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西日本の22の名旅館がアライアンスを組んで、旅の新たな歓びを提供する【宿倶楽部】

【今リポ!】今、伝えたい!最前線レポート Vol.011

「宿倶楽部」は、近畿・中国エリアの旅館やホテルが自らアライアンスを組み、加盟宿ならどこでも利用可能な共通ポイントを貯めることができるユニークなネットワークサービスです。

発足から約20年を数え、当時としては先進的な取り組みを展開して今に至るこの「宿倶楽部」の狙いと今後の展開について、発足人のひとりである京都・旅館こうろの北原会長にお話をお聞きしました。



1.旅館ホテルが自ら連携する「宿倶楽部」とは

宿倶楽部は、西日本を中心とする旅館ホテルが主体となって運営する、独自のポイントカード会員システム

宿をご利用になったお客様に利用金額に応じたポイントが付与され、貯まったポイントは次回に加盟施設を利用した際に料金の割引として還元されるサービスです。加盟施設は、西は広島・島根県から東の三重県まで全部で22軒の旅館・ホテルで、いずれも大人の旅を満喫できる高級で上質な宿ぞろい。

豊かな旅情や宿の閑静な佇まい、大海原を望む露天風呂でのくつろぎや、四季折々の美しい景観、効能たっぷりの温泉など、それぞれの宿が持つ多彩な魅力を通して多くの方に「もっと旅を楽しんでいただきたい」との思いを共有しています。

<「宿倶楽部」のポイントカード会員システム>
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●誰でも入会可能、入会金・年会費無料
●新規入会時には、もれなく1000円分のポイントをプレゼント
●宿での利用金額の5%をポイントとして還元
●さらにゴールド会員になると、ポイント率が7%にアップ
●貯まったポイント分は、加盟旅館の宿での割引として利用可能
●ポイントカード会員には、加盟旅館からお得なお知らせ情報も
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2.「宿倶楽部」発足の背景と、その狙い

宿の自発的な連携から生まれた「宿倶楽部」、その斬新な取り組みはいつ・どんな経緯でスタートしたのでしょう

立ち上げのきっかけは20年ほど前に遡ります。日本旅館協会関西支部の中で、私と交流のある数件の宿の経営者と会話をしている中で、ある旅館から「自館でポイントカードシステムを運用しているが、コストと手間のわりに思ったほどの効果が表れていない」との話題がありました。

それに対して意見交換をする中で「それなら複数の宿で使える共有のポイントシステムをつくってはどうか」という意見が出たことが、宿倶楽部の始まりです。このシステムに加盟しているどの宿でも使えるポイントカードがあれば、単館の負担も少なくなる上に、お客様にとってもメリットが生まれるのではないか。そんな狙いから、メンバーからの1件100万円の供出金を資本として株式会社 宿倶楽部を発足したわけです。

最初は数件の宿からはじまった宿倶楽部ですが、設立メンバーそれぞれの人脈を通じて「相互の宿が協力してお客様に高い満足度をご提供するとともに、加盟旅館のファンを拡大していく」という考えに共感していただける宿を着実に増やしていき、現在の22施設にまでその輪が拡大するに至りました。


3.新たなマーケットの開拓に向けた取り組み

宿倶楽部ではその活動方針や展開について、どのような話し合いが行われていますか

定例会議は基本的に年に4回開催していますが、遠地から全加盟旅館が集まるのはなかなか困難なので、欠席の場合には委任状を預かる形をとっています。ただ実際に対面せずとも、今はメールやラインなどの活用も定着していて、経営者どうしでの情報交換はごく日常的に行われています。

またオーナー同士での情報交換とは別に、実務者会議も頻繁に開催され、お客様への入会説明時に「こんなリクエストがあった」などの情報を共有し、よりスムーズな対応の仕方からクレームへの対処方法などを情報共有し、それぞれの宿にフィードバックされる仕組みとなっています。

こういった宿を横断した横の結びつきの強さや信頼感こそが、宿倶楽部を支える基本。約20年に渡って活動を継続して来られたのも、すべての加盟施設が「お互いに手を携えながら切磋琢磨していこう」という意志を同じくしていることが最大の要因だと思います。

そんな宿倶楽部ではそれぞれの宿の運営改善や業務効率の向上、またお客様の囲い込みという面での効果にスポットが当たりがちですが、実は広告や販促展開の面でも複数の宿が連携することのメリットは大きく、単館ではなかなか実現できない大型のキャンペーンや広告の露出などもグループとして展開することができるようになっているのも強みの一つです。


4.培った資産を活かして、次なるフェーズへ

宿倶楽部の今後の展開テーマは何でしょうか?

