クチコミ返信~押さえておきたい5つのコツ~
ネット上のクチコミは、OTA経由の評価だけでなく、ネット検索でGoogleマイビジネス上でも表示されるようになりました。お褒めのクチコミだけならまだしも、ネガティブコメントや苦情となると、見過ごしておくわけにもいきません。
いずれにしても、クチコミの返信によって私たちの商品や熱意を示すことができますし、お客様の予約行動に大きな影響を与えるのですから、取り組む価値があります。
とは言っても、頭を抱えてどう書いたらいいのかと時間がかかり過ぎたり、毎回同じコメントの使いまわしたりすることは避けたいものです。ここでは、返信文を作成するポイントを5のコツにしぼって見ていきます。
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Point1:未来のお客さまへのメッセージ
文章表現はクチコミを書かれたお客様に宛てていますが、返信文の中身は、自館に泊まるかどうか迷っている方に宛てていることを意識して書きましょう。
ご指摘に反論したり、謝罪しても言い訳が長すぎると感じさせたり、お褒めのことばに乗じてPRをし過ぎたり、ということになっていないでしょうか。そのような内容の返信文は、せっかく未来のお客さまになりかけている人を遠ざけてしまいかねません。
これを読んで、自館に泊まりたくなる、あるいは自館を好意的に見ていただけるような内容になっているかを念頭にことばを選びましょう。
また、親しみを感じていただくような文体がよいか、ていねいさや品格を感じさせる文体がよいか。これは、宿の雰囲気、伝えたいイメージにつながる文体であるかに気を配りましょう。
Point2:感謝ではじめ、感謝で終わる
感謝は、相手の心を開くカギです。次の文章を比べてみましょう。
いかがでしょうか。
お詫びに続けて返答や解説を書かなくてはならない場合、Aのように書くと、言い訳がましく感じます。すなおにお詫びをしているようでいて、お客さまとの間に溝を感じさせています。
Bは、まずお客さまの近くに歩み寄って話をしようとする印象があります。しかも、お礼以上にお詫びを申し上げたいと、さらにお詫びに重みを感じさせる文章の運びにしています。
さらに、結びの文章も感謝のことばを基本とします。〇〇さまのような、私どもを思って厳しくもていねいにご指摘いただけたことにあらためて感謝し、お越しくださるみなさまにご満足いただける宿づくりに、力を合わせて取り組んでまいります。ご意見をいただき、ありがとうございました。
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Point3:PRは書き過ぎ・無関係・繰り返しに注意
クチコミ返信はPRのチャンスとばかりに、これは返信の書き込みなのか宣伝の書き込みなのか、気になる時があります。特にご満足いただけているクチコミには、次回の来館につなげるPRを添えることは欠かないと方針にしているところもあるかもしれません。
しかしながら、読む人は宿の姿勢や実際に利用した人の意見を知りたくて、クチコミやクチコミ返信を読むのですから、読みたい気持ちのない人に押し付けてしまうようなPRが、逆効果になってしまうことに注意しなくてはなりません。
①書き過ぎ
クチコミ返信文章全体に対して、適正な範囲は3割程度まで。5割を超えるのは危険信号です。
②無関係
お客さまの文章に沿ったPRに心がけましょう。料理のことを褒めてくれていれば、次の季節で展開する料理プランのこと、温泉を褒めてくれたら、貸切風呂や露天風呂客室プランのこと、というように、PRの内容をしぼることも必要です。お客さまが全く触れていないことをテーマにしたPRは、自己主張にしか思えないかもしれません。
③繰り返し
熱心なお客さまは、10件くらい遡ってクチコミを読むのはよくあることでしょう。当然、同じPRが登場すれば、そのPRだけがコピー&ペーストで返信していると思わせるだけでなく、クチコミ全体に心がこもっていない印象を与えてしまいます。いくつものことを大量にPRしてしまわず、小出しにすることで、繰り返しのPRを避けることにつなげられます。
Point4:苦情のクチコミへの返信ステップ
ステップ①
投稿のお礼と、それ以上に心からのお詫びを申し上げたいと書き始める。お客さまのことばから、宿泊への期待感を汲み取り、せっかくお越しいただいたのに、満足いただけなかったこと、不快な思いをさせてしまったことを本当に申し訳なく、残念でならないという気持ちを述べ、さらにお詫びのことばを重ねます。
ステップ②
次に、同じことを繰り返さないために、どのように取り組むことにしたのかを述べます。具体的な改善策を述べる場合もありますが、それよりも、今回のご意見を重要な課題として、当事者だけでなく会社全体で改善に取り組むことを約束する、というような内容を書き添えるのを忘れません。
ステップ③
最後は前述のとおり、感謝で返信を締めくくります。間違っても、PRを添えてはなりません。通常の記入者が特に役職名なしで記載している場合にも、この場合に限っては、関わった部門の所属長や支配人名で出すことで、このようなご意見を重く受け止めていることが伝えられます。名前を出さずとも、せめて役職名だけでも記載したいものです。
Point5:満足のクチコミを最大限に生かす
感謝のメッセージをストレートに書きやすい内容だからこそ、当たり前にならない工夫をしましょう。そのご意見がどのように私たちを喜ばせているかを具体的に書いてみましょう。
このようなことを、書いたうえで、お客さまのような方に私たちは支えられて、ますますお客さまに喜んでいただける宿づくりに一生懸命取り組むことができます、というような決意を述べましょう。
いかがでしょうか。
クチコミ返信のコツを押さえて、それを読んだ未来のお客さまの心をとらえていきましょう。大切なことは、私たちがお客さまに心を傾けて書く、その表現方法を工夫するということです。
※2021/05/06公開の記事を転載しています
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