見出し画像

OTAを活用したホテル・旅館のインバウンド集客のポイント

日本を訪れる外国人観光客の多くが、インターネットを利用して航空券や宿泊先の予約をしています。そのため、今後ますます需要が拡大するインバウンド観光客を確実に集客するためには、ホテルや旅館をはじめとする宿泊業界でも、インターネットを活用したプロモーションは欠かせません。なかでも、インターネットのみで旅行商品の取引が完結するOTA(オーティーエー)は、インバウンド集客において、最近では幅広く使われているツールのひとつです。

今回は、OTAを活用したホテルや旅館のインバウンド集客のポイントについて、詳しく解説していきます。


OTA(オンライン・トラベル・エージェント)とは

OTA(オー・ティー・エー)というのは、「オンライン・トラベル・エージェント(Online Travel Agent)」の頭文字をとった略語のことで、その名の通りインターネット上のみで旅行商品の取引を行う旅行会社のことです。実店舗を持たないインターネット上だけの旅行会社」を指すため、実店舗を持つ旅行会社が自社のサイトで旅行商品を販売することはOTAとは言いません。

航空券などの交通機関と宿泊プランを組み合わせることで、既存ツアーにはない自由な旅行を組むことができる「ダイナミックパッケージ」や、インターネットからの宿泊プランの登録や修正が24時間可能なことが特徴として挙げられます。


インバウンド観光客の約6割がインターネット予約

日本政府観光局(JNTO)の統計によると、2017年に日本を訪れた外国人のうち、インターネットから予約をした人の割合は全体のおよそ約6割にもなります。ただし、ここで注意しなくてはいけないのが、インターネットからの予約が必ずしもそのホテルの公式サイトからではないということ。インバウンド観光客の多くがホテルを予約する際に海外OTAを利用しているため、公式サイトだけでの集客は難しいのが現状です。

特に近年のインバウンド観光客のトレンドは、東京、京都、大阪といったこれまで人気の高かった主要都市から、青森や熊本、福岡、広島などの地方へと広がりつつあります。様々なニーズを持ったインバウンド観光客に効率的にアプローチするためには、海外OTAの利用が多くの施設でみられています。

海外OTAでインバウンド集客を行うポイント

インバウンド集客をするためには、海外OTA の利用が増えていることは説明しましたが、実際に海外OTAを利用する場合、どのような点に気をつけたら良いのでしょうか。海外OTAを利用したインバウンド集客のポイントを詳しく見ていきましょう。

海外OTAごとの得意分野を知る

「海外OTA」と言っても、それぞれのサービスごとに異なる特色があります。例えば、宿泊数と宿泊タイプが豊富なもの、24時間対応可能な電話サポートを売りにしているところ、ダイナミックパッケージのコンテンツに注力しているところ、中華圏の観光客向けに特化したものもあります。海外OTAを利用する場合には、自分のホテルにどの国やエリアの客層を呼び込みたいのか、ターゲットを明確化し、それぞれのOTAの得意分野を把握して運用を行うことが大切です。

登録する写真や文章を工夫する

海外OTAを利用する際には、施設情報や支払い方法、施設のサービスや設備などの基本情報の他に、ホテルの写真を登録しなくてはいけません。インバウンド観光客をターゲットに高い集客率を目指すのであれば、登録する写真や文章にも工夫が必要です。あらかじめインバウンド観光客のニーズを把握した上で、ホテルの魅力や日本らしさをしっかりと伝えましょう。

会員向けプロモーションの利用

海外OTAでは、そのサイトに会員登録をしている方を対象にした「会員向けプロモーション」を行なっているところがほとんどです。会員限定の特別価格や、会員限定プランなど、会員向けのプロモーションを利用することで、集客率アップを図ることができます。

レートパリティを保つ

レートパリティとは、お客様がどの予約経路を用いても、同じ料金でプランを提供する料金設定方法のことをいいます。例えば複数の海外OTAに登録をした場合に、サイトごとに部屋の料金が異なると、価格を下げるようにサイト側から指示が入ります。これに従わずに、他のサイトよりも高い料金で表示し続けていると、検索順位を下げて予約が入らないようにされてしまうリスクもあるため注意が必要です。

海外OTAの使用にあたり考慮すること

国内OTAと海外OTAにはさまざまな違いがあり、海外OTAならではの注意点も存在します。では、実際に海外OTAを利用する場合には、どのような点に気をつけたら良いのでしょうか。考慮すべきポイントを詳しく見ていきましょう。

日本語版サポートの充実

海外OTAの中には日本語サポートに対応していないものもあります。サイトを十分に活用するためには、やはりそのサイトの仕組みをきちんと理解する必要があるため、日本語サポートの有無は事前にきちんと確認しておくべきでしょう。

お客様と直接やり取りすることができない

海外OTAを利用しての集客では、原則としてお客様と宿側が直接やり取りをすることはありません。そのため、お客様一人ひとりに合わせた丁寧な接客を売りにしている旅館や民宿などでは、宿泊客のニーズを拾いにくいということがデメリットとなるケースもあります。

国内のOTAよりも手数料が高い

国内OTAと海外OTAとでは手数料にも違いがあります。国内OTAの手数料の相場が5〜10%なのに対し、海外OTAの手数料相場は10〜15%と割高なため、その手数料を支払っても利益が出るように料金設定をしなくてはいけません。


インバウンド観光客を獲得するためには、そのホテルや旅館のニーズに合ったOTAを選ぶことが大切です。複数のOTA間の値段を統一するソフトもあるため、複数OTAを比較しながら検討をしていきましょう。

※2019/10/25公開の記事を転載しています


毎週配信をしているリゾLABのメールマガジン「リゾMAGA」。新着記事の紹介、旅行・観光関連のデータやプレスリリースなど、旅館・ホテル業界に関わる方におすすめの情報を届けます。

▶メルマガ登録はこちらから


記事を最後までお読みくださり、ありがとうございます。励みになりますのでコメントいただくのも嬉しく、今後の参考になります。|また、業務ご相談を随時承っております。リゾLAB編集部を兼ねるエイエイピー観光戦略推進部の事業紹介サイト「伴走支援サイト」をご覧ください。