発足以来、少しつづ加盟旅館ホテルを増やしてきましたが、今もそれは変わらず常にさらなる拡大を基本テーマとしています。

まず直近の目標としては西日本の加盟施設を50件まで拡大すること。そして西日本を網羅できたら、ゆくゆくは日本全国にネットワークを広げることが理想ですね。

また現在のポイントカード会員はシニアの方がメインなのですが、こうした方々は一度気に入った場所に何度もリピートするという傾向が強いので、加盟施設の利用を促進するためにも、今後は若者へのアプローチをさらに拡充していきたいと考えています。

こうした活動で加入実績が向上し、会員総数が増えていけば、さらに加盟宿も増えていくという好循環が生まれると期待しています。


北原会長が今後の拡大に向けてのポイントとして考えていることは?

ITのさらなる活用やデジタル対応の積極的な推進です。

お客様はふだんから数多くのポイントシステムやカードの利用に馴染んでいますので、ユーザビリティアップのためには、より便利でストレスのないポイント管理の実現が必須です。こうした状況に鑑みて、宿倶楽部では顧客データの一元管理をより強力に推進することで、お客様がより利用しやすい環境の整備を進めているところです。

また会員の増加という面でも、デジタルの活用によるマーケットそのものの拡大は必須です。

宿倶楽部は会費が不要ですので気軽に入会できるというのがメリットですが、とは言えお客様も年に何度も旅に出る方ばかりではありません。また雄琴などの有名温泉地では、宿泊ではなく日帰りでの利用とそのリピートも多くなっています。そんなお客様を想定すると、宿泊以外でもポイントが利用できるような仕組みの拡充も必要だと考えています。

入会に際しても現在は宿泊されたお客様に各宿のスタッフの直接説明によって入会を促しており、加入実績に応じたて報奨金制度なども作っていますが、旅先に到着して「さあゆっくりしよう」と思っているお客様にその場で宿倶楽部への入会手続きをしていただくにはやはり限界もあります。そのため宿倶楽部ではこのほどオフィシャルサイトを立ち上げて、広く一般からの入会促進をスタートしました。

宿倶楽部が提供できるベネフィットを改めて広く伝えるとともに、このサイトを通じてWEBメディアを活用したキャンペーンなども展開していき、こうした取り組みの数々を通して、これまでに蓄積してきたノウハウや資産を、より「目に見える形」でお客様に提示していくことを中長期的な課題として掲げています。

 
OTAや宿のサイトなど、今やネット経由での予約が主流となっています

そうですね。OTAの代表格である「じゃらん」や「楽天」にもポイントシステムがありますので、宿倶楽部のポイントカードにおいてはそれらと明確な棲み分けが必要ですし、お客様側への理解・整理を促す取り組みや、顧客情報管理の充実も図っていく必要があります。

例えばOTAからの送客ではエリアごとの集客状況を確認することができますが、宿倶楽部でもそのお客さまがどこから来て、過去にどの宿を使っているかなどの顧客情報のデータ整備をさらに進めなければなりません。これは倶楽部全体の課題です。また「22の宿で共通して使える」というスケールメリットの訴求についても、さらに強く推進していくべきでしょう。

こうしたデジタルに関する様々な課題に対しては、加盟施設の現場からより有用なアイディアが次々と生まれてくることが理想的ですから、今後は発足以来の経営者ではなく、その次の世代を担う若手経営者の役割がより大きなウェイトを占めてくるはずです。

従来の枠組みから抜け出した若い世代ならではの自由で多面的な発想によって、宿と旅の良さを訴求できる新たな方策を考え出してくれることに対して、私も大きな期待を寄せています。特にコロナからの回復に直面しているインバウンドの動向を視野に入れた時、日本だけでなく世界をマーケットとした新たな視点がより重要になってくるでしょう。

今後の旅館ホテル業が外貨獲得に貢献し、日本の基幹産業として隆盛を図っていけるようになるためにも、まずは私たちの足元から新しいリーダーを育成し、事業の発展を実現させていきたいと思っています。

▶宿倶楽部 公式サイト

※2023/03/23公開の記事を転載しています


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