見出し画像

【観光DX】感染症対策補助金を活用した、観光DX導入事例|姫路ゆめさき川温泉 里湯ひととき 夢乃井

これまで旅館ホテルの業務では、人の手による細やかな対応やスタッフの長い経験などがおもてなしの品質を担保してきました。しかし、デジタルが普及し、旅のあり方そのものが大きく変わって来た今は、逆に人の経験や勘だけに依存していることでサービスの平準化や生産性向上などの妨げになってしまうケースも数多く見受けられます。

これに加えて新型コロナの影響による旅行者動向の変化や、今後のインバウンド復活への展開などを広範に見据えれば、旅館ホテルにとって観光DXのいち早い導入が喫緊の課題となることは間違いありません。

今回は、そんな中で観光DXに積極的に取り組んでいるお宿の実際の導入事例をご紹介します。

★この記事のポイント★
単に紙の業務をデジタル化するのではなく、あらゆる部署が連携できるシステムを構築することがポイント。属人化や業務ロス、煩雑な雑務などから脱却し、旅館ホテルの経営そのものを大きく進化させましょう。



1.団体客から個人客へのシフトによって飛躍的に高まった、顧客管理の重要性

兵庫県内に5つの施設を運営し、のんびり露天風呂付き客室から一人でのきままなおこもり旅まで、各施設の個性を最大限に活かして、旅行者の幅広いニーズに応え続けている夢乃井グループ。

そんなグループを代表する施設のひとつが、姫路ゆめさき川温泉 里湯ひととき 夢乃井です。

夢乃井では以前からシステムの切り替えから各種サービスシステムの導入なども視野に、DX化への構想を進めていました。そんなさなかに発生したのが新型コロナ感染症。この影響を受けて団体客から個人客へのシフトがさらに急加速し、経営における顧客データの重要性がますます高まったことから、いよいよ本格的な導入に着手することとなりました。


2.DXによる属人化からの脱却で、「人にしかできない仕事」の価値を高める

日常生活にも完全にデジタルが普及した今、あらゆることを人手に頼るのではなく、できる限り自動化を進めることで、より効率的な施設運営を図りたいというのが夢乃井のめざす観光DXのあり方。

数字の積み上げから現場でのサービスのフロー、さらには財務に至るまでを一貫したシステムでカバーすることで、人間は「仮説を立てたり、判断する」仕事に集中できる環境を構築することが目標でした。

世間には観光DXに寄与すると謳う各種のツールやアプリケーションが数々ありますが、その多くは紙ベースの従来業務を単にPCに置き換えるだけのもの。各部署で収集したデータを一元管理し、またスタッフがつねにそのデータを共有できることが何よりも重要な要素と考える夢乃井にはいずれも物足りないものでした。

そんな夢乃井が数多くの銘柄の中から選んだのが、下記にご紹介する「デジタルアンケートシステム」。夢乃井では3年ほど前にこのシステムを導入したところからDX化に着手。その後、配膳管理システム等の導入を経て、最終的にこれらのシステムとの連携も可能なPMS「満室御礼」の導入・切り替えへと、着実にプロジェクトを進行していきました。

またこれらシステムの導入にあたって、非常に大きな役割を果たしたのが、兵庫県の感染対策補助金の存在でした。

新型コロナウイルスの感染対策補助金は、一般的には従業員やお客様向けの消毒設備や、非接触システム機器、また密を避けるための設備什器などが対象となりますが、夢乃井ではこの補助金申請にあたって、非接触システムの導入を図るためには旧来のPMSからの切り替えが必須であるという説得力のあるロジックを構築することで、補助金の採択を実現したと言います。

夢乃井が導入したシステム・ツール

◎基幹システム「満室御礼」
予約管理・経営情報・フロント会計・顧客管理までを丸ごとパッケージ化したPMS「満室御礼」。多彩な業務連携を可能にする高い拡張性を活かして、10室程度の小規模旅館様から200室規模の大型リゾートホテル様まで、貴館の施設や運営方法にあわせて最適にカスタマイズできるシステムです。


◎配膳管理システム
厨房やフロントはもちろん、お客室ご担当者や清掃担当者まであらゆる部署のスタッフがお客様のお食事や配膳状況に関する情報をリアルタイムに共有できる管理システム。頻繁な連絡業務や台帳への手書き記入などを大幅にカット。業務の妨げになっていた様々なロスを解消し、スムーズなお食事提供を実現します。


◎タッチレスチェックインシステム
旅館ホテルのフロント業務の悩みは、チェックイン時の混雑。特にコロナ禍においては対面業務の回避とソーシャルディスタンスの維持など、非接触でのチェックインシステムが不可欠です。タッチレスチェックインサービスは、宿泊されるお客様がご自身のスマートフォンを使って、QRコードを読み取ることで、宿泊カードの記⼊など接触することなくチェックインしてもらえるサービスです。

◎デジタルアンケートシステム
従来はお客様に手書きで記入いただいていたアンケートを、お客様のスマホから入力いただけるデジタルアンケートシステムは、ご自身のスマホ以外に接触することがなく、いつでもどこからでも気軽に回答できるため、従来の紙のアンケートに比べて回答率が向上。さらに用紙の準備や集計の手間、アンケート結果の分析・管理もデジタル処理でき、業務効率の向上と素早く確実なサービス改善とを手軽に両立することができます。


