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写真一枚で予約件数が変わる? 貴館の魅力をさらに引き出す、プロの写真撮影テクニックをご紹介。

サイトを見る際に、圧倒的な迫力を持つ景観の素晴らしさや、温かく美味しそうな料理、美しく広々としたお部屋などの写真によって心を動かされた経験があるのではないでしょうか。

写真は文章の約10倍の情報量を持ち、さらに人の脳は文字よりも画像を好むと言われていますから、いたずらに長々とした説明を費やすよりも、クオリティの高い写真一点を使用する方がより人の心に伝わり、感情を揺り動かしやすいと言えるでしょう。まさに「百聞は一見に如かず」というわけです。

実際に宿のサイトを見る際に、半数以上の方が「写真」を「価格」や「口コミ」と並ぶ重要なポイントとして挙げています。宿の印象を向上させることはもちろん予約の獲得数にも大きな影響を与える写真の意味は、もっともっと重視されるべきではないでしょうか。

さてそんな「心を動かす写真」を撮るにはどうしたらいいのでしょう。ご自身やスタッフが美しい写真を撮影できれば良いのですが、さすがにプロカメラマンとの差は歴然としています。そこで宿の魅力を表現する専門家として、プロが駆使している最新のデジタル撮影技術や撮影テクニックなどをいくつかご紹介しましょう。


「HDR撮影」で、空間を自然により美しく見せる。

旅館・ホテルの部屋やレストラン、ロビーなど、窓外の景観が売りになっている施設ではHDRというの撮影技法が使われます。写真は狙った箇所を美しく撮影するために露出を合わせますので、屋内である部屋の露出に合わせると、明るい窓の外の景色は露出オーバーとなって真っ白に飛んでしまいます。

これを防ぐために同じ撮影位置から3段階〜5段階の異なる露出で数枚の写真を撮り、撮影後にその画像をデジタル合成するのがHDR撮影と呼ばれるものです。従来のフィルムカメラによる撮影では、屋内と屋外を一枚の写真として表現するために、部屋の窓に屋外の写真をハメコミ合成するという手段が多く使われていましたが、これですとどうしても「貼り付けた」という違和感がある写真に仕上がってしまいます。

しかし現在のデジタル技術では、露出の異なる各種の画像データを画像処理ソフトがHDR結合によって処理することができるため、人の目で見てもまったく違和感がない1枚の画像データを生成することができるようになりました。

例えば一面の窓の外に大海原が広がるメインロビー、窓から富士山の絶景が望めるお部屋など、立地や景観を売りにしている宿にとっては必須の撮影技術だと言えるのではないでしょうか。

撮影場所:龍宮城スパホテル三日月様 富士見亭内「スペシャルラウンジ海ほたる」


「美味しそう…」。思わずそう感じさせる料理の撮り方とは。

例えば陶板焼きや鍋料理などの料理撮影では実際に火の灯りを写すことによって、「温かさ」や「できたて感」を訴求することができるため、料理のグレードがワンランク上がって見えます。さらにここに「湯気」を合成すれば、シズル感もより一層アップ。思わず「食べてみない」と思わせる写真の出来上がりです。

撮影にあたってはまずは料理そのものを撮影し、同じアングルで真っ暗な状態の火だけを長時間露光によって撮影しておきます。これを合成して一枚の写真に仕上げるわけです。合成時のポイントは火の大きさ。撮影した画像をそのまま重ね合わせても固形燃料が透けて見えてしまうと興ざめです。プロは画像を合成する際に固形燃料の部分を黒く塗りつぶしておき、料理画像に「火の印象」だけを加えることでクオリティの高い写真を生み出しています。

【合成前】
【合成後】

さらに湯気は、現場で再現しながら料理と同時に撮影するのはより困難です。背景が明るいと薄い湯気は見えませんし、夏場の撮影の場合はエアコンの温度をかなり下げて冷えきった空間を作り上げないと湯気そのものが出てきません。あれこれと工夫してようやく湯気が出せたと思ったら、刺身がダレたり野菜がしんなりしてしまった。これでは本末転倒です。

こうした自体を避けるため、プロは予め黒バックの撮影スタジオで自然な湯気を撮影しておき、この湯気の画像を料理写真に合成することで自然なシズル感を表現しています。

撮影場所:ホテル鴎外荘様


時間の流れを表現しながら見飽きない美しさを。タイムラプス撮影。

旅館・ホテルではお部屋やレストランからの眺めなども魅力の一つ。さらにそこに「時間の流れ」を表現できれば、貴館のセールスポイントである、ゆったり感や上質なくつろぎをアピールするのにもぴったりです。タイムラプス撮影は、特に空の雲の流れや夕景、夜景の見え方などを効果的に見せることのできる手法です。

具体的な撮影方法は、定点から300枚〜900枚の写真を5〜10秒ほどの間隔で撮り続け、この大量の写真を繋げることでコマ落としのようなムービーに仕上げます。以前はタイムラプスは動画のカテゴリーとして扱われ、動画編集プロダクションなどに依頼しなければ作成することができませんでしたが、現在ではプロ写真家のほとんどが使用している「PhotoShop」という画像ソフトがタイムラプス用の合成ツールを導入したことで、撮影したスチールカメラマン自身がタイムラプス映像を制作することができるようになりました。

タイムラプスは定点撮影でももちろん十分面白いですが、カメラを手ぶれなく自然に動かせるジンバル(スタビライザー)や、三脚の上でカメラを滑らせることのできるスライダーなどを併用してカメラを移動させながら撮影すれば、まるで映画のようなよりダイナミックな撮影を行うことも可能です。

動画はこちらから

幻想的な仕上がりになるタイムラプスは定点観測のイメージが強いのですが、ジンバルのパン機能を加えると観光地の訴求力をお支えできるかもしれません。

▶▶【撮影テクニック】ジンバルのパン機能でタイムラプス撮影するといつもの景色も幻想的に!

【夜景バージョン】

【朝焼バージョン】


貴館の狙いを表現するなら、旅館・ホテルを熟知したカメラマンがおすすめ。

プロならではの撮影テクニックをいくつかご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。従来は大規模な機材とスタッフを必要としていたレベルの写真が、カメラや機材、コンピュータソフトの進化によってカメラマンひとりでも撮影・合成できるようになってきています。

ただし注意したいのがカメラマンそれぞれの得意分野。カメラマンとひと口に言っても人物撮影に特化したカメラマンや、不動産・建築物を得意とするカメラマン、スタジオでの記念撮影を専門とするカメラマンなど、その得意分野はさまざまです。

意外なことですが例えば旅館・ホテルで必須の料理撮影は、カメラマンの世界においてはどちらかと言えばマイナーな分野。料理を美味しそうに撮るには料理の種類に応じた配置や演出、ライティングなど多岐にわたる専門ノウハウを必要としますので、知り合いのカメラマンに「料理を撮って」と頼んでも、思い通りのクオリティが再現できるかどうかは悩ましいところです。

特に貴館にとってのキモとなるような重要なキラー画像の撮影は、旅館・ホテルという業種を知りつくしたカメラマンに依頼するのがもっとも安心です。

※2020/03/09公開の記事を転載しています


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