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【2023年最新】ホテル・旅館業界の現状・今後の動向とは?課題や解決策を紹介


■ホテル・旅館業界の現状

新型コロナウイルス感染症の流行時において、ホテル・旅館業界の業績は宿泊客の激減により大きな影響を受けていました。
2023年現在では行動制限や外出への規制が解除されたことで旅行への需要も高まり、ホテル・旅館を利用する人が急速に増えています。
また、国内だけではなく海外からの観光客も増加傾向にあり、部屋の稼働率や売上の増加にさらなる期待を高めています。
出典:日本政府観光局「訪日外客数(2023年6月推計値)」

インバウンド需要で業界は右肩上がり

2003年にビジット・ジャパン事業が開始され、訪日外国人は右肩上がりに増加し、2019年には3,000万人以上もの訪日者数を記録しました。

訪日者数は新型コロナウイルス感染症の流行によって2020年から激減しましたが、2023年現在では回復の傾向が見られます。

2023年の訪日外国人は上半期で1,000万人を突破しており、ホテル・旅館業界の業績はインバウンド需要に比例して右肩上がりといえるでしょう。

2023年上半期時点を新型コロナウイルス感染症拡大前である2019年と比べると、訪日外国人数は約34%まで回復しています。
下半期も、毎月200万人近くの外国人が日本に訪れると予想されています。

出典:日本政府観光局「訪日外客数(2023年6月推計値)」

外的要因が売上の後押しに

新型コロナウイルス感染症の大きな流行が明け、外的要因がホテル・旅館業界の売上を著しく伸ばしています。

主な外的要因には、円安や政府の施策などが挙げられます。
1ドル=140円台の円安状態はインバウンド増加への強い追い風となり、海外から日本への旅行者数をさらに後押しするでしょう。

また、日本政府の施策もホテル・旅館業界の売上に貢献しています。
2022年10月に始まった全国旅行支援では、ホテル・旅館にとって事務処理に追われる苦労もありましたが、稼働率の低い傾向にある平日を中心に支援することで、業績の悪化が免れないホテル・旅館の稼働率を支えたといえます。

 

■ホテル・旅館業界における課題

売上が回復してきているホテル・旅館業界において、人手不足や訪日外国人への対応などが課題に挙げられます。
ここでは、それぞれの課題についてご紹介します。

スタッフの人手不足

ホテル・旅館業界において、人手不足は深刻な問題です。
厚生労働省による令和3年上半期の調査では、約600万人が宿泊業・飲食サービス業へ入職し約770万人が離職したと報告されています。

ホテル・旅館業は、24時間365日の営業が特徴です。夜勤を含めて時間交代制で勤務をするため、長期休暇を取りにくい労働環境が離職の理由と考えられます。

一方で、新型コロナウイルス感染症に関する規制が解除され国内旅行者は急増しており、宿泊施設への需要も増加しています。

サービスの質を人手不足によって下げないために、労働環境や賃金の改善を図り、従業員の確保に取り組むことが重要です。

訪日外国人の対応

ホテル・旅館業界は、外国人観光客への対応も課題です。
2023年の訪日外国人数は上半期だけでも1,000万人を超えており、インバウンド需要はさらに高まると予想されています。

また、2023年8月、中国政府が日本への団体旅行を解禁しました。宿泊施設はもちろん、周辺の観光案内にも英語や中国語での対応を求められています。円安の影響もあり、旅行先を日本に決める海外の方は多いでしょう。

ホテル・旅館業界が売上を伸ばし業績を回復させるためには、訪日外国人への対応も欠かせません。

 

■今後のホテル業界に求められる対策

ホテル・旅館業界が抱える課題を解決するためには、インターネットの活用が重要です。
日々進化するIT技術を取り入れ、業務の効率化や収益の増加を図りましょう。

ここでは、ホテル・旅館業界に求められる課題への解決策をご紹介します。

DX化による人手不足の解消

DXとは、デジタルトランスフォーメーションのことです。デジタル化による組織の変革を意味し、システムの構築や業務プロセスの改善を図ります。

業務のDX化は、ホテル・旅館業界で常態化する人手不足の解消に有効です。
DXを導入することで作業の効率化を図れるため、業務工程や時間の短縮につながり人手不足の解消に役立ちます。

