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美しい自然環境に包まれた一大リゾート施設。投資総額120億円の大規模プロジェクト「ダナン三日月ジャパニーズリゾート&スパ」が、開業一周年!彼らはあの世界的パンデミックをどう乗り越えたか

【開業1周年記念ルポルタージュ】



2022年、コロナ禍での全館オープン!1年後には、収益150%増を実現。
ダナン三日月、激動の1年を振り返る。

 
千葉県木更津市に「龍宮城スパホテル三日月」と「三日月イン」、栃木県日光市に「日光きぬ川スパホテル三日月」を展開し、幅広くレジャー業を展開する「ホテル三日月グループ」(本社:千葉県木更津市、代表:小髙 芳宗氏)。

旅する人の「寛ぎ・感動・創造」を追求する観光業のリーディングカンパニーとして、また「創業100年企業」を目指し、常に新しいチャレンジを続けてきた三日月グループが、新たに立ち上げたのがホテル三日月の「海外進出」でした。
 
2017年3月、日本の労働者不足、建築費の高騰、少子高齢化によるターゲットの減少などの経済情勢が長期経営計画に大きな影響を与えることを危惧した創業者の小髙 芳男氏がベトナム・ダナンへのグローバル展開をそのひとつの打開策と考え、大きな一歩を踏み出しました。
 
残念ながら芳男氏は病に倒れ、オープンの日を目にすることなく他界されましたが、その志を引き継いだ現社長の芳宗氏がその巨大プロジェクトを牽引し、実現へと歩を進めていきました。

総投資額1億ドルにも及ぶ複合プロジェクトについて地元紙が当時「日本の巨人がダナンの海岸に、5つ星リゾートを建設する」と報道するほどの驚きを持って迎えられました。
 
しかし、その後の歩みは想定外の困難が続く長い道のりでした。
2019年3月28日、ダナン市リエンチュウ区において三日月スパ&リゾートプロジェクトの着工式を開催。同年11月に先行してグランドオープンしたのがラグジュアリーヴィラ「日の出ヴィラ」とレストラン「波」。

2020年、全世界で新型コロナウイルス感染症が猛威を振るうこととなりましたが、段階的なオープンをすすめ、日帰りスパドーム棟と全長45mの流れるプールが開業。

2021年ベトナム国のロックダウンのなか、工事は続けられ、2022年6月1日に地上95mのインフィニティプール持つ21階建てオールオーシャンビュー294室、宿泊定員852名のスパ&ホテルリゾートを開業。全室オープンは小髙社長の英断であり、オープン後最初の週末は全館満室の大盛況となりました。

2023年、日本とベトナムの外交関係樹立50周年となるこの年6月には将棋の棋聖戦「第94期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負(産経新聞社主催)」の開幕局が行われ、藤井聡太棋士と佐々木大地棋士の熱い戦いが繰り広げられました。

7月1日には国道をまたぎ、三日月ホテルからビーチへつながる橋が完成しました。オープン1年後の利用者は49万人に達し、1年3ヶ月後の8月には70万人を突破。収益は、前年の150%増となりました。

ダナンビーチ初の5スターホテル。そして
海外に高級和風旅館のおもてなしを。
親子三世代でくつろげる、ここにしかないリゾートを。
そこには「観光創造」を理念とする三日月の矜持。

「ダナン三日月ジャパニーズリゾート&スパ」はダナン国際空港から車で約20分、市内中心部からも車で約15分と利便性の高い場所に位置しています。

ダナン市は米国の雑誌「フォーブス」で世界で最も魅力的なビーチと紹介された海岸線を有す美しい街。自然豊かで、行政の観光収入は6割を超えると言われ、観光都市らしく、世界最大級の花火大会やトライアスロン大会なども積極的に行われています。

このダナン市に誕生した「ダナン三日月ジャパニーズリゾート&スパ」の総面積はダナン湾を臨む約13haにも及びます。そこに5つ星ホテルの複合施設、ウォーターパーク、フード&エンターテイメントエリアなどを持つ一大リゾートです。

ダナン三日月ホテルエリア内には、屋上インフィニティプール、屋外プール、屋内ウォーターパークの3つのプール施設を持ち、屋外の流れるプールは一周450mを誇り、庭園内にたつ大きな富士山も臨めます。国内最大の屋内ウォーターパークにはベトナム最長の屋内ウォータースライダーや波のプールがあり、家族連れの賑やかな笑い声が響きます。

