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2名様以下/51%|観光マーケティングプランナーのちょっと視点を変えた連載コラム005

まず冒頭に、新型コロナウイルスによる観光・旅館ホテル業界の皆様には、お見舞いと激励の意をあらわしたい。できるだけ早く、この状況が終結することを祈ります。さらに、この体験を教訓に、また来るかもしれない困難に対しての耐性を、新たなスキルとして残すことも忘れないようにしたいと考えます。

さて、表題の「2名様以下/51%」という数値です。2019年7月に発表された2018年度・宿泊旅行調査(じゃらん)の中の「宿泊旅行の同行者」調査頁の数値です。2名以下の計の内訳は、●一人旅/18% ●恋人と/7.8% ●夫婦二人/25.2%の小計となる。調査開始2004年から昨年度初めて過半数を越し、個人化を代表する2名以下の同行者の割合はご存じのようにさらに伸び続けている。
※この数値に出張・帰省・修旅は含まれていない。純粋な個人旅行者の割合である。

地域によって事情は様々ではあると思うが、確実に個人のお客様の利用は増えている。今回のウイルス騒動のさ中にも、様々な旅館・ホテルの方々が「団体は全て解けたが、個人客は逆に強い」とか、「今後、個人客の割合が大きく逆転する」などという実感のあるお話を承った。これまで、ややのんびりとした雰囲気だった個人化の上昇率が、このコロナ騒動で一挙に早まり、角度を増したと考えるのは、私だけだろうか?

「個人のお客様を、いかにして摑まえるか?」こうしたお題には、必ずそれなりのデータがある。旅行関係各社が行っている「旅マエ・旅ナカの情報行動」(国内旅行)から読み取ると、①情報の入手先は?の問いに、ほぼ何れも、1位/WEBサイト 2位/ガイドブックとなる。旅マエ&旅ナカともこの順位は変わらず。

次に、②入手した情報で役立ったものは?では、1位「観光地・観光スポット」、2位「食事場所」となる、逆に「宿泊施設の情報」は5位と、観光スポットの約半分程度のランクである。

さらに、③あなたが大事にしている旅のこだわりは?では圧倒的1位が「地産地消の現地グルメ情報」となっている。

個人化のデータを逆読み/その①
御社のWEBサイトに、上の個人旅行者の必要な情報がどれだけ提供されているだろうか?「観光スポット」の情報は、協会や行政の発信するようなおさだまりスタイルではないでしょうか?さらに、「郷土グルメ」は、当館の料理は云々・・・で終えていないだろうか?そもそも、欲しい情報のないサイトなど「一度観れば十分、あとは予約したい時に開けばイイ」と後回しされるのが殆どかと。

個人化のデータを逆読み/その②
個人のお客様にとって「宿泊施設情報」はあまり重要ではないにもかかわらず、自社のWEBサイトを見直すと「おもてなし」「温泉」「お部屋」「施設」「お料理」「アクセス」「企画一覧」等「お手前情報」がほぼ9割。はたしてこれから自分で旅を組み立てるお客様にとってこれらのコンテンツが、魅力あるサイトとして映るものでしょうか?

広報アプローチの基本は「Why to me?」なぜ私にそれを告げるのか?である。自社のWEBサイトのラインナップが、その「なぜ」に合っているのか?を、改めて見直す分岐点が、今訪れているではないでしょうか。

新型コロナ騒動によって、対面のセールスは閉ざされた現状のなか、WEB戦略は非常に大きい役割を持ち始めています。自社のHPを含めて、まったく別の観点からみたWEB戦略が望まれています。限られた紙面の関係上、 このつづきは、またの機会にお話できれば。

もういちど、「Why to me?」


※2020/04/28公開の記事を転載しています


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