DXを取り入れるためには、デジタル技術を保有するDX人材の確保がスタートです。

ITの技術に明るい人材を獲得し、最新のテクノロジーを活用してホテル・旅館業界が抱える課題の解決につなげましょう。

ダイナミックプライシングによる最適な価格設定

ダイナミックプライシングとは、需要と供給を考慮して商品やサービスの料金を変える価格戦略のことです。

ホテル・旅館業界は毎日の稼働率が売上に大きく影響するため、ダイナミックプライシングで最適な料金を設定し販売することがおすすめです。

ホテル・旅館は客室を在庫として保持できないため、当日売れなかった客室の売上は翌日に補填できません。

また、ダイナミックプライシングで宿泊料金を自動最適化することは、業務の効率化にも寄与します。

繁忙期は価格をより高くし、収益の最大化を狙いましょう。

反対に、需要が落ちるときは料金を下げ、販売室数を1部屋でも増やします。

お客様のニーズや競合ホテル・旅館の宿泊料金などを分析し、比較・検討することが重要です。


オンライン・オフライン両方での多言語化

多言語化の対策は、オンラインとオフラインに分けましょう。両方での多言語化を実現させて、訪日外国人の満足度を高めます。

オンラインでの対策は、ホテル・旅館のホームページを多言語表示にすることです。

また、客室内へのタブレットの導入も有効な対策の一つでしょう。多言語を設定することで、客室や施設の案内、備品の貸出、問い合わせなどを可能にします。

客室内タブレットの導入でフロントへのお問い合わせが減るため、スタッフの負担も軽減されます。

ホテル・旅館業界では英語・中国語・韓国語での対応を求められることが多く、外国人観光客がよく聞く質問に関して回答をあらかじめ用意しておくとよいでしょう。

行政の制度・補助金関連の活用

訪日外国人を含めた旅行需要の高まりに対して、行政の施策や補助金などを活用しましょう。

消費者の行動は、物質的な「モノ」から「体験やサービス」への消費へ変わりました。

そのため、ホテル・旅館業界においても付加価値の提供が今まで以上に重要です。

観光庁では、観光立国の復活に向けて「宿泊業の高付加価値化のための経営ガイドラインに基づく登録制度」を設けています。

また、「IT導入補助金2023」や「訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業」などの補助金もあります。

国の支援を活用し、労働環境の改善、IT技術の導入など、収益の向上を目指してさまざまな取り組みを図りましょう。

OTA運用で予約率の向上

OTAとは、インターネットから予約ができる宿泊予約サイトです。

掲載することでさまざまな角度から認知度の向上や集客を見込めるため、現代のホテル・旅館業界にとっては欠かせない存在でしょう。

また、OTAには有料広告やおすすめ宿の特集、キャンペーンなどもあり、販売の促進につながります。

一方で、OTAへ掲載するためには手数料がかかることを忘れてはいけません。手数料は各OTAによって異なり、おおよそ8〜15%の場合が多いでしょう。

予算を踏まえ、それぞれのOTAを比較・検討することが重要です。

リピーター獲得に向けたCRMの導入

CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客満足度を高める関係性やコミュニケーションを管理し、一元的に把握すること及びツールのことです。日本語では、顧客関係管理と訳されます。

飲食業や人材紹介事業などさまざまな業界でCRMが導入されており、ホテル・旅館業界に特化したCRMも提供されています。

ホテル・旅館業界において、客室の稼働率を安定させるためにはリピーターの獲得が重要です。

CRMによる顧客分析は有効なアプローチを生み出し、リピーターの増加に役立ちます。

例えば、CRMで顧客の食に関する好みやお誕生月などを管理し、一人ひとりに合わせたサービスを提供することで顧客満足度の向上につながるでしょう。

また、顧客情報をCRMによって一括管理することで、スタッフ間での引き継ぎミスをなくし、情報を周知できます。

■まとめ

ホテルや旅館への宿泊客は、新型コロナウイルス感染症の拡大時期において大きく減少していましたが、インバウンド需要の後押しによって回復の兆しを見せています。

2023年現在、訪日外国人数は上半期で1,000万人を突破し、今後もさらなる増加が期待できるでしょう。

そのためホテル・旅館業界では、訪日外国人への対応が求められます。

DXを促進しCRMを導入するなど、さまざまなIT技術を充分に活用し、業務の効率化を図りながら収益を最大化させましょう。

 ※2023/09/21公開の記事を転載しています


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