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2023年リョケン経営指針 『ゼロベース発想 今できることを探せ!』

株式会社リョケン 代表取締役社長 佐野洋一

2023年は旅館ホテルにとって「仕切り直し再開」の年。
意識を過去の常識から解き放ち、ゼロからの発想で新たな時代に立ち向かいましょう!


Q.コロナからの本格的な回復に向けて、観光業界は今年どんなことに取り組んでいけばいいのでしょう?

現時点でコロナの影響がまだ完全に収まったとは言えませんが、全国旅行支援が始まった9月頃から観光業界における景気はひとまず一定の回復を見せ始めています。今年もそれなりの揺り戻しは想定されるものの、世界の情勢などから見て、今後は次第に平常に戻っていくと思われます。

そこであらためて、今起きていることを俯瞰し、景気回復過程におけるポイントを整理してみます。

個人旅行需要の回復を追いかけるかたちで、今年は団体旅行も徐々に復活してくると予想されます。ただ団体旅行そのものが従前から顕著に減少しており、その需要はそれなりに復活するもののコロナ禍以前を上回ることはないでしょう。またビジネスユースについても、リモート会議などの一般化によって出張市場が縮小しており、この傾向は今後も続くと予想されます。

その一方でインバウンド需要は、訪日ニーズの高まりを円安がさらに後押ししているため、入国制限の緩和・撤廃後は堰を切ったように訪日外国人が押し寄せることが予想されます。政府でも円安を活かした観光立国の復活を掲げ、訪日プロモーションを含む観光活性化策を政策方針の中に位置付けていますので、今後に大いに期待できると言えるでしょう。

コロナ禍によって集客の拡大、観光の国際化への取り組みなど市場拡大のさまざまな施策が一時中断してしまった観光業界にとって、今度こそ「仕切り直しの再開」の時期。低下した財務力の回復や人手不足、建築コストの上昇など悩ましい課題を抱える中で、コロナ以前の集客を回復しつつ、高付加価値・高収益化を実現し、経営の再建と安定化を図る必要があります。

Q.2023年の経営指針として、リョケンが掲げるテーマは?

リョケンが2023年の経営指針として掲げているのは、『ゼロベース発想 今できることを探せ!』です。

「ゼロベース発想」とは、ひと言で言うなら、いろんなことをもう一度「捉え直す」ことです。「これはこういうものだ」という思い込みを取り払い、意識のしがらみから脱却することであり、決して既存のものを捨て去ることでも、ましてや開き直ることでもありません。

過去に固執することなく既存の枠を取り払ってもう一度「捉え直す」ためには、現状の認識をいったんゼロに戻し、そこから新しいこと、変革へのさまざまな可能性を改めて考えることが必要です。

私たちが提言するこのゼロベース発想は、「全体を俯瞰して見る」「根元のところから変える「仮説」を立てる」「ポジティブに考える」という3つの姿勢を含んでいます。またその対象は「目指すもの」、「現状認識」、そしてそのために「構築していく(変えていく)もの」です。中でも特に重要なのは、「目指すもの」を起点として考えを進めていくという点です。

戦略を立案する際は現状認識からスタートするのが一般的ですが、まず最初に目指すべきゴールを想定し、そこからさかのぼって現状を捉え直し、具体的に構築していくものを考えるというフローが、ここで提言するゼロベース発想の特徴的なアプローチとなっています。

【ゼロベース発想のアプローチ】

1)目指すもの:理念(存在意義、理想)、提供価値、ミッション
2)現状認識:ポジショニング、リソース(強み)と機会、市場可能性、財務基盤、顧客基盤など
3)構築していくもの:対マーケット戦略、商品、事業モデル、組織、マインド、運営など

出典:株式会社リョケン

Q.このゼロベース発想に基づいて、宿の運営そのものを構築しなおすわけですね?