3.PMS導入に際して最も配慮したのは、旧システムからのデータ移行

夢乃井がPMSを切り替えるに際してもっとも懸念していたのは、旧PMSにストックされている顧客情報を果たして新システムにうまく引き継げるかどうかという点でした。

しかし、導入した「満室御礼」は、旧システムからのデータ移行が想像した以上に容易で、予測していた工程よりもはるかにスムーズに移行を完了することができ、また現場スタッフの間にもほとんど混乱が生じなかったそうです。

また、夢乃井ではかつてから若手スタッフが主体となって各部署を運営していたこともあり、業務のデジタル化はもちろん、新たなシステムの導入に対するアレルギー反応もほぼなかったおかげで、新たな業務フローに馴染むまでにもさほどの期間を要しなかったそうです。

PMS「満室御礼」の導入から実稼働までを振り返って、夢乃井の社長も「今回導入したPMSは拡張性が高く、多くの部署やツールを関連づけることができるため、様々な業務データを共有できる点において融通が利くことが最大の利点になっています」とその実感を寄せて下さいました。


4.確立された新たな業務スタイルと、その確かな効果

PMSを始めとする各種ツール・システムによって、いよいよ刷新された夢乃井の新たな業務フロー。

旧来の業務フローでは各現場ごとにエクセルなどで制作・管理したデータを、部署を横断して使いこなすために、いちいちデータを加工しなおすひと手間がありました。しかし、新システムの導入後は各部署で入力した情報がすべてPMSに集約されたことで、そのまま全部署でリアルタイムに情報共有できる環境が構築され、雑多な事務処理に必要だった労力が大幅にカットされたことで全館の労務効率が飛躍的にアップしました。

またオーダーシステムや配膳管理などにおいても、あらゆるデータがリアルタイムに管理されていることから、当日になって急にお客様情報が変わった、また数量が変わったなどのイレギュラー対応時にも、現場で変更されたデータが瞬時に吸い上げられるので、人手や伝票などを介することなく、つねに「今」の正しい情報を閲覧・確認できるようになりました。

こうした業務改革によって、従来からの夢乃井の課題であった属人化からの脱却が実現されたのはもちろん、各現場の仕事の流れやスタッフの業務も大幅に円滑化。今後の業務の平準化やマルチタスクなどの展開をも視野に入れられるだけの確かな土壌ができあがりました。


5.DX化によって見えて来た、「次の一手」への新たな課題

PMSの導入後、あらゆるデータが一元管理されていることから、従来は「感覚」で掴んでいた全体の売上げ把握や予測が、リアルな数字として瞬時に出せるようになったことが、経営上の最大のメリットだと社長は語ります。

また各人・各部署の端末で同じデータを手軽に見ることができるため、折々の会議などでもわざわざ一堂に会する必要がなくなり、リモート会議の活用で、人的ロスを大きく減らすことができるようになりました。これに伴って会議のためにデータを集計し、資料を準備する手間やコストのムダの削減も、地味ではあるが大きな効果として表れているそうです。

こうして実現したDX化によって様々な課題が解消されたことで、夢乃井ではさらに次のフェーズに向けての新たな課題も見えて来ていると言います。それが、PMSのデータをさらに多面的に分析・活用していくための方策です。

夢乃井では、PMSに蓄積されたデータが明確に可視化されたことで、これを従来以上に細かく分析することで、よりきめ細かな対策に結びつけていくことに取り組んでいます。

例えば、3万円のプランで宿泊された方がどんな飲み物をオーダーしているのか。また1.5万円のプランのお客様とはどんな傾向の違いがあるのか。仮予約のお客様がどんな要素を判断材料として本予約に切り変えたのかなどなど、ごく緻密なデータが見えるようになったことで、さらなる「次の一手」への手がかりが浮かび上がってきています。

こうしたことをしっかりと分析し、きめ細かな予測と対応につなげることができれば、今後のマーケティング活動や顧客対応のあり方が変わり、ひいては売上げ予測や価格設定、商品開発などにもつながってくるはずです。

これからの旅館ホテル運営には、これまでの仕事のやり方に合わせるのではなく、逆に効率的なシステムを導入し、これに合わせて人の働き方を柔軟に変化させていくという視点が重要です。業界に先がけてDX化を実現した夢乃井では、従来とは一線を画した先進的かつ効率的な運営体制が確立され、すでに実稼働を始めている状況にあります。

まずは観光DX化にいち早く着手することが大きなポイントです。

しかし、各種のシステム導入には当然ながらある程度の予算も必要となりますから、ただ闇雲に大規模なシステムを導入するのではなく、自館の課題をしっかりと抽出した上で、施設規模や個性、運営スタイルを勘案したベストなシステムをしっかりと練り上げることも重要です。ぜひ貴館らしい、オリジナリティのあるDX化計画を推進してみてください。


株式会社エイエイピーでは、貴館のDX化戦略を幅広くご提案するとともに、PMSを始め、旅館ホテル運営を支援するさまざまなシステムの導入をサポートしています。観光DXに関わるご相談も幅広く承っていますので、ぜひお気軽にお声がけください。

※2022/08/10公開の記事を転載しています


毎週配信をしているリゾLABのメールマガジン「リゾMAGA」。新着記事の紹介、旅行・観光関連のデータやプレスリリースなど、旅館・ホテル業界に関わる方におすすめの情報を届けます。

▶メルマガ登録はこちらから



みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!

記事を最後までお読みくださり、ありがとうございます。励みになりますのでコメントいただくのも嬉しく、今後の参考になります。また、課題共有と解決ご提案、協業のご相談は、お問合せフォームよりリゾLAB編集部までお気軽にお寄せください。適切な担当者がご返信いたします。