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【連載】旅館の経営に対する10の問い-第2回

昨今、多くの旅館で人手不足が深刻な問題になっていますが、そればかりではなく、旅館によっては業績の低迷や施設の劣化による慢性的な苦情、資金繰りなど、さまざまな問題を「同時多発的」に抱えているところも少なくありません。

それらの問題の解決策は一つ一つに向き合うことが基本ですが、旅館経営においては問題の根っこが相互に絡み合っている場合が多く、一筋縄ではいきません。しかし、根っこが絡み合っているということは一つの問題に取り組むことで、他の問題にも良い効果を及ぼすことがあります。

ここでは、旅館経営それぞれの問題を解決するヒントを紹介します。思い当たる問題に対して、それを手掛かりに問題の打開を図りましょう。


【その2】

長期低落傾向の対策-フロンティア市場を描きましょう

売上を前年比だけでなく、10年くらいの長いスパンでも見てみましょう。次第に右肩下がりになり少しずつ低下傾向をたどっている、ということはありませんか?この「少しずつの低下」は売上に対する「長期低落傾向」を示し、旅館経営において警戒しなくてはいけない事案のひとつです。

長期低落傾向の要因

前年と比べて急激に売上が落ちると、そのタイミングで対策を講じようと必死になりますが、少しの低下では「来年はもう少し気を引き締めてがんばろう」と、売上に対する意識が低くなります。また、長年商売をしていると、自社の顧客や市場に対する見方がどうしても固定観念にとらわれがちに。これらの思考が長年続くと、売上の「長期低落傾向」に陥る可能性が高くなります。

今すぐ!長期低落傾向の見直しを行ないましょう

どんな市場も顧客も、常に変化しています。「ウチの旅館を利用するお客様は、こういう地域のこういう人たちで、こういう使いかた」といった捉え方に縛られると、アプローチの仕方が無意識のうちにマンネリ化し、営業対策の効果もしだいに薄れます。そして、そこから得られる収穫は目減りしていきます。

1.4つの切り口からフロンティア市場を描いてみる
成長を考えるなら「エリア」「客層」「利用目的」「チャネル」の4つの切り口から、可能性を見込める新市場を探します。そして、それぞれ考えられるものをもう一度、思考展開してみることをお勧めします。

2.営業政策だけにとどまらない考えを
新市場へ切り込むには、時として商品面や組織、人事体制などにも踏み込んで考えなければならない場面が出てくるかもしれません。しかし、それこそが重要な意味を持ちます。


まとめ

フロンティア市場を描くことは、そこに対する新しい営業戦略を社内で共有することにもなります。そして「新しいターゲット」を持つことで、スタッフのモチベーションも上がり、うれしい相乗効果がうまれるかもしれません。

(株式会社リョケン 代表取締役社長 佐野洋一)

※2019/11/26公開の記事を転載しています


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