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パラドックス切り。|観光マーケティングプランナーのちょっと視点を変えた連載コラム018

ビール業界がタイヘンである。新型コロナによる「家飲み」需要の広がりはともかく、飲食店向けの業務販売量が激減したからだ。

それでもビール大手4社の増加率は微数ながら増えている。それだけ、家飲みの需要が増えているのが数値から見て取れる。

その需要拡大のために、今TVCMではビッグタレントが軒並みに「ウマイネー!!」「コレ!ウマッ!!」を連発して、まるで「ウマイネ大運動会」の様相を博しているのが現状である。

これからビッグセールの夏を迎えれば、そのうちハリウッドタレントまで登場してきてもおかしくない。

おそらく、広告会社各社いろんなデータを基にあの手この手と新しい市場占有の施策を提案するんだろうけど、肝心のメーカー側は「次は、どのタレントにする?」というオハナシにしかならない。

加えてCM制作側も、それで決まるのなら…と、早道となるタレント争奪合戦に注力するのは仕方がないのかも知れない。 

でも、ホントにそれでいいのか?と考えると、イヤイヤソウジャナイデショウ!と言いたくなる。このままでは、広告が消費者に舐められて終わってしまう。

市場に迎合するのであれば、広告の存在価値は無くなってしまう。まあ、それが広告の進化のカタチと言ってしまえばこのオハナシは終わるのだが…。

筆者は広告は「ちょっと先のトレンドを、上手に伝える道標」であると考えている。その「ちょっと先」が正しいスタイルなら、そこに新しい市場や消費スタイルが生まれ、市場そのものが「進化」する。ダメならいつのまにやら消えてゆく。

この、イケル×ダメのフルイに入れる素材を継続的に提供するのが広告の役割だった。

ところが、今のビール市場の広告は金太郎飴になっている。どこも同じようなテイストなら、お店で1円でも安いのを買えばよいと思ってしまう。

こうなると、悪いパラレルワールドに入ってゆくのを止めようがなくなり、デフレ化にまで影響を与えるかもしれない。

さらに、今の消費者の情報環境を無視しているのも気になる。10年前と今とでは、イチ消費者が日常享受する情報量は数百倍になっている。

情報のデバイスも流れ方もまったく異なる。それなのに、ビールCMのトーン&マナーが数十年変化していない。

いやいやWEBでは連動してこんな展開も…と送り側は語るやもしれないが、それが感知できない限り、サヤに収めた逆刃刀でしかない。

観光業界で例を語れば、「大河ドラマ」である。大河ドラマが放映された年や翌年は確かに旅行客がワンサカ訪れる。

しかし、翌々年になるとピークの50%に減り、その次の年には20%に落込む…そして「また大河ドラマやらないかなあ。」と何十年も待ち続けることになる。

仮に来たとしても、そのころには国内の生産人口は半分になっている。いずれにしてもビッグウェーブはもう来ない。

本来であれば、売上げピークの時にダウンの状況を予測して、有り余る売上を原資にしてリピーター化につなげる施策をしっかりと打つべきなのだが、一人でも多く!と考える「イマガヨケレバ・フィルター」の働きによって、そんな考えは後回しにされてしまうのが常。

人波が去った&誘客投資もできない状況では、何を考えても「あとの祭り」にしかならない。

人間は、環境が整っている時には、危機感を後回しにしてしまう弱い生き物である。その弱点をよーく認識しておくことが大切だ。

四季が極端な国に住む日本人は、本来危機に対する対応力は優れている…と、私などは勝手に思っているのだが。

旅行が「個人化」しているなら、イチ個人の視点でご自分の街をもう一度見なおしてみよう。「こんな素晴らしい処に住みたいなあ!」と、まで思わせる街の姿はどんなだろう?と。

コロナ禍で、旅館・ホテルは現状休業やむなしの状況。こういうときにこそ、隣近所・街全体が協力して、本来の誘客のカタチを語り合いながら、素敵な「街の姿」を創り上げてゆくときなのだと思う。

幸い、様々な街おこしに対する国の補助金も下りてきている。それを上手に活用するのもおおいにありだと思う。

その時は、街を客観視できる「他人の目」も大いに必要でしょう。常に、「一年先&十年先」を夢みながら。

※2021/05/31公開の記事を転載しています


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