【連載】旅館の経営に対する10の問い-第5回
昨今、多くの旅館で人手不足が深刻な問題になっていますが、そればかりではなく、旅館によっては業績の低迷や施設の劣化による慢性的な苦情、資金繰りなど、さまざまな問題を「同時多発的」に抱えているところも少なくありません。
それらの問題の解決策は一つ一つに向き合うことが基本ですが、旅館経営においては問題の根っこが相互に絡み合っている場合が多く、一筋縄ではいきません。しかし、根っこが絡み合っているということは一つの問題に取り組むことで、他の問題にも良い効果を及ぼすことがあります。
ここでは、旅館経営それぞれの問題を解決するヒントを紹介します。思い当たる問題に対して、それを手掛かりに問題の打開を図りましょう。
【その5】
自館の「強み」とは?-戦える商品力を考えましょう
施設、料理、サービスなど、いずれもそれなりのレベルで目立った問題がなくても、旅館業は「強み」がないと集客の決め手が曖昧になり、次第に勢いを失い受け身になっていきます。今の商品が「戦える商品」なのでしょうか?もし欠けているなら、客観的に見つめてプラスをつくり出すことをお勧めします。
備えるべき商品をじっくりと考えてみましょう
「ウチにはこういうものがある」、「こういうことを始めた」など、アピールできる商品要素を考えます。
1.すぐに実現できないものは商品計画に組み込む
戦える商品力として力を発揮するのは、やはり「施設商品」です。しかし、これには多額の費用とそれなりの時間がかかるので、ひとまず「〇年後の商品整備」として計画に位置付けましょう。
2.現状の商品にプラスして考える
例えば、料理で考えてみましょう。ただし、「季節の料理」といった通常サイクルの中での変更ではなく、あくまで決定力となる強み商品の開発という位置付けで取り組みます。また、料理が難しいようなら、ユニークなサービスでもよいでしょう。
まとめ
重要なのは経営者(トップ)のそれに対する意気込みや期待効果を共有し、スタッフのモチベーションを上げることです。投入するコストにかかわらず、社内外に向けてもニュースとなる商品づくりに取り組んでください。
(株式会社リョケン 代表取締役社長 佐野洋一)
※2019/11/25公開の記事を転載しています
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