見出し画像

台湾在住の日本人PRプランナーに聞く~台湾インバウンドの今と狙い目~

すでに始まりつつあるインバウンドの本格的な受け入れに際して、近隣アジアの中でも特に親日国であり、また個人旅行客の割合とリピーター率が高い台湾に着目し、日本の地域PRに強い株式会社ppc様と現地法人のPR会社であるANSMiNg様にコロナ復活後の訪日ニーズや日本旅行を取り巻く状況などについてお話を伺いました。

★この記事のポイント★
まだ見たことのない日本に出逢いたいという台湾の方のニーズに対して、単館でできる対策は現地語を話せるスタッフの配備に加え、繁体字対応のWEBサイトやSNSなどの整備がポイントに。



1.台湾の方の訪日ニーズは、現在どのような状況となっていますか?

台湾人は訪日リピーターも多く、1年に1,2度日本を訪れるのは普通。中には5,6回訪れる人もいるほどで、そんな方々が東京や大阪でショッピングをしたい、河口湖や富士山が見たいなどの気持ちを秘めて、この3年間ずっとウズウズしながら今か今かと再開時期を待っていました。

そんな状況ですので訪日ニーズに関してはコロナ前後での変化はあまりありません。コロナ禍中は人混みを避けたり、屋外で過ごすなどのライフスタイルが一般化しましたが、3回のワクチン接種が終わって以降はコロナそのものへの危機感もかなり薄れてきています。

日本への渡航が再開されるとすぐにチケットを取っている台湾人もかなりの数に上っていますので、今後特に有名な観光地にはかなりの数の台湾人が訪れるのではないでしょうか。

現在台湾から日本へは、新千歳・成田・羽田・福岡・沖縄・関西と6つの空港に向けた直行便が運行されており、そこを拠点にした旅行が高い人気を集めています。

さらに新潟への直行便が就航するという情報などもあり、今後チャーター便などを含めて空の便がますます拡充され、台湾からの訪日客の数もより増大すると思います。

唯一課題となっているのが、宿が取りにくいことです。日本での全国旅行支援の影響を受けて、台湾では特に価格の安い宿の予約が取れないという状況が発生しています。

旅行会社でも安いツアーが組めないことから、1泊7~8万のハイグレードな宿のツアーを組んだのですが、これさえもすぐに売り切れたとのこと。3年間旅行に行けなかった分、価格が高くてもどうしても日本に行きたいというニーズはむしろ高まっていると言えるのではないでしょうか。

2.台湾人の訪日旅行に関して、何か以前と変わったことはありますか

コロナ以前と現在では、非接触スタイルが一般化したことによって、日本の電子マネー化が大きく進んだことが挙げられます。台湾でもSuicaやPASMOなどの交通系カードを持っている方は多いですが、これまで以上に多くのお店で使えるようになったことで旅行者へのメリットも拡大しています。

実際に台湾の方々からもより便利になったという声をよくお聞きしますし、日本に行ったらまずはカードを作りたいとデジタルマネーの効率の良さや利便性に注目している人も高い比率に上ります。

また今の円安も台湾の方にとっては追い風で、2010年には100元(台湾ドル)が日本円で300円だったものが、現在は450円ほどになっています。日本で使えるお金が増えることは大歓迎ですね。

台湾の方の訪日旅行は、年配の方では団体旅行を利用される方が多いのですが、若い人や日本に何度も訪れている方はFITがメインとなっており、今後はますますFITで自由に行程を組んでいくスタイルが主流になると思います。

ホテル旅館のリピート利用についてですが、台湾人の場合は宿を指定しての旅行はあまり一般的だとは言えません。価格の安いホテルは20~30代のリピートが多いのですが、これはいろんな場所をたくさん観光してホテルは寝ることができればいいという考え方からです。

仮に箱根の素晴らしい宿に泊まって大満足したとしても、好奇心の強い台湾人は次の旅行では他の地域に出かけるケースが多くなります。

ただ、そんな中にあっても50代以上のシニアカップルなどでは、お気に入りの温泉旅館でゆっくりしたいという人も少ないながら存在していますので、もしもリピートを狙うのであればこの層をターゲットにすべきではないでしょうか。

