的な健康づくりをお手伝いしています。

そんな斎藤ホテルはその一方で、鹿教湯温泉の中心エリアに位置することから、「エリアの活性化」を宿の隆盛のための必須の課題として捉え、将来的な経営においての特に重要なミッションとして位置づけています。

今回のレストラン棟「Restraunt 渓」の新設は、この考えに基づき、地域の新たな魅力を再発信することによって「食」に関心の高い新たな顧客を開拓することが主な狙い。より高品質なサービスの開発によって、高付加価値・高単価を実現し、宿の高収益化の道筋をつけることを目指したプロジェクトとなっています。


2.テーマは「信州」、ここでしか出逢えない貴重な地元食材の魅力を発信

先にもふれたように斎藤ホテルでは一般の旅館ホテルと比して特にリピーター率が高く、このお得意様の存在が安定した宿の運営を支えてきました。

しかしこうしたリピーターも徐々に高齢が進んできたことから、新たな顧客層の開拓による将来的なマーケットの確保が、宿の未来を左右する大きな課題としてクローズアップされてきていました。

そこで斎藤ホテルが注目したのが、信州の「食」です。

「食」を通して、豊かな信州の自然と人、土地の産物とつながる実感を旅人に体感してもらうことで、斎藤ホテルならではの新たな魅力を発信することを目指した今回の「Restraunt 渓」の新設プロジェクトは、このコンセプトを具現化させるために、第一回の事業再構築補助金を活用して進められたものです。

「信州の魅力を最大限に活かす」というテーマに沿ったレストランは、信州産のカラマツの集成材ブランド「信州唐松丸」などの建築材や、地元伝統工芸の「上田紬」などがふんだんに使われ、信州の息吹とその魅力を存分に感じ取れる上質な空間となっています。

そしてこの空間を舞台として提供されるお食事は、信州の豊穣で多彩な食文化の数々と長野ワインをマリアージュしたフレンチ。地元長野名物の「佐久鯉」や「信州大王イワナ」「市田柿」の他、当地以外ではあまり流通していない伝統野菜や畜産物、発酵食品などを積極的に取り入れて、これまでに出逢ったことのないような現代風のフランス料理に仕上げています。

これに合わせるのは、今世界的に注目度が高まっている「長野ワイン」。鹿教湯温泉のあるエリアは、ブドウ栽培とワイン醸造を次世代産業の中核として位置づける長野県が推進している「信州ワインバレー構想」の一角をなす「千曲川ワインバレー」として、規模の大小を問わず多くのワイナリーが集い、個性的な味わいのワイン作りが盛んな地域です。

レストランのワインセラーには多彩な個性と味わいのバリエーションを誇る長野県産ワインが豊富に取り揃えられ、お客様が気軽にご自分のお好みに合わせてワインをチョイスできるようになっています。

また食事提供の新たなトピックとして、その日に収穫した野菜をその日のうちに採れたてのまま提供する、鮮度たっぷりの贅沢な「ジャストインタイム」を重視。農家や水産業者、畜産業者など、地域の生産者との幅広い連携によって、地域ぐるみで信州の食の魅力を提供できる食のネットワークをも構築しました。


3.昨秋11月グランドオープン後の、お客様からの反響は

オープン後の状況やお客様からの反響について、斎藤社長にお話をお聞きしたところ、リピート客の皆様からの反響の高さは社長の想像以上のものだったとのこと。

オープンに際してお得意様には事前にご案内をしているそうですが、連泊でご利用の方のほとんどが、滞在中のお食事で少なくとも一度は「Restraunt 渓」を体験されているとのこと。(夕食は「Restraunt 渓」の他、ビュッフェダイニングも選択可能)

コロナからの順調な回復基調を受けて、ハイシーズンに向かって今後の旅需要もさらに高まることを考えると、さらに多くの方々がご利用になることは間違いないでしょう。

プロジェクトではすでに好評を得ている既存顧客層にプラスして、少し若めのマーケットや地元のお客様の開拓・拡大を主眼としていましたが、斎藤社長がそのためのカギとして見ているのが「このレストランをフックに、どのような旅行商品をパッケージングできるか」という点です。

特にOTA経由での予約獲得や、若者世代に向けたSNSによる販促展開については、まだまだこれからが本番。自信を持って紹介できるこのレストランをどのように宿泊に結びつけ、魅力あるパッケージングで展開できるかについて、まさに検討の真っ最中だということです。

また地域の振興が鹿教湯温泉の活性化にとって不可欠だと考える斎藤ホテルでは、地元対策の強化も大きな課題のひとつ。これまでのところ、地元の方々のご利用は口コミや紹介などによるものがメインとなっていることから、新規地元客のご利用チャンスをさらに拡大すべく、認知の向上に向けた地元への告知にはこれまで以上に力を入れていく計画となっているそうです。

ただ斎藤社長によると、お客様の反響が想像以上のものだった一方で、コロナの影響による人手不足の問題も浮き彫りになってきているのが実情だとのこと。増加するお客様につねに高品質のサービスを提供できるよう、今後は受け入れ体制のさらなる強化を大きな課題の一つとして捉え、販売の拡大とサービス環境の拡充・整備を、両輪体制で進めていきたいと考えています。

「当館を支えてくださっているリピーターの皆様から高い支持をいただけているのは本当にありがたいことです。自信を持ってサービスをお届けできる施設が整いましたが、新しい施設の完成はあくまでもスタートライン。今後はそのストロングポイントをさらに拡大していけるように、地元の方々とより密接に連携しながら、さらに魅力のあるソフトを開発し、『斎藤ホテルでしかご提供できない商品企画』を多くの皆様にお届けしたいと願っています」

▶斎藤ホテル 公式サイト
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※2023/04/26公開の記事を転載しています


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