目は臆病、手は鬼。|観光マーケティングプランナーのちょっと視点を変えた連載コラム007
新型コロナによる爪痕は、予想以上に大きい。これまでの厄災と違って、通り過ぎたものではなく、私達の日常に居座りながら、更に次の暴発を目論むという、現代人が体験したことのない敵である。
リゾート業界も大きな変革で対応せざるを得ない。新型コロナによって露呈したこと、又はこれから必要なことをあげてみると、
①団体旅行は数年間、期待できない。
②個人旅行のお客さまが、今後の主客となる。
③施設はソーシャルディスタンスを要に対応をする。
④お料理の提供は、大きな変革が必要となる。
ホテル旅館が置かれている地域や、宿の収容力によっても異なりはするが、「個人のお客さまを相手にする」というのは、私が言う迄もなく、行わなければならない事が膨大にある。
団体のお客さまは、極端な話、旅行業者とその添乗員へのアテンドで済む。例えば、100人の団体のお客さまの場合はその中の1〜3名に傾注すればよかった。
しかし、同じ100名様でも個人のお客さまは2名様×50組に対して、予約>宿泊>アフターフォローの三段階それぞれに受け入れやアプローチ手段を準備し実行することになる。一挙にシゴトが50倍になるわけである。
こうなると、ひとりの頭の中だけで納めることは無理になる。オーバーブローになる前に、AIに頼るほかない。
これから本格的に導入される予定があったり、PMS(ホテルの一元管理システム)をバージョンアップしたいと考えられているならば、予約>宿泊>アフターフォローにおける連動も充分考慮して、「攻める管理」を目標に、個人化の波に対応せざるをえなくなると思う。
いつから?と考えた場合、これは早ければ早いほど、先が楽になる。
ソフト的なオペレーションだけでも、上にある内容はほんの一部で、実際にお客さまの目に触れるハード(施設や品)&ソフト(おもてなしやお料理)に関しては、さらにさらに膨大なおはなしになってしまう。
目の前に課題がどんどんと音をたてて積みあがってゆく姿に、だれもが尻込みしてしまうのは、人としてあたりまえかとも思ってしまうが、個人化の時代に対しては少しずつでもクリアしてゆかざるをえないのが現状でもある。
「目は臆病、手は鬼。」とは、三陸沿岸の気仙沼地方に古くから伝わる言葉です。東日本大震災の折に、すさまじい山のような瓦礫を前に、この地方ではだれもがこの言葉を口にしながら、粛々とかたずけを行ったそうです。
「ぐずぐずと考え込むことなく、まずはできることから始めれば、いつのまにか没頭し、気が付けば圧倒的な量をこなしていた。」と言えるように頑張ろう!と語りかけてくれる力強い言葉ではないでしょうか。
私事ですが、この十年ほど妻の実家の山刈を手伝っています。これまでに切った身の丈10m以上の竹の量は数千本に達しています。当初はボウボウに生え放題の竹林を見て正直おじけづきましたが、妻と二人で無我夢中で切り続け、再び生えてくる竹も打ち取りながら進んでいるうちに、どうにか最近元の自然林の姿が蘇ってきました。
私がため息をついてしゃがみ込むと、後ろから妻が声を掛けます。
「目は臆病、手は鬼だよ!お父さん!」
或プランナーの独り言。Vol.007「目は臆病、手は鬼。」
※2020/06/25公開の記事を転載しています
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