今や全国各地で広がり続けているエリア周遊の促進施策、その一例として埼玉県「デジ玉スタンプラリー」の取り組みをご紹介します
多くの観光地の定番イベントとして、これまでに数々のスタンプラリーが実施されてきましたが、今ではアナログ式のスタンプラリーに代わってスマホを活用したデジタルスタンプラリーが一般的になるなど、そのスタイルも大きく様変わりしています。
株式会社エイエイピーでもこれまでに数多くのデジタルスタンプラリーの企画立案・運営を行ってきましたが、今回はその中から埼玉県が実施した県内周遊スタンプラリー「デジ玉スタンプラリー」をご紹介します。
1.スタンプラリーで県内周遊を促すことで、コロナの影響を受けた観光産業を支援
埼玉県では、埼玉県の魅力の再発見につなげるとともに、新型コロナウイルスによって大きなダメージを受けた観光産業に関わる事業者の支援につなげることを目的として、彩の国「新しい生活様式」安心宣言をしている観光施設やその認証店である飲食店などを多くの方が周遊する機会となるスタンプラリーを、2022年10月から2023年2月の期間で実施しました。
当時の状況を振り返ると、この時期はまだ県をまたいだ長距離へのお出かけを控え、できる限り近場で観光レジャーを楽しむスタイルが推奨されている状況にあり、埼玉県でもこれに沿って県内の観光施設や飲食店を気軽に周遊できる企画として、このスタンプラリーが選定されることとなりました。
2.埼玉県全県に200箇所以上のチェックポイントを設定
スマートフォンを活用して埼玉県全県を巡るこのスタンプラリーの参加施設数は200を超えます。
先にもふれましたがスタンプラリーを楽しみながら地域を回るという仕組みは古くから存在しますが、今回の企画では時節がらコロナ感染防止への配慮から非接触型のシステムとしてスマホを活用したデジタルスタンプラリーとしたことが大きな特長です。
スマホはペーパレスで環境にやさしい上に携帯性にも優れているため、従来よりも簡単・快適にスタンプラリーを楽しむことができます。
多くの方により気軽に県内全域を周遊してもらうことで、各地に存在する隠れた名店を知ってもらい「地域資源の価値と認知の向上」を図ることができるのはもちろん、従来から埼玉県が力を入れている「コンテンツツーリズム」の実践にも貢献することができました。
またデジタルツールでのスタンプラリーは、参加者の利便性が高いだけにとどまらず、イベント参加後のアンケート回収やその集計などが簡単にできるという運営・管理側にとってのメリットもあります。
またこうして得られたデータは参加者の年齢・性別など観光マーケットの実態把握にも活用できるなど、以後の観光施策の立案にも大きく役立ちます。
3.スタンプの獲得数に応じて、多彩なプレゼントを用意
今回の参加施設は「体験・遊び」「うどん」「酒」「花」の4つのカテゴリーに分けられ、埼玉県内各地のおすすめのお店や施設が対象となりました。
県内各地に設置されたスポットを3か所以上巡って、スマートフォンでスタンプを集めると体験メニューや県産品等が当たる抽選にご応募いただけます。
集めたスタンプの数によって「埼玉お試しコース」「埼玉初級コース」「埼玉中級コース」「埼玉上級コース」の4タイプに応募でき、賞品も多彩な物産品から体験企画まで様々なものが用意されました。
さらにWプレゼントとして抽選にもれた方にも賞品が用意されるなど、より参加意欲を掻き立てる企画となっています。
参加費は無料で、配布ツールに記されたQRコードを読み取るか、もしくは指定のURLから誰でも参加が可能。
誰でもいつでも参加ができるユーザビリティの高い企画となったことで多くの参加者を集めることに成功し、期間中のアンケート回収数は合計で1452名分に上るなど、観光的にはオフシーズンとなる冬のイベントとしては大変に盛り上がったものとなりました。
4.「地元再発見の良いきっかけになった」など、参加者からも多くの声が
多くの方がコロナの影響で長らくステイホームを強いられていた時期だったこともあって、このスタンプラリーをきっかけに久しぶりのお出かけを楽しんだ方も多く、ファミリーで気軽に参加できるイベントとして、また埼玉県の観光資源について改めて深く知る機会としても、多くの方がスタンプラリーを体験することができました。
参加者アンケートには「これまで知らなかったお店を訪れる良い機会になった」「この企画が無かったらいかなかったであろう場所にもトライできた」などの好意的な意見が数多く寄せられるとともに、より満足度を向上させるアイディアや示唆なども数多く含まれており、実際にスタンプラリーに参加した方でないと感じることのできないこうした意見は、今後の企画をさらにブラッシュアップするための貴重な参考意見として役立てられることでしょう。
今回は少し前に実施された埼玉県のスタンプラリー企画をご紹介しましたが、今後はこうしたイベント実施にあたってペーパレスなどの環境配慮は不可欠となりますし、同時にイベントで得られるデータの価値もより重要性が高まることから、デジタルスタンプラリーでの周遊企画がますます増えていきます。
「歴史」や「食」の他にもテーマは多岐におよび、「物語の追体験」や、「マンホール巡り」などのユニークなラリーも高い人気を博しています。
こうした事例を見ても、イベントの成否は、単にデジタル化したシステムを活用しているかどうかではなく、そこに地域のコンテンツや魅力発掘を前提としてどのような魅力的なコンテンツを盛り込めるかという「アイディア」や「企画力」に左右されることは明らかです。
こうした地域資源を生かしたコンテンツの開発は地域の観光関係者だけではなかなか難しいことから、各地域の状況や観光産業の動きを熟知した専門的なパートナーの重要性がよりクローズアップされてきます。
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