日本の温泉を彷彿とするバリエーション豊かな温泉施設。ホテル併設のビーチにはギリシア・ミコノス島を思わせるビーチクラブ「ナミ ビーチクラブ」が完成しました。

「ダナン三日月ジャパニーズリゾート&スパ」のコンセプトの根幹をなすものは「日本品質・日本文化の情報発信基地」。世界的に愛される日本のコンテンツを集め、和のおもてなしと体験型の文化交流を大切に、ベトナムの親子3世代に愛されるリゾート施設を目指しています。

館内には将棋堂や五重塔が建つ日本庭園が広がり、日光東照宮から分祀された分霊神輿や相撲の土俵、甲冑など美しい日本文化が展示され、和の落ち着いた雰囲気が全館に流れています。

小髙社長はあるインタビューでこう語っています。
「ベトナムへの進出を考えた頃、すでにある5スターホテルは数軒でした。でも現在は30軒近く。こうした世界中の大資本と戦うために我々中小企業がやらなければいけないことは、すべてのホテルがやれないことをすること。オンリーワン、ナンバーワンのシーンをどれだけ創れるか。結局我々は人と違うことをやらなければ生き残れない」と。

その一つの答えが「日本文化の発信基地」でした。そこに地域に根ざし、自ら観光を作ることを旨としてきた三日月グループの矜持を見ることができます。

「楽しむところが多すぎて、二泊してもまだ足りない」
開業後1年を経ても尚、進化を続けるダナン三日月
世界的なコロナ禍が経営をより強くしていった好例


ベトナム国内でも新型コロナウイルス新規感染者数の減少に伴い、観光需要が回復。2022年にはシンガポール、タイ、韓国などからダナンへ直航便運行も再開され、海外からの観光客増加にも期待が高まっています。

現地で「ダナン三日月ジャパニーズリゾート&スパ」の運営を統括するソン社長に、この1年の歩みと現状、今後の展望などについて伺いました。

開業後、ベトナムのお客様の反応はいかがですか?

ソン社長:
昨年2022年6月にオープンして、1年で49万人、1年3ヶ月となる8月には70万人のお客様にご来場いただいています。ダナン三日月ホテルの開業は価値あるトライであり、大きな成功と言えると思います。

多くのお客様にお越しいただけた理由としては、ベトナムのお客様に愛されるホテルを目指したこと、また日本文化、日本レベルのホスピタリティーを多くのお客様が認めてくださったことが大きいと思います。

ベトナムは家族を大事にすることで知られ、昔の日本のように家族や親族で旅行に出ることが多く、ダナン三日月ホテルでは、そうしたこの国の慣習を徹底的にリサーチし、4人基準の客室を100室以上設け、ターゲットに合うホテルを作り上げました。

ターゲットとしたベトナムの親子三世代の皆様は、日本文化スタイルをどのように評価されていますか? 

ソン社長:
ベトナムの方は日本に憧れる方が多く、子どもの頃から日本のアニメを見ているので、みなさん日本文化が好きですね。しかし日本に行くためのビザ取得が大変で、渡航費用も高いのが現状です。

日本は好きだけれど、なかなか日本へ行けない方にベトナムで日本が楽しめて、その上いろんなコンテンツや文化をなるべく本物のかたちでお届けしたいと私たちは考えました。

海外進出にあたってたいへんだったところはありますか?

ソン社長:
ベトナムには温泉文化もお風呂文化もなく、みなさんもっぱらシャワーで済ませてしまっています。そのため、他の人の前で裸になることがそもそも恥ずかしい。

入浴方法を書いても最初は理解してくださる人も少なく苦労しました。しかし根気強く、温泉とはこういう文化ですよと説明し、動画やSNSで発信し少しずつみなさんに理解していただけるようになりました。

日本的なイベントや館内施設で評判のいいものはなんですか?

ソン社長:
やはり棋聖戦は盛り上がりましたね。日本と同じ条件で対局できるよう、畳などは日本から運び込みました。また対局前日の6月4日までの3日間は、ホテル敷地内でアニメフェスが開催され、日本アニメのキャラクターに扮したベトナムの若者たちで賑わいました。

日本の将棋、相撲をはじめ、アニメや漫画、コスプレは人気のコンテンツで、タイやインドネシアからもお客様が訪れました。

また人気の高い施設では、20〜30代の若者には インフィニティプール。ダナンでいちばん大きなプールであり、景色も格別です。

子どもたちはウォータースライダーや海賊船。大人たちは新たに整備された「ナミ ビーチクラブ」。静かなビーチにゆったりと座れて、欧米からのお客様にも好評です。

ご宿泊されるお客様は「楽しみが多すぎて、一泊どころか、二泊してもまだ足りない」とおっしゃってくださいます。それはいちばんうれしい褒め言葉ですね。

今後は敷地外でも歩行者天国やナイトマーケットなどの整備を続けており、地域を巻き込んだ観光地づくりが進められていきます。

オープン一周年ですが、あらたな改善点などありますか? 
 