はい。コロナ禍の2年半を経て、もはや小手先だけの「やりくり」には限界が来ていることを皆さんも実感されているでのはないかと思います。そんな今必要とされるのが、骨太の方針に基づいた組み立てです。

今ある課題の解決にすぐに着手せず、根本から考え直すこのゼロベース発想は、一見すると「回り道」のように思われるかもしれません。しかし今は、それを行うべき価値のある時期です。

6つのステップを踏まえて、ぜひゼロベース発想からの組み立てを進めていただければと思います。

【ゼロベース発想の6つのステップ】

①突き詰めて意味・意義を考える
「旅行とは?」「旅館とは?」「企業とは?」など、かなり哲学的な「問い」を自らに投げかけて、「そもそも論」から軸を作っていきます。

②いったん、とことん分解してみる
今あるいろんなことをもう一度「捉え直す」ためには、現在の状態をいったん分解してみることが有効です。当たり前のように提供している料金体系やサービスフローなどは固定観念になってしまっていませんか。こうしたモノ・コトを一度分解することによって、それまで気づかなかった不具合や不都合が高い確率で見つかります。

③コンセプトを織り込む
いったん分解したところで、それを再度組み立て直す前に行うべきことがあります。それは、そこに方針となるコンセプトを織り込むことです。

④まずは「らしさ」固めから
コンセプトの方向性が定まっても、理想の姿と現状の間にはギャップがあります。しかしそのギャップこそが、ゼロベース発想で変えていくべき要素です。
ギャップは、「方向性」(当館らしさ)と「クオリティ」(完成度)の2つに大別されます。これを同時にクリアするのは困難ですので、まずは「らしさ」を固めることから始めましょう。

⑤いくつかの要素を関連付けながら組み立てる
組み立てのステップでは、対象となる要素だけに注目するのではなく、周辺のいくつかの要素も広く見渡して、それらを関連付けながら考えることがポイントです。自館のさまざまな課題を関連付けた時にどんな組み立て方が可能かを、ぜひ思い描いてみてください。

⑥ビジネスモデルとしてどうかを検証する
ゼロベース発想をここまで進めたら、それがビジネスモデルとして存立しているかという視点でチェックします。「ビジネスモデル・キャンバス」「経営デザインシート」などのフレームワークを活用して、そこに見落としがないか、価値の提供にしっかりと結びついているかを検証しましょう。

【ビジネスモデル・キャンバス】

出典:株式会社SCENTBOXサイトの掲載図をもとに加筆作成

【経営デザインシート】

出典:内閣府知的財産戦略推進事務局

Q.ゼロベース発想を進める上で、特に意識すべきことは何でしょうか?

ゼロベース発想で経営を考えていく前提として、2020年以降の3年間にリョケンが提唱してきたキーワードである「高収益経営」「世界ブランド発想」「未来構築」という3つの視点をぜひその中に織り込んでいただきたいと思います。

これらを強く意識しながら、すべてのプロセスに「ゆとり」を持たせた経営を行うこと。そしてその思考と実践を新たな習慣として定着させることが、サクセスへの道となるはずです。


Q.この発想と取り組みによって得られるメリットは、どのようなものがありますか?

目指すところが変われば、当然ながら現状の捉え方に対するフレームが変わってきます。またそれによって様々な活動における価値の置きどころが変わり、攻め方が変わり、マインド形成までもが変わっていきます。

逆に言えば、ゼロベース発想をしない限り、人は従来の枠に囚われたモノの見方から脱することが難しいのです。

2023年のように激変する社会と消費動向の中で、その変化に柔軟に対処していくには、この「意識の枠」が大きな妨げになってしまいます。ゼロベース発想は、その枠を取り払うための取り組みであり、その点にこそ大きな意義があるのです。

参考:令和5年 旅館の経営指針 「 ゼロベース発想 今できることを探せ! 」
さらに詳しい各論については経営指針をご一読ください。

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※2023/01/05公開の記事を転載しています


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