【連載】旅館の経営に対する10の問い-第6回
昨今、多くの旅館で人手不足が深刻な問題になっていますが、そればかりではなく、旅館によっては業績の低迷や施設の劣化による慢性的な苦情、資金繰りなど、さまざまな問題を「同時多発的」に抱えているところも少なくありません。
それらの問題の解決策は一つ一つに向き合うことが基本ですが、旅館経営においては問題の根っこが相互に絡み合っている場合が多く、一筋縄ではいきません。しかし、根っこが絡み合っているということは一つの問題に取り組むことで、他の問題にも良い効果を及ぼすことがあります。
ここでは、旅館経営それぞれの問題を解決するヒントを紹介します。思い当たる問題に対して、それを手掛かりに問題の打開を図りましょう。
【その6】
現場業務の改革-コストの削減は現場の把握から
今この業界では、生産性の向上が叫ばれています。労働集約型産業である旅館業にとって、現場の生産性はコスト構造を左右する要です。現場の働き方、仕事のやり方は経営レベルのテーマとして、経営者が陣頭に立って取り組むべき課題なのです。
後継者の目線で現場を見てみましょう
多くの旅館で経営の世代交代が進んできました。創業者や旅館を一定の規模に育て上げた経営者から旅館経営を引き継いでも、現場の業務は節目をつくることなく昔からのやり方が受け継がれていきます。これは自然なことであってよいのですが、問題は、特段指揮を執らなくても現場は回っているので、現場に関与しない、現場の実態をあまり知らないという後継者が多く見られます。具体的な業務改善の考え方や手法については、現場のことを知らなければ何も始まりません。
生産性を向上させるカギとは
現場を見る際は、改革するという目的意識と、問題を発見しようとする意識をもって臨むことが大切です。疑問に感じたことや問題がある場合はその場でメモをとり、それを元に現場責任者と話し合いましょう。生産性を向上させるには、「業務のやり方」と「人員の割り付け」、「やる時間帯」にあります。いつ、どの場所で、どんな業務をしているのかをあらかじめ整理してから見ると効果的です。
まとめ
現場業務の改革は、現場任せにせず積極的に現場を見ていきましょう。その気で取り組めば、多くの旅館で2割や3割のスリム化をすぐに実現できる余地があるはずです。
(株式会社リョケン 代表取締役社長 佐野洋一)
※2019/11/25公開の記事を転載しています
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