旅行先の選定に関しても、台湾では多くの方が「まだ行ったことのない場所に行きたい」という想いを持っているのですが、それは誰も知らない温泉地を探すというものではなく、例えば「立山黒部アルペンルートの雪の壁」などのように認知度の高い有名観光地の中から、まだ行ったことのない場所を旅先に選ぶというものです。

日本人のようにお気に入りの宿ありきの旅行ではなく、まず旅先を決めてから宿を決めるのが台湾人の訪日旅行の特徴的なスタイルだと言えるのではないでしょうか。


3.日本のホテル旅館に宿泊する際の満足度は、どんな要素がポイントですか?

台湾の方の訪日ニーズは、温泉が好きな方や、テーマパークめぐりが好きな方など人それぞれ多岐にわたるため、宿に求める傾向や順位などはつけにくいというのが正直なところです。

ただそんな中にあっても間違いなく重要なのは、言語対応の有無です。

コロナ時期は海外からの旅行者が大幅に減少したため日本の宿でも現地語を話せるスタッフが激減したと聞いていますし、台湾の旅行社の方からも旅館によっては現地語を話せるスタッフがいなかったり、仮にいても急遽採用しているため経験が足りず、お客様対応にも不慣れな感じが否めなかったとのお話がありました。

言葉の面でお客様に不自由を感じさせないスムーズな対応ができれば台湾人の支持も向上するはずですので、この点には注目していただければと思います。

4.台湾での観光地や旅館PRにおいて有効な手法とはどのようなものでしょう?

インバウンド客の受け入れに際して言語対応はもはや必須事項です。宿のHPが多国語対応されているかをチェックし、対応されていなければ早めに手を打っておくことをお勧めします。

また、台湾人視点から、中国語については簡体字だけでなく繁体字の表記があるとより高い評価につながると思われます。

また台湾では旅行情報の収集にSNSが多用されていますので、それを見越して繁体字でのSNS運営なども導入していただけるとベストかと思います。

台湾の方が日本の宿を予約する際に最も利用しているOTAはブッキングドットコムとアゴダですので、この2つへの手厚い対応もポイントになるでしょう。

ネイティブ言語を話せるスタッフとインバウンド客を想定したWEBサイト、SNSの繁体字対応などの基本的な受け皿を整えた上で、Youtuberなどを招いてのインフルエンサーマーケティングや、台湾現地メディアやネットニュース向けの情報発信などを行っていくと非常に効果が高いと思います。

台湾も例にもれずネット社会ですので、ネット上の発信をベースとしながら、現地イベントなどを組み合わせていくのがベターかと思います。

台湾の方の日本に対する興味は今も変わらず非常に高いものがありますので、宿のブランド価値や観光地の魅力などをこうした手法を駆使してより広く認知させていくことができれば、きっと台湾人来訪客の拡大に結びつけることができるのではないでしょうか。


台湾向けプロモーション企画については、日本の地域PRに強い株式会社ppcと、台湾プロモーションに精通したANSMiNgによる日台両国でのトータルサポートが可能です。両社へのプロデュース、ディレクションは、旅館業界70年の知見を持つエイエイピーへお任せください。

台湾メディアへの露出を中心に豊富なメニューをご用意していますので、ご興味がある方はぜひ下記資料もあわせてご確認ください。

※2023/01/18公開の記事を転載しています
※取材は、2022年12月中旬に実施しました。


毎週配信をしているリゾLABのメールマガジン「リゾMAGA」。新着記事の紹介、旅行・観光関連のデータやプレスリリースなど、旅館・ホテル業界に関わる方におすすめの情報を届けます。

▶メルマガ登録はこちらから

記事を最後までお読みくださり、ありがとうございます。励みになりますのでコメントいただくのも嬉しく、今後の参考になります。|また、業務ご相談を随時承っております。リゾLAB編集部を兼ねるエイエイピー観光戦略推進部の事業紹介サイト「伴走支援サイト」をご覧ください。