地域の恵みとお客様への感謝を込めて、観光庁「宿泊施設バリアフリー化補助金」を活用した、阿賀のめぐみ望川閣のリニューアル事例
阿賀野川の河畔に花々が彩る宿が、地域への熱い想いを込めて
雄大に流れる阿賀野川の河畔にある咲花温泉。美肌の湯としても知られる源泉のかけ流しを楽しめる、阿賀のめぐみ望川閣がお客様への心配りに満ちた最上級のおもてなしをご提供するため、2020年3月に新たな和モダン客室2室をオープンさせました。その名は「寛庵 くつろぎあんinspired by 亀田縞」。
車椅子のお客様でも何不自由なく気軽におくつろぎいただけるよう、両室ともバリアフリー仕様。お部屋の意匠には地域伝統の亀田縞をモチーフとした落ち着いた風合いを実現しています。
明治から大正にかけて木綿縞の名産地として名を馳せた亀田郷。大正末期には地域に600軒を超える織物業者が林立し、織物のまちとして繁栄を極めました。
亀田縞の特徴は、三色のタテ糸に紬風の糸を割り込ませるという高度な技術を用いて表現された独特の柄と風合いにありました。しかし多くの伝統技能の例にもれず、時の流れの中でその技術と伝統が徐々に失われていく中、地域の伝統に再び息を吹き込もうと現代にその技術を蘇らせる気運が高まっています。
当地の出身で、そこから咲花温泉へ嫁いだ初代女将がこよなく愛した亀田縞。その想いを現在の女将がおもてなしの形として結実させたのが、この寛庵。「ただその場に居るだけでも癒されるお部屋としてゆったりくつろいでほしい」。このお部屋にはそんな願いが込められています。
眠りの質にまでこだわった、細やかなおもてなし
お部屋で過ごす時間のクオリティにとことんこだわる望川閣のその想いが象徴されているのがシモンズベッドの導入です。
眠りの質は、旅館の大切なおもてなしのひとつ。旅の疲れを癒す睡眠の最上の睡眠と休息をおとどけすることにこだわった結果、寛庵は、亀田縞をメインモチーフとしたバリアフリーのお部屋にベッドを組合せて、これまでにない新たな和モダンの空間を作り上げました。
改装前は狭小で販売しにくかった4室のお部屋を、ゆとり感あふれる大空間客室・2室へとリニューアル。宿の新たな目玉商品へと見事に蘇らせました。
望川閣が活用した「宿泊施設バリアフリー化促進事業」とは
今回のリニューアルに当たって、望川閣では観光庁の「宿泊施設バリアフリー化促進事業」の補助金を活用しました。
「宿泊施設バリアフリー化促進事業」とは、旅館やホテルなどを対象に、客室や共用部などをバリアフリー化し改修費用の一部を支援する【宿泊施設バリアフリー化促進事業】と、Wi-Fi環境整備やトイレの洋式化、メニューの多言語化対応など、インバウンド受け入れ環境整備の取り組みを支援する【宿泊施設基本的ストレスフリー環境整備事業】の2つに大別され、補助対象事業者は、旅館業法の営業許可を得た宿泊施設(旅館・ホテル)となっています。
第一期の公募はすでに2020年6月末で締め切られていますが、引き続き第2期の公募が2020年7月から8月末に行われ、2021年2月末までに完了する改修工事がその対象となる予定です。
具体的な公募期間や内容については、詳細が決まり次第観光庁のホームページで発表されますので、バリアフリー改修をお考えの方はぜひご注目ください。
生まれ変わった2室に、それぞれの想いと個性を映し出して
国が後押しする宿泊施設のバリアフリー化・インバウンド化の流れを受けて、宿の想いをお客様への喜びへと結びつけた価値ある事業を形にした望川閣。
新たな客室の扉にはバリアフリー対応の引違戸を採用し、上がり框(かまち)を含めた室内空間の床の段差を解消。また室内各所やトイレには手すりを配するなど、どんなお客様にも快適にご利用いただけるよう万全の配慮を施している「寛庵」。
その2室はシモンズベットの導入と亀田縞の意匠の再現という共通のコンセプトを持ちながらも、お部屋ごとの個性もしっかりと演出されています。
阿賀野川を望む大きな窓を持つ301のお部屋は、その開放的な景観を心ゆくまで堪能できるよう配慮され、セミダブルベッド2台とソファベッドによって3名のご利用でもゆったりと過ごしていただける設いとなっています。
もう一室のお部屋は景色が望めないお部屋ということもあり、お部屋空間全体に亀田縞を活用。亀田出身の初代女将の想いと、亀田縞を私服や自宅などプライベートでも愛用している現女将の意向を全面的に映し出し、落ち着いた風合いと飽きの来ないデザインをたっぷりとお客様に堪能していただける作りとなっています。
阿賀野川に湯花が浮いていたことから発見されたと伝えられる咲花温泉。その温泉郷にあって眼下に阿賀野川を望める名湯の露天風呂や新潟県内初となる3種の温泉色の浴槽を持ち、「阿賀の恵み」の名をも冠する望川閣。
その名に恥じぬためにも、阿賀地域の自然と伝統、そしてあらゆる恵みへの畏敬と感謝の念を、お客様へのおもてなしに映し出していきたい。
新たな施設に込めた想いとともに常におもてなしの真髄を追求しつづける宿の姿がここにあります。
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※2020/07/16公開の記事を転載しています
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