ソン社長:
開業からずっと設備を改善しています。小髙社長のアイデアに際限がなく、また敷地も広いので終わりが見えません(笑)。

今後は浜に船が泊まれる桟橋もほしいですし、水着のまま登れる人気の富士山の、海を臨む展望台も計画しています。またマリンスポーツ、ジェットスキーやバナナボートなどアクティビティの充実も必要と感じています。

観光創造、雇用の創出、地域経済への貢献
ひとつのホテルが地域に及ぼす優れた影響の数々
その成功モデルは次の新しい場所へ


日本では働き手不足が加速していますが、ベトナムはいかがでしょう?

ソン社長:
ウォーターパークのオープン時に100人ほどのスタッフ募集をかけましたが、そのときには3,000人の応募があり驚きました。

現在ダナン市にある日本語学部のある大学と連携しインターンシップも行っていますが、日本のアニメが好きで日本語を学びはじめる学生さんも多く、日本文化に造詣もあり、優秀な人材が集まってくれます。

会社でも月に一度、日本文化の教育をはじめ、希望者には日本語の教育も始めました。

また日本の三日月でベトナムの方を採用し、2〜3年、日本のおもてなしの技術を高めてもらい、ダナン三日月へ移り、活躍してもらうというケースも。後輩の教育などを通してこちらの現地の方々の能力を高めていくというモデルを確立しつつあります。

地元の労働力を大切に考える三日月グループにはこんな逸話も残っています。

ダナンプロジェクトは現地物件を広大な土地(借地権)付きで買収する大型投資案件であり、一般的にM&Aの場合、従業員は整理解雇から改めて再雇用で残る人数が告知されるのが通常ですが、小髙社長は80名のスタッフを一堂に集め、「私は誰も解雇するつもりはない。誰も取り残さない。みんな私についてきてほしい。みんなを2スターホテルから5スターホテルのスタッフにするから、人生がきっと変わると思う」と決意表明したそうだ。

現在も残るスタッフは「あのとき社長についてきて、ほんとうに良かった」と教えてくれました。

想定外のコロナ禍で開業を迎えたダナン三日月。もっとも印象に残っている出来事はなんですか?

ソン社長:
やはり新型コロナ蔓延によるベトナム国のロックダウンはきつかったですね。建設工事は続けなければならないし、同時に開業の準備も急ピッチで進めなければならない。

当時ダナン市では大小併せて15件ほどの工事が進行していたようですが、そのすべてがロックダウンで停止になりました。

三日月の工事は小髙社長の根気強い折衝と説得で継続を了承されました。当時武漢からのコロナ患者受け入れを表明していた三日月が、ベトナムの医療従事者の隔離施設としてダナン三日月のヴィラを開放したことも大きかったと思います。

日越でこうした貢献活動は三日月が初めてだったと聞きます。
しかし工事は続けられたと言っても、備品等の運送が滞り、準備はうまく進みませんでした。

工事現場も感染を恐れて、職人さんの外出を禁止し、現場に閉じ込めて働いてもらっていました。これを憂えた小髙社長が複数回にわたり、食料や物資、栄養剤や現金を届けてくださいました。

他のホテルでは営業ができないため給与が払えず、従業員の解雇などが伝えられていましたが、社長は「うちは引き続き給料を払う」と明言、間違いなく働く人の士気が上がりました。

三日月の社員であること、三日月で働くことの誇りが、会社への貢献という形で反映されるようになりました。

ロックダウン中はすべてがそんなふうに困難なことばかりでしたから6月のオープンにこぎつけたのも奇跡でしたし、最初の週末に全館が満室となったときは夢を見ているようでした。

今後、三日月グループが目指す未来は?

ソン社長:
日本で「地域と共に観光をつくる」を目指し歩んできた三日月は、そのモデルを海外で展開しようと、ベトナム国ダナンに新たな三日月を作りました。

開業後、市内までの道や周辺が発展し、ずいぶんきれいになりました。今ではタクシーで「三日月へ」と言えば迷うことなくこちらへ連れてきてくれます。お客様が増えれば地域も共に発展し、雇用や周辺の交通などにも貢献できるという明確なモデルです。

またに東南アジアでも多くのファンを持つ日本のコンテンツを掲げ、和のおもてなしを海外でも展開するこのモデルは魅力と可能性を十分に秘めており、ベトナムに限らずタイや台湾、インド、さらにはヨーロッパなどでも十分に成功できるスタイルなのではないかと私たちは考えています。

新しいオフェンスに向かって、小髙社長がどんな難問をスタッフに投げかけてくるか、それは脅威ではありますが少し楽しみにも感